台風19号で被災した長野県へ2泊3日でボランティアに行ってきた。
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刈入れ直前に水害を受けた長野市篠ノ井地区の田んぼ・・・切ない風景。
糸魚川大火の時は長野のリンゴ農家さんたちが大勢助けに来てくれたので、せめてもの恩返し。
その時に拙宅に泊めた縁で友達になったのが南魚沼から来たスーパーボランティアの山崎一さんで、現在の彼は長野県松代市に拠点を移して「おてつだいJAPAN」というボランティアネットワークを築いているので、今回は彼の家に泊めてもらった。
山崎さんの家に行く途中、「大室古墳群」の案内看板があり、ここ3年、新春の「児玉石神事」に参列している玉依比売命神社の近くであることを知った。
とすると玉依姫様の導きか・・・。
友人の紹介で地元の清水則子さんに案内してもらい、助けを必要としている人の家を回って情報収集。
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清水さんが持たせてくれた弁当が物凄い量で、私の2食分はあった!
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1軒目は床上浸水したお宅の床を剥いで、床下確認。延べで12畳分の床を剥いで泥の状況を確認。こちらのお宅は保険屋さんの現地確認を待つことになった。コードレス式の丸鋸が大活躍した。
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2軒目は、床上浸水した70代夫婦二人暮らしのお宅の床仮設と今後の相談。
すでに1階は根太だけになっていたので、根太の補強とコンパネ、ベニア、足場板などあるものを総動員して、全ての部屋に行けるように床仮設して、屋外に置いてあった家財道具を全て家に入れることができた。
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茶の間でご飯を食べるのは1週間ぶりだと奥さんは涙を流し、ご主人は「前よりよくなった!ありがとうー!」とカラカラ笑ったが、心情を察するとあまりにも切ない。
ここ1週間はずっと水害の始末に追われて休む間もなく動いているので、かなりくたびれているだろうに・・・。
このお宅は、友達や親戚などがひっきりなしにボランティア活動に来ていて、ご夫妻の人徳が偲ばれた。
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しかしだ、善意の人達が家財道具を表に出して、床下の泥を除去してくれたのはいいが、既存地盤まで掘り込んでしまったので束の基礎が傾いていることに気が付いた。
根太が邪魔になり上から闇雲に剣スコで掘ったらしいが、こんな時は遺跡の発掘と同じく、移植ゴテで横から削るように泥を剥ぎ取って欲しい。
ちなみにこの手法は、糸魚川大火ボランティアの時に焼け跡の貴重品探しをした際に、遺跡の発掘と同じ作業だと気付いた私が試しに移植ゴテと箕(ミ)の発掘セットを使ってみたら非常に効果的であったので、その旨をボランティアセンターに報告したら即刻、移植ゴテと箕を大量に用意して他のボランティアに渡してもらえた。
それ以前はスコップで掘って土の中から貴重品を探すという荒っぽい作業だったので、掘った土の中に貴重品が紛れたり傷付いたりということもあったと思う。
今回の泥は粘性のあるシルト(粘土と砂の中間)だから、慎重に横から剥いでいくと元の砂地盤に変わるのが解るハズ。
心苦しがったが、現状では後から不動沈下してしまうので、束の基礎工事もやり直す必要があるとご主人に伝えたら、しばらく沈黙して「・・・仕方ないっ!なるようになるからっ、ねえ、お母さんっ!」と力強く答えてくれて、この言葉に救われた。
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お孫さんの同級生が屋外の泥除去に来てくれたので、今後のために「スコップは前の手を順手、後ろの手を逆手にして持ち、腰を落として横から泥を掬うと疲れないし、泥を取り過ぎることはないのだ。」と、スコップの扱い方を教えてやった。
床下が乾くまで本格的な復旧工事は保留だが、元通りに復旧しても来年も同じような水害がないとは限らないのではないか?
数十年に一度クラスの災害が毎年来ないことを祈るばかりだが、建築業界と行政は台風19号クラスに耐えられる家づくりの研究と指針作りをして頂きたい。
水害の多い東南アジアの高床式住宅、豪雪に覆われる新潟県中越地方に多い1階がコンクリート車庫の住宅などなど、各地域の環境に適した住宅作りが求められると思う。