縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

B&G海洋クラブの活動・・・海の遊びは弁天浜がおススメ

2021年08月31日 07時21分40秒 | 糸魚川自慢
能生地区の弁天浜に艇庫のあるB&G海洋クラブで、指導者の研修会。
今回は初心者の指導についての情報共有の場となった。準備運動、パドルの持ち方、乗船方法などの基本の情報共有は大事。
基本技のあとは防波堤内で自由にカヌー遊び。小さな女の子が一人乗りカヌーに乗ってすぐにベソをかきだすアクシデントがあったが、二人乗りのタンデム艇に乗り換えてご満悦・・・そりゃそうだ(笑)
初対面の若い男性のパドルさばきが玄人っぽく、安定性はいいけども直進性の悪い仕様のカヌーを見事に乗りこなしていた。
 
ナニモノですか?と聞いたらフォッサマグナミュージアムの学芸員のKさんで、大学時代は探検部に所属してラフティング(ゴムボートの急流下り)の日本代表選手だったそうだ。南極越冬隊員の経験もある得難い人材。

指導者研修会という名の楽しい海遊び(笑)が終わった頃になって旅行会社社長のKさんがやってきたので、午後からスピンオフ体験会。体重100キロ超えの巨漢のK社長は昨年はカヌーに体が入らなかったそうだが、今年は入ったのは何故かは不明( ´艸`)
カヌーに尻が入った!浮いた!進んだ!と喜んでもらえて、わたしも我がことのように嬉しいゾ。
先代モデルより厚みが増して幅広に改良されたうえに4キロ軽量化されたウインドサーファー艇は、サップとしてもそれなりに使えることに気付いたのは4年ほど前。
 
昨年のK社長は立てずに足を伸ばして座って体験したそうだが、黄色いライフジャケットを着るとくまのプーさんみたいでかわいらしい(笑)
 
立って漕ぐことを練習していたら・・・本当にあった忍法、水グモ!エイトマンみたいに海面を走っているようだ( ´艸`)
 
弁天浜は平均水深50㎝くらいなので安心です。
遊んでいるうちに、いつしか立って漕げるようになった。K学芸員とK社長は入会金も年会費も無料の海洋クラブに入会して欲しいもんだ。
 
K社長はスポーツサンダルを履いているが、本当ならマリンブーツか靴紐のある運動靴が望ましい。
 
私がカヌー初心者の時に転覆してスポーツサンダルの踵がカヌーのコーミング(コックピットの縁)に引っかかってしまい、素早く脱出できなかった経験があるのだ。
 
喜びを分かち合う人が多いほど、その分だけ喜びの総量は増えていく。そういうもんだ。
 
弁天浜にいらっしゃい!プーさんに会えるかも~。
 
 
#糸魚川の海遊び #B&G海洋クラブ #糸魚川のシーカヤック

 

 


ゼロ戦も牛車で運搬していた戦争中の日本・・・ジブリアニメ「風立ちぬ」にみる宮崎駿の凄み

2021年08月28日 09時11分01秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

ジブリアニメ「風立ちぬ」で、三菱の工場から飛行場までの20キロの道のりを牛車(ぎっしゃ)で試作機を運ぶ場面が描かれている。

当時の日本の田舎道は未舗装の狭い凸凹道が普通で、国産トラックは走れなかった。
 
これは大戦末期まで変わらず、牛車で戦闘機を運搬中に米海軍の艦載機から機銃掃射されたりもした。
 
日本が太平洋戦争に負けたのは物量の差と認識する人が多いが、この場面は当時の日本は基礎科学やインフラ整備が未熟なら、軍人や政治家、国民もこぞって八紘一宇の皇国史観に支配され客観的な国際情勢が判断できないなど、必敗の要素が揃っていた。
それら一切をセリフで説明せずに、前近代の土壌の上に近代科学を無理やり取り入れたような国内情勢を、絵だで描いて暗喩するところが宮崎駿の凄み。
 
