縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

行政イベントでヌナカワ丸お披露目・・・日本海縄文カヌープロジェクト海

2023年06月19日 07時12分43秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト
「ジオカヤック&丸木舟」は絶好の海況に恵まれ、好評のうちに終了。
わたし個人主催のイベントと違い、行政がらみのイベントで丸木舟が表舞台にでた記念すべき日。
実のところ、これまで行政イベントで丸木舟を出したことはあっても脇役的な扱いだったし、評判はよくても担当者が移動すると次がないというジレンマがあった。
運搬には自作のドーリーに載せてターンバックルで結束。アウトリガーを付けてからコンクリートスロープを降ろす。
 
今回は縄文時代の「海のヒスイロード」で丸木舟がつかわれていたという意義をクローズアップして、タイトルに丸木舟の名前をいれて主役級の扱いをしてもらっているのだ。
これは数年前にUターン帰郷した企画会社を運営する伊藤薫さんと知遇を得て、ヒスイの評価をモノからモノガタリへと転換すべきという考えに共感してもらい、その縁で知り合ったアウトドアスポーツに堪能なフォッサマグナミュージアム学芸員の香取さんも交えて「海からみたジオパーク」をやろうではないか!と意気投合したことが発端となり、二年越しで実現したのである。
 
ちなみにジオカヤックとは、カヤックでジオパークの体験学習をするという意味の香取さんの造語で、こうしたネーミングができる行政マンがいることは非常に重要だ。
独りで人集めに苦労していた頃と違い、アウトリガーの組立て、海にだす、引き揚げるなどのシステムを献身的に手伝ってくれるメンバーもいるし、わたしは丸木舟のメンテと当日の運営に専念できるので大助かり。サポート陣は「美山プロジェクト」の方々
 
フォッサマグナのガイドだけ、丸木舟体験だけで終わっては糸魚川の地域特性を語るに片手落ちだ。縄文人がヒスイを丸木舟で各地に運んだというモノガタリが共感を呼び、それが楽しい体験学習であることが重要なのだ。
そしてついに・・・個人所有の丸木舟だから遠慮していたのだけど、屋外保管は劣化が激しいことと、公共性がでてきたのでB&G海洋クラブの艇庫で保管させてもらえないだろうか?と事務局の大ちゃんと池亀会長に相談したらオッケイ牧場~!
 
次なるステップは丸木舟を沖に出して、海から陸地を見てもらうこと、その次は8キロ離れた筒石漁港までの往復航海。海洋高校も乗ってきてくれたら実習船「越山丸」で伴走してもらって佐渡海峡横断と夢は膨らむ。
 
*写真の一部は「ジオカヤック・丸木舟」のアルバムより
 
 

丸木舟の止水にゼンマイ綿!・・・日本海の女王「ヌナカワ丸」

2023年06月08日 07時16分14秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト
6月18日「ジオカヤック」にむけてヌナカワ丸の改修を続けている。
座席を固定式から変更して、内壁に欠き込みをつくり、板を落とすだけにして5人定員に増やした。
 
下手に固定すると接合部が腐る原因になるし、工具なしで外せるようにしておけばメンテしやすく、多少なら漕ぎやすい位置に座面をずらせる工夫である。
ちなみに丸木舟は乾燥すると乾燥収縮してヒビ割れしやすくなるので、座席はその曲げ応力を相殺する横梁の機能もある。
 
頭を悩ませていたヒビ割れ箇所の止水については、和船ならマキハダを詰めるところだが高価だから保留!インドでは解したロープと椰子の繊維を詰めて、アスファルト乳剤でコーティングしていたが臭うので却下!
 
