ヒスイ拾いの観光客で賑わうひすい海岸で、ハンマーで石を割って「化石探し」に興じる親子連れがいた。
割れた石の破片が飛び散り、周りの人を傷つけたり、尖った石で足を切る危険さを想像できないのだろうか?
石英斑岩を割った所で化石は出ないよ、とやんわり注意した。
飛び散った剥片が、他の海水浴客の眼を直撃して失明する事態だってあり得る危険な行為。
糸魚川市は電通に莫大な宣伝広告費を支払って「石のまちプロジェクト」を始めたが、関係者たちは現場の実情を知っているのだろうか。
弁当ゴミやペットボトル、吸い殻を捨てていく人もいる。
シャワー、トイレは無料です!好きなだけ石を拾って土産にしてください!ゴミもこちらで処分します!
糸魚川市はどこまでお人よしなのだろうか?
昨今は土下座外交という言葉があるが、これでは土下座観光ではないか。
観光客に聞くと、多くは午前中にフォッサマグナミュージアムに直行して、食事してから海岸で海水浴がてらヒスイ拾いをして帰るようだが、地元に幾らお金が落ちているのだろう?
気合の入ったヒスイハンター(嫌いな言葉だが)は、車中泊でコンビニ弁当と言う声も聞く。
噂では電通に二千万円も支払ったそうだが、対費用効果の検証をしないなら職務怠慢と言われても仕方ない。
割られた石をフォッサマグナミュージアムに持ち込み、受付に展示してマナー教育をしてくれと頼んだ。
これは是非ともやって頂きたい。
マナー啓蒙も含めての「石のまちプロジェクト」でないと文化事業ではなく、単なる観光事業になってしまう。
ひすい海岸は子供の頃からの遊び場、けんか祭りの禊の海、甚平、甚之丞の兄弟漁師が沖を漂流する神を助けて「押上げた」伝説の浜。
浜っ子の聖地とも言える浜が土足で踏み荒らされているようで、私の心中は穏やかではない。
モノ人気だけを煽る宣伝も頂けないし、ヒスイ人気を糸魚川人気と勘違いしてはいけない。
ヒスイ人気が高くなったと言っても、糸魚川の風土や文化、歴史に対してのリスペクトが足りなさ過ぎる。
そのアンチテーゼ、というか補う想いが、私の取り組んできた「ヒトとヒスイの物語プロジェクト」なのだ。