陸海軍とも派閥争いばかりしていたし、とくに陸軍の上層部は異常な功名心から独断専行で戦争を起こす「下剋上」の風潮が蔓延して、近代国家の軍隊の態をなしていなかった。
 
ゼロ戦すげぇ、戦艦大和すげぇ・・・本屋にはこんなムック本が並んでいる。
 
無線もレーダーもポンコツだったから、大戦後半からは常に連合軍に後れをとった。信じがたいことだが当時の日本の電気配線は、電力損失の大きい布被覆でもあった。
 
戦後にアメリカが日本軍機の調査をした際、連合軍と同じビニール被覆配線とプラグに交換して、ガソリンのオクタン価も同じにしたら、海軍の紫電改や陸軍の疾風は米海軍の主力戦闘機グラマン・ヘルキャットを凌駕する性能であることが判明して米軍が驚いた・・・本当かどうかは不明だが。
 
設計技術者は渾身の仕事をしても、肝心の基礎科学や戦争物資の補給が追いついていなかったということ。飛行機を運ぶ牛車はその象徴。
 
当時の軍人がよく口にした、戦争はやってみなければわからない、旺盛な敢闘精神があればアメ公、ロスケなど鎧袖一触等々は、近代戦に精神主義で挑もうとした証し。
 
そんな実情を熟知して戦争に反対し続けたのが、山本五十六に代表される一部海軍の親米英派。
 
天皇が戦争を起こしたと認識する人もいるが、実のところ立憲君主の天皇は憲法上は内閣の決議事項にイエスもノウも言える立場ではなく、御前会議でも発言しないことが慣例であった。
 
しかし戦争不拡大主義を周囲にもらしていた天皇は、開戦決定の御前会議の最後に慣例を破り、明治帝の御詠歌「四方の海」を二度までお詠みになり、暗喩ではあったが平和こそ最重要とのお立場を表明された。
 
むやみに排他的な民族主義を鼓舞する政治家がでてきたら黄色信号・・・その判断基準は歴史を学ぶしかない。
 
 
#ジブリアニメ風立ちぬにみる宮崎駿の凄み #ゼロ戦も牛車で運搬していた #民族主義 #皇国史観

 


ウインドサーフィンで風になるボクでえす・・・20年ぶりのウインドサーフィン

2021年08月27日 07時01分33秒 | 糸魚川自慢

若いころはラディカル・サミーと呼ばれた(友だち限定だけど)ボクですが、20年前ぶりのウインドサーフィンとあっては初心者も同然。

微風ということもあってヨタヨタ、そして今朝は筋肉痛。
しかしセイルナンバーJ008は、国内で8番目に登録された新ウインドサーファー艇の証しで、レースに出るにはセイルナンバーが必要なのです。
 
プロのようですなぁ、しかも末広がりの8は縁起がよいと、ムヒヒヒとほくそ笑む。 80年代のような爆発的な流行は望むべくもないが、愛好者が増えていって欲しい。
 
旧サーファー艇と比べて5キロの減量、浮力も増しているから乗りやすくなっているワ。面白いヨ。
 
微風でもブローが時々入ってプレーニング(滑走)もどき。E気持ち・・・懐かしいこの感じ、蘇る80年代。
 
今日はセッティングの調整と、昔の感覚を呼び戻すことに専念して沖には出なかった。
 
弁天岩と防波堤に囲まれた遠浅の弁天浜は、カヌー、SUP、素潜りのレベルに応じたスキルアップができる好適地。ここで遊ばないのはもったいない。
 
土曜日は風速4mの予報だ。ボクは風になる( ´艸`)
 
 
 
#糸魚川の海遊び #能生の弁天浜は海洋スポーツの好適地 #ウインドサーフィン復活

 


シーカヤックイベントの安全管理・・・フレームが外れていては漕げないし、転覆の要因にもなる

2021年08月25日 07時37分12秒 | 田舎暮らし

シーカヤックイベント後日談・・・

イベントでメーカーから貸与されたカヤックは、折り畳み式のフォールディングカヤックだった。
当日は凪ぎだからよかったが、夏でも暗礁に白波がたち、防波堤にあたって砕けた波頭が防波堤を超えることがある磯が出艇地。初心者には危険すぎると変更を求めていたのだが却下されたので、最低限の安全対策としてヘルメット着用を厳守してもらった。案の定、乗り込んですぐに転覆した子供もいたようだ。写真はボランティアのIさん撮影。
 