窮すれば通ずで、ヒビ割れにゼンマイ綿、解した木綿紐、ボロ布を詰めて表面をカシュー塗料でコーティングするアイデアを思い付いた。
左からボロ布、解した木綿糸、ゼンマイ綿。たとえカシュー塗料の止水効果が期待できなくとも、ゼンマイ綿をみっちり詰めてあれば止水効果は高いのではないだろうか。自然素材だから海に落ちても安心だ。
ゼンマイ綿を詰めてカシュー塗料を塗った図。何回か塗り重ねてみる予定。ヒビ割れアカ(漏水)は木造船には付き物だから、海水がたまってきたら排水すればいいのだ。
 
このアイデアが駄目でも、それも学び。日本のロケット開発の父、糸川英夫博士は失敗を「成果」として評価したそうだ。
 
 
 

丸木舟出航準備完了!・・・丸木舟の止水作戦

2023年06月02日 07時54分29秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト
丸木舟の水漏れが心配されるヒビ割れ部分に木工用ボンドにオガ屑を混ぜてつくったペーストを詰めて、土曜日のイベント準備完了。
木工用ボンドは耐水性はないので、時間ができたら南インドのベイプールで見学した木造船の止水法も試してみようと思う。
とりあえずの間に合わせ補修。
ベイプールでは木造貨物船の水漏れ箇所に木綿クズと椰子の繊維を鉄のヘラで叩き込み、防水材にアスファルト乳剤を塗って仕上げていて、これは紀元前からある補修法だし、ありがたいことに経費はかからない。
かってイギリスでは囚人に古い木綿ロープをほぐさせて漏水箇所の充填剤にしていたらしい。これをホーコンと呼ぶ。現代のインドではロープ製造時のクズではないだろうか?
 
和船復元家の小川さんにメールで相談しているのだが、和船式にマキハダを詰めたり、アイヌ式に乾燥したコンブを詰める方法も検討中。
丸木舟製作時にチキリという鼓形の木片を埋めるヒビ割れ予防をしておいた部分は今で効いていて、N造船の社長からエライねぇと褒められた。
 
 
 
 

丸木舟の虫食い問題はセーフ!・・・ヌナカワ丸復活プロジェクト

2023年05月22日 08時02分00秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト
N造船の社長にてつだってもらい丸木舟を裏返しにできた。
爪がはいるくらいに腐った部分をノミで削ったら、表面から1~2センチくらいがイモムシの巣になっていて、Nさんから「はやく気付いてよかったネカ」との言葉に励まされた。
手斧でハツリ、電動カンナで粗く平らに、センで仕上げたら、ちょっと見には腐っていたとは思えないほど目立たなくなってオッケイ牧場!
 
次回は6月3日のイベントの参加者の手を借りて、広い駐車場に人力移動、シアーライン(船縁のカーブ)の改良と船首のひび割れ対策。うまくいけばお昼から海に出られると思う。
普通の人はセンなんて知らないだろうが、細長い片刃の両端の柄を握って、樹皮を剝いたり、材を均一に削ったりできる古い木工具で、趣味の木工でも重宝する。
苔で緑色になっている部分はセンで除去
 
わたしのセンは糸魚川の桶職人の遺族から、柄がとれて淦錆びた焦げサンマみたいな状態を譲りうけ、自分で復活させたもの。昔の手道具は便利だし、そんな道具を見つけられるから、古道具屋巡りは趣味のひとつ。
 
 

危うしヌナカワ丸・・・船底がダンゴ虫の巣に

2023年05月21日 06時19分17秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト
ながらく横倒しのまま放置されていた丸木舟を起こして養生をはがしたら、船台ごと部分的に船底が腐ってダンゴ虫とナメクジの巣になっていた。ジメジメした環境の屋外保管だから無理もない。
横倒しから独力で起こすだけのつもりが・・・船底が妙に柔らかい!?
船尾近くの船台が腐って丸木舟まで達していた。
慌てず騒がずに即座に対策を考えるのがワタシ
 
船底は厚いので腐った部分を四角く削って、ケヤキ板をエポキシ接着か?伐採した時から小口割れしていた船首のヒビ割れも進行しているが、こちらはワイヤー締め箇所を増やすか?
船尾はステンレスワイヤーをターンバックルで何か所も締めてあるのでヒビは進行していなかった・・・最初からこの状態!
 