転覆した艇を漕いでいたのが初心者とはいえ、左にばかり回っていたのはなぜか?
ツーリング艇より幅が広く転覆しにくいレジャー艇が、凪の海で転覆するもんかね?と疑問だった。
 
左に横転した艇を元に戻して乗り込んで漕いだら、ボトムの剛性が頼りなくなにか変だ。
ビルジ(アカ・船内に溜まった水)が動くからか?と掌で排水したが、本当なら排水用のビルジポンプを常備しておくべき。
カヤックを貸与したメーカーのホームページから借用したビルジポンプ。狭いカヤックのコックピット内ではバケツ排水ではおぼつかず、手動でポンピングするだけで大量の排水ができるので、沖に出る時の必須アイテム。
 
よく見たら左側の縦フレームと、横方向の船郭フレームを繋ぐプラスチックジョイントが外れており、センターもずれていた。
だから私が漕いでも左に逸れていってしまう。赤い丸がジョイント外れの部分。
 
最初は転覆の衝撃でフレームが外れたのかと思ったが、後日に市民ボランティアが組立てたと聞いて、すべてのことが繋がった。
 
おそらく組立ての際にジョイントを最後までパチンと押し込んでいなかったので、早い段階でフレームが外れて左側の剛性不足、そして左周りと転覆の要因になったのではないだろうか。
 
これは初心者にありがちなミスで、ある程度の経験者なら漕いですぐに異変に気付いて岸に戻ってチェックするだろうが、初めてフォールディングカヤックに乗る初心者は異変に気付きようもなく、また今回のイベントのように上級者たちが先に行ってしまって取り残されたなら、余計に焦って転覆に繋がったのではないだろうか。
使用邸とは別だが、国産カヌーの老舗メーカー「フジタカヌー」さんのホームページから借用したフォールディングカヤックのフレーム構造。赤い丸で囲んだジョイントが外れていた。
 
市民ボランティアに組み立てをさせたなら、貸与したメーカーは適切に組み上がっているかをチェックすべきだが、ちゃんとチェックしたのだろうか?
 
もしチェックしていなかったら運営サイドの安全管理の認識不足といえ、今後は役割分担を明確にしてチェック体制を厳にすべきだろう。
 
凪の海なら、沖に出ても大丈夫なスキルを持っているなら、そして組立てが完璧であるなら、安定性と積載性に優れるフォールディングカヤックは安全で楽しい乗り物。そのどれか一つでも欠けたら、安全ではなくなるから沖にでてはいけない。
 
今回のイベントでは、そのうちの二つまで安全でない条件が揃っていたことになり、沖に出しては駄目なのだ。
 
総括として、イベントのコンセプトや指揮命令系統、責任の所在が明確でないまま見切り発車してしまった印象はぬぐえず、行政とメーカー双方は真摯に取組むべき課題。
 
個人の場合ならすべて自己責任だから、ライフジャケットとビルジポンプに加えて、万が一の用心に防水ケースに入れたスマホは必須。
 
カヌークラブに入って習うもよし、独学なら最初は波のない遠浅の水面でスキルアップしていくのもよし。
 
真っ直ぐ漕げて、好きな方向に進めるようになったら、ちょと背伸びした冒険を重ねてスキルアップしていけばいい。
 
自信がついたなら日帰りツーリング。
 
折り畳んで収納ケースに入れれば、バスや電車で帰ってこれるし、置き場所にも困らないのがフォールディングカヤックのいい所。
 
参加した初心者から海は怖い、シーカヤックは危険と思われては何のためのイベントかわからなくなってしまう。
 
だからこそ考え得るすべての安全対策が求められるのだ。
 
 
#糸魚川シーカヤックイベントで反省すべき問題点 #見直されるべき上越地域SEA TO SUMMIT 2022の安全管理 #シーカヤックイベントの安全管理

 


直進できないシーカヤック初心者を沖に出してはいけないし、置き去りにしてはいけない・・・上越地域SEA TO SUMMIT 2022実証実験

2021年08月22日 07時04分53秒 | 田舎暮らし

レスキュー要員を頼まれていたシーカヤックイベント実証実験が終了したが、主催者の危機管理意識の低さに驚いた。

このイベントは、某アウトドアメーカーが主催して、糸魚川市がシーカヤック・上越市がサイクリング・妙高市を登山を担当する、来年度予定の#上越地域SEA TO SUMMIT 2022の誘致活動の一環・・・であるらしい。

救助要員は能生地区に拠点をおき、私も所属するB&G海洋クラブ。サーファー艇を載せた救助艇1隻の他にジェットスキー2台の陣容。他に海岸利用組合から3隻の漁船がでていた。

 
事前打合せで、初心者にいきなり岩だらけの磯から出艇させるのは危険であるので出艇場所の変更と、静かな湾内で練習させてからスタートさせないと無謀すぎるとのアドバイスは却下され、受け入れられたのは参加者のヘルメット着用のみ。
海面下に広範囲に暗礁が点在する磯からの出艇は、初心者には危険すぎる。イベント当日には乗船時に転覆した子供もいたようだ。
この磯は凪の時なら楽しいシーカヤック遊びができるのだが・・・写真撮影時のお盆の頃は、砕けた波が高さ4mくらいの防波堤を超えていた。
 
すでに決定事項なので今年は当初計画通りに実施して、来年の参考にしたいとのことのことだった。
 
幸いにも前日までの波がおさまって出艇時の事故リスクは回避されたものの、あろうことか開始早々に主催側のカヤッカーを含めた上級者たちが先に行ってしまい、直進できずに右往左往する初心者グループが置き去りにされ、レスキュー範囲が広くなりすぎる嫌な予感。
初心者グループの中で手前の赤い二人艇が取り残され、この数分後に転覆。
 
最後尾にいた二人乗りの艇が出艇したばかりの磯の沖で、左ばかりに回っているので救助艇を寄せてみたら、パドルを左手を逆手、右手を順手に持った滅茶苦茶な漕ぎ方をしている上に、前と後ろの漕ぎ手の息が合っていない。
 
船上からアドバイスしても埒が明かないのでサーファー艇を降ろして横で漕いでみせたが、クルクルと方向が変わるので見本を見てもらえる状態ではない。
 
シーカヤックは滅多なことでは転覆しないのだが、前を漕いでいた少年がパドルをぐいっと海面に深く突き立てたから急ブレーキがかかり転覆。
これを心配していたのだ。
 
自在に漕げるようになるまで、初心者は沖に出してはいけない。
 
またレースではないのだから、今回のようにスキル別のクラス分けがされていない状態なら、上級者は初心者を置き去りにして焦らせていけない。ましてや主催者は最後尾を漕いで全体を見守らなきゃ。
転覆した二人を救助艇に乗せてから転覆したカヤックに乗り移ったが、腰まで水が入っているので漕いでも進まず、また岸に付けようにも最寄りの岸はテトラポットで覆われ着岸不能。
 
迷走しつつでも初心者集団は遥か彼方に行ってしまったので、水をかきだしつつジェットスキーで牽引してもらった。
ゴール1キロ手前で初心者集団に追いついたので、ジェットスキーはそちらに回ってもらい、私は漕いでゴール。
 
フラフラと迷走する初心者グループを置き去りにするとはシーマンシップに反するし、主催者として無責任過ぎるのではないか?と主催者側のカヤッカーに猛烈に抗議したら、「いやぁ、レスキューボートがいたのでお任せしたのですが・・・」と頓珍漢な答え。
 
行政が「まぁここは来年の反省点として・・・」と間に入って抗議を中断された。
 
さえぎられなかったら「ざけんな、レスキューは最終手段だ!まっすぐ漕げるように指導してから沖にだせよ、それが主催者の責任だろうが、ばかやろう!」とマジ切れで怒鳴っていたヨ。
 
これは来年の課題ではなく、初心者を置き去りにしたまま、浜で談笑している君の今の行為は主催者として、シーカヤッカーとしてどうなのか?と、その見識を問うているのだ。
 
参加者から海は怖い、シーカヤックは危険!なんて苦手意識を持たれたら逆効果ではないか。想像力がなさ過ぎる。
 
沈したカヤックをゴールまで運んだ礼も言われなかったので、沖に置いてくればよかったナ・・・転覆艇の回収まで頼まれてないし。ちなみに主催者が用意したカヤック(笑)
 