昨夜は対策方法に頭を悩ませると共に今後の行く末を思うと、一睡もできなかった。
 
伐採から今日まで、どれだけ労力と金を投入し続けたろう?
 
乗船体験で天然素材100%の「原始力船」に喜んでもらえるのは嬉しい。しかしそのために掛けた労力を想像したり、縄文の「海のヒスイロード」まで想いを馳せてくれる人はおらず、面白かった!とSNSの写真ネタに貢献しただけで一件落着。そしてまた苦労の無限ループが始まることに・・・疲れてきた。
ターンバックル締めが一か所だけの船首のひび割れが進行。もとより入手した丸太が曲がりくねっていて、波が侵入しないように船縁ラインを反り上げた船型を作るには細すぎたので、本来は水分が多くて組織も粗いので捨ててしまう白太部分も使っているので無理はないことなのだ。
 
心の弾力はまだ、若干は残っている。が、人に迷惑をかけたくないので「終わらせ方」を考えはじめて久しい。
 
幸いなことにN造船さんの自宅裏が保管場所なので、今朝は対策の相談に乗ってもらえることになった。
 
壊れていたアウトリガーの部材も、レジェンドサーファーにして名人大工のノブ兄貴がヒノキで作り直してくれることになった。
 
まだ終わっちゃいない。まだ頑張れる。もう少しだけ・・・。
 
 
 
 

休眠していた丸木舟がヌナカワ丸として復活!・・・日本海縄文カヌープロジェクト海

2023年05月19日 20時58分07秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト
この夏、数年ぶりに丸木舟が復活する。
漕ぎ手不足に加え、8号線バイパス工事のバリケードで海に出ることができなかったのだ。その間に自作ドーリー(運搬カート)のタイヤもバーストしていた。
ドーリーは自動車のホーシングを解体屋で売ってもらって自作。
 
ありがたいことに海遊びで地域活性化に取り組む仲間がでてきて、6月下旬のイベントで丸木舟の出番がきた。海の先輩に相談したら、ジェットスキー用のドーリーを無料提供してもらえた。
 
この際に改良して船名をヌナカワ丸に変えることにする。
ねじり曲がった丸太でつくったので最大船体幅が60㎝強しかいが、ダブルアウトリガーをつけているので安定性はバツグンだ。
波高1mくらいなら外海でも危なげがないのは、お隣の上越市まで28キロの航海で実証済みだ。
 
ことによると今年の糸魚川市・モンベル共催の「SEA TO SUMMIT」はヌナカワ丸で伴走することになるかも・・・3人で漕げば時速6~7キロは出て、漁港周辺の不規則な潮流を突破してシーカヤックを先導できる。
 
我とおもわん有志よ、老若男女問わず出てこ~い!
 
越佐海峡の最短距離は40キロしかないから、漕ぎ手を交代しながら横断した例はある。しかし往復した例はないし、漕げるクルーなら交代なしでも8時間で横断可能だ。
 
上越から佐渡まで80キロ、糸魚川からなら120キロくらい。冒険ごっこの仲間を募集中!
 
 
 

海からみた糸魚川プロジェクト・・・目覚めよ縄文人(見習い)号

2021年09月12日 07時31分47秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト

「海のヒスイロード検証実験」で、青森の三内丸山遺跡までの780キロを目指したのが7年前。

推定船齢30年を超える愛艇「縄文人(見習い)号」は、航海前に中村造船さんで補修済みだったが、風波がデッキを洗う海況の時はどこから浸水するのか、マメにアカ汲み(排水)をしないと水船になった。

二度目の改修を終えた縄文人(見習い)号。文化財などで「平成の大改修」と報道されることがあるので、ここは大仰に「令和の大改修」と言っちゃう。
 
二か月半かかって沖舘川を4キロ遡上して、三内丸山遺跡まで到達した途端にラダー(舵)が壊れ、航海を終えて燃え尽きたかのような愛艇をマジマジと見て、モノにも気持ちが通じるし、命が宿ると自然に思えた。
黄色い部分がFRP補修箇所
 