計画の見直しが必要との再三のアドバイスも聞かずに、責任の所在が明確でない状態でとりあえずやってみるでは、まるでインパール戦ではないか。なんか変ですよ、最近の日本は・・・。
出艇地の磯から500mほど西には護岸に囲まれた静かな弁天浜があり、ここでスキルを見極めてクラス分けして、初級者グループはここで練習させ、直進できるようになってから沖に出すべきと主催者に力説したが却下。
 
ナショナルジオパークが売りの糸魚川なのに、人気のジオサイトである弁天岩が鎮座する弁天浜を会場にしないのはなぜか?答えは簡単で、ゴール地点の筒石漁港を目指すには、弁天浜に隣接する小泊漁港を超える必要があり、漁港との折衝が面倒ということだろう。
 
赤い欄干の曙橋はスタートラインとしてインスタ映えするのにもったいない話し。
 
来年は150人規模のイベントにしたいそうだが、今朝の朝刊で関係者の談話として、海洋スポーツの盛り上がりになればとか、スムーズに成功したとあった・・・みなさん大本営発表は信じちゃダメ~(笑)
 
転覆した少年もインタビューされていて「サポートがあったので安心した」とコメントしていたのがせめてもの慰みだが、これは臨機応変に動いた海洋クラブのマンパワーであることをお忘れなく。
 
組織と危機管理意識の見直し、そして主催者が海遊びの理解度を深めないと人身事故が起こりますよ。
 
 
#糸魚川の海遊び #シーカヤックイベント実証実験 #上越地域シートウサミット2022 #ベテランシーカヤッカーは初心者を置き去りにしてはいけない #あちこちのインパール戦が今の日本 #糸魚川のシーカヤック遊び

戦争映画のファンタジー化を危惧・・・戦争を知らない世代が作った戦争映画

2021年08月20日 07時11分40秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

映画界に戦争体験者が大半を占めていた時代の戦争映画と、戦争を知らない世代が作った戦争映画では明らかにトーンが違い、最近は一種のファンタジー映画になっていることに危惧を感じる。

人格円満でニコニコと超人的に達観した山本五十六像では、原作者で五十六贔屓の半藤一利さんが泣くよ。

①善玉と悪玉を二項対立的に描く
②人間愛に溢れる主人公が時流に翻弄される悲劇
③無頼漢のようなマンガチックな軍人像
④饒舌なセリフと大仰な演技で説明し過ぎる
⑤目を剝き、顔に力を入れた安直な怒りの演技
⑥SG頼りの戦闘場面はお見事でも、人間が描き切れていない
 
一蓮托生の軍艦の中で寝食を共にする上級将校たちが、口角泡を飛ばすような喧嘩腰の議論などできる訳がない。
東宝の名作「太平洋奇跡の作戦 キスカ」など、実に冷静に議論しているではないか。これがリアリティ。
 
海軍は陸軍のように肘を45度の角度に曲げた敬礼はしないし、海軍軍人の一人称は「私」であって、「自分」は明治期に長州閥が上層部を占めたために長州弁が広まった陸軍の一人称。もう滅茶苦茶に混ざっている。
沖縄に向かう作戦行動中の夜の甲板に集まり不安を語らう初年兵に対し、叱って兵員室に戻すべき立場の下士官から握り飯をふるまわれる・・・海軍用語で銀バエという犯罪行為ですから公平に!(笑)
 
80年代くらいまでは戦争体験者が撮影現場にいたし、元軍人が時代考証を担当していたからリアリティはあったが、「スターウォーズ」を観て育ち、戦争ってこんな感じ?と、戦争に冒険の要素や、ある種のロマンチズムを感じ取る世代が撮影現場を占めるようになっているのではないか?
ベタベタのヒロイズムやロマンチズムで描かれた戦争映画ばかりではやばいよ。
 
実のところ、太平洋戦争を主導していった陸軍軍人や右派政治家たちには、現実を客観視しない冒険主義と、八紘一宇の甘美なロマンチズムやヒロイズムに満ちていたことを忘れてはならない。
出撃しながら一発も撃たずに生還を繰り返す戦闘機搭乗員が本当にいたなら敵前逃亡罪に問われ、味方の戦力が減る利敵行為どころか裏切りとなり軍法会議モノ。命がけで戦っていた元搭乗員は怒るだろう。
 
戦争を過去の悲劇として描くだけでなく、50年後に我々が悲劇の主人公として戦争映画が作られないようにするには?と自然と考えが向くような、骨太な戦争映画が出てきて欲しいもんだ。
 
 
 

 


諸行無常 会者定離・・・水泡のようにはじけて消える友人たち

2021年08月18日 08時42分26秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
深夜、山形在住の古い友人が若くして逝った訃報に接す。
 
端正で寡黙、生まれてこのかた嘘などついたことがないような誠実な佳い男。
 
故人を偲んでいたら、5年ほどまえに逝った北海道の友人と一緒に拙宅に泊まったことを思い出した。
心を許せる友人は、水泡がはじけて消えるような自然な死に方ばかりなので、俺もいつかそうなるネと淋しいけど悲しくはない。
 
野口雨情作詞の「しゃぼん玉」は、2歳で亡くなった娘のクニちゃんを偲んで作ったとのこと。
 
諸行無常 会者定離 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏

 


1945年8月14日は大日本帝国の通夜のあった日・・・東宝映画「日本のいちばん長い日」

2021年08月14日 08時17分43秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

1945年8月14日は「日本のいちばん長い日」であった。

隠密裏に終戦工作に奔走する鈴木貫太総理を笠智衆、徹底抗戦を主張して暴発寸前の陸軍を抑える任務を負わされた、阿南陸軍大臣を三船敏郎が好演して、異様な緊張感に満ちている。
笠智衆演じる鈴木貫太郎は、日清日露で勇猛を馳せて「鬼の貫太郎」と異名をとった海軍軍人、のちの連合艦隊司令長官。軍人は政治介入すべきでないを信条とした無私の忠君であったので、天皇の覚えめでたく侍従長に抜擢。この時代には「燕尾服を着た西郷さん」と呼ばれ、政治経験もブレーンもなく、終戦にむけて軟着陸させるのはあなたしかいないと乞われて総理に就任。
三船敏郎演じる阿南陸軍大臣も、軍人は政治介入すべきでないと公言していた軍人。鈴木侍従長時代には同じく天皇からの信任あつく侍従武官も務めた。鈴木内閣は終戦工作を成功させる最重要人事として、真っ先に陸軍大臣に阿南を使命した。自身が軍人として徹底抗戦を主張しつつ、天皇の無条件降伏の受諾意向を重んじる板挟みの役どころを、三船さんは淡々と自然体で演じている。鈴木総理と阿南陸軍大臣は、東映の人気シリーズ「昭和残侠伝」の健さんと池部良さんの関係を彷彿とさせる。立場は違えども肝胆相照らす男たち。
 
原作者の半藤一利は、この無条件降伏のご聖断を仰ぐ不眠不休の御前会議の夜が、「明治以降続いた大日本帝国の通夜であった」と書いている。
 
のちに「仮面ライダー」の死神博士役で人気者になる天本英世は奇人・怪人役が多かったが、この映画では一億玉砕・徹底抗戦を主張して、「君側の奸」の鈴木内閣要人を襲撃する横浜警備隊隊長大尉を鬼気迫る演技で見せ、彼のキャリアの中で最高の死神役となった。
実際の天本英世も「貴様!背が高すぎる!生意気だ!」という理由で殴られ続けた学徒兵であり、戦後は徹底したアナーキスト・平和主義者となったが、モデルにした狂信的な軍人がいたに違いない。2・26事件の青年将校が憑依しているのか?大丈夫か?と心配になるくらいの死神振り。
 
横浜警備隊の隊員たちは、学生服に草鞋履きの学徒兵。
 
尻ポケットに丸めてねじ込まれた岩波文庫の「出家とその弟子」・・・首相官邸に突撃の際にその本が泥濘に落ち、踏みにじられる場面に学徒兵の悲愁が端的に表現されている・・・岡本喜八監督はセリフで世相や人物像を説明せず、すべて絵で描き切る名監督。
大正時代にベストセラー本「出家とその弟子」は親鸞上人と弟子を描いた戯曲。学業なかばで学徒動員された若者たちは、思想書や哲学書を読んで死地に赴いていったのだろう・・・太平洋戦争のリアリティ。
 
リメイク版もあるが、1967年の岡本監督作品に比べたら饒舌なセリフ、誰でもわかりやすい演出が過剰であり、また反乱将校役の若手俳優陣が初年兵にしかみえない貫禄の無さもあって、まるで村芝居か学芸会のようだ。
 
この映画を観ると、無謀な戦争をしてしまった時代の空気感がよく理解できる。
 
日本がアメリカと戦争をしていたことを知らない大学生が増えているそうだし、「大東亜戦争はアジア解放の聖戦」というネット情報を無批判に信じ込む人々も多い。
 
中学校の歴史の時間にでも観せてやって欲しい名画。
 

15万人の沖縄県民が犠牲となった沖縄戦を忘れてはいけない・・・東宝映画「沖縄決戦」

2021年08月12日 07時22分31秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

ヒロシマ、ナガサキ、東京大空襲はニュースとして流れることはあっても、15万人もの一般人が犠牲になった沖縄戦が話題にあがることが少ないのは何故なのか?沖縄戦を忘れてはいけない。

鈴木内閣としては総力を挙げて米軍に手痛い一撃を加え、講和を有利に進める作戦意図があったが、陸軍上層部にとっては本土決戦のための時間稼ぎの「捨て石作戦」でしかなかった。

沖縄のいたるところにあるガマ(石灰岩の洞穴)に立て籠る日本軍には、多くの軍属、避難民も混ざっていた。 戦闘に邪魔だと、砲弾が飛び交う戦場に追い出された市民もいたし、米軍の投降勧告にしたがいたくとも、軍人から「一億総玉砕」を強いられ、火炎放射器やガソリンで焼かれて死んだ市民もいた。
 
本で調べる時間のない人は、東宝映画「沖縄決戦」を観るといい。 日本映画史上に燦然と輝く「日本のいちばん長い日」と同じ、脚本が新藤兼人、監督が岡本喜八のコンビ。
 
疎開市民が乗る輸送船が米軍の潜水艦に撃沈された「対馬丸事件」や、伝統漁船サバニが戦闘に加わって壊滅した事件など端的に織り込まれ、岡本監督らしいリズム感、シリアスな場面に混じるユーモア、印象に残る絵の数々・・・崖から飛び降りる少女たち・・・孤児が水筒の水を飲むラストシーン・・・名画です。
 
#ヒロシマナガサキだけでなく沖縄戦を忘れてはいけない

 


涼風献上・・・アウトドア遊びは自己判断と自己責任が基本

2021年08月08日 09時53分58秒 | 糸魚川自慢

山男の先輩から、親不知の海に潜ったことがないので案内いたせと頼まれたが、向こう1週間は好天が望めない予報なので、曇天と小雨の中を急遽ご案内。

海水の透明度は悪くなかったので、これで晴天ならもっと綺麗な海を見せてあげられたのにとちょっと残念。
沖合50mくらいにある投げ岩の「勇気のトンネル潜り」は、最大水深15mくらいあるので中級者以上向け。
 
東から西へ時速2キロ前後の潮が流れていることが多く、その場合は東側からアプローチ・・・中級者以上なら自分で海況を観察して判断できますがネ(笑)
岸から5mくらいの浅瀬には、斜めになった岩と岩間にできた三角の隙間を潜れる短いトンネルもあり、こちらは水深2mまで潜れるなら素潜り初心者でも大丈夫。
 
ただしレスキュー・スキルのある人とバディを組む必要はある。
ジェットコースターやバンジージャンプなどは、お金さえ出せば安全管理や必要機材をすべてを他人に委ねられるが、私はそういったスリルに面白さを感じられないタイプ。
基本的にアウトドア遊びはすべて自己判断と自己責任。
スキルに見合った挑戦なのかを自分で考え、行くか止めるか判断する。そこがシビれるし、面白い。