航海を終えた愛艇はそのまま眠らせておいたが、今年に入って周辺からシーカヤックブームがジワジワと高まってきて、来週は県外のプロガイド一行を案内することになった。
椅子の左奥のパッチも浸水が疑われる箇所で、中村造船さんが見つけて補修してくれた。
 
そこで重い腰をあげて「令和の大改修」・・・再び中村造船さんに船体の補修をお願いして、浸水が疑われる箇所をFRPで補修。
 
ラダーも修理できたし、切れかかったバンジーコードも交換して縄文人(見習い)号が覚醒した。
 
能生~親不知の片道、能生~名立往復なら一日コース。
「海からみた糸魚川プロジェクト」始動!
 
能登のシーカヤッカーとも繋がったので、真脇遺跡から糸魚川mでの海のヒスイロード検証実験航海も視野にいれちゃう。
 
 

 


国内最大級の縄文丸木舟が糸魚川から出土したって?

2020年02月23日 22時20分21秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト

糸魚川の「寺地遺跡」から出土した3,000年前の木片が、新潟県内2例目となる「国内最大級の可能能」のある「縄文丸木舟と断定」と2月23日付けの朝刊に出ておりましたが・・・。

国指定縄文遺跡「寺地遺跡」は、晩期を中心にしたヒスイ加工遺跡。

出土した6本の杉柱の柱痕は国内初の木柱列遺構とされておりますので、県外から訪れるスピリチャル系の方も多いのですが、案内すると復元状態が中途半端過ぎてみなさんガッカリされますのデス(笑)

朝刊には、糸魚川市文化振興課による「・・・海用の大型縄文丸木舟が出土し、縄文時代におけるヒスイ交易の具体像を知る上で画期的な発見」とのコメントが出ていた。

これが報道されていた木片だが、たった90×38×10㎝の木片が出土しただけで、国内最大級の丸木舟の可能性も、海用であった可能性も「断定」できないでしょうに( ´艸`)

私は福井県「鳥浜貝塚」出土の幅60㎝クラスの丸木舟レプリカを漕ぎ、自作した幅60㎝の丸木舟で検証実験と長距離航海をした経験があるが、そのクラスで海に漕ぎだすとアウトリガーを付けるか双胴船にしないと転覆しやすく荷物も積めないので、例えばシーカヤックで「海のヒスイロード検証航海実験」の一環として、2か月半も掛かった糸魚川~青森県「三内丸山遺跡」までの780キロ航海は無理だと身に染みて実感している。

鳥浜貝塚での漕航実験をしたが、静水面であっても座って漕ぐとグラグラと転覆しそうになるので、SAP(マリンスポーツの一種でスタンディング・パドル・ボードの略称)のように立って漕いでいる所。

糸魚川市文化振興課はずいぶんと思い切ったコメントをしたもんだが、希望的観測が過ぎるのではないだろうか?


旅する月光仮面は75歳!・・・自立自律の旅人

2019年09月02日 08時14分24秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト

8月最後の週末は、たて続けに3組の来客で相変わらずの千客万来のぬなかわヒスイ工房。

金曜の午前中は大雨の中、突然にずぶ濡れの男性が工房にやって来て「どちら様で?」と聞くと「山形で会った沖縄の片山だけど、覚えてる?」

「え”~、スーパーカブ乗りの片山さん?!」

5年前の海のヒスイロード検証実験航海の時に、山形県遊佐町ののキャンプ場で会ったスーパーカブで旅する沖縄の片山さんと解り。工房に招きいれる。

酷い天気なので自宅に泊まっていったら?とお誘いしたが、小一時間ほど旧交を温めただけで、先を急ぐからと颯爽と西に去っていった。

北九州生まれで長年に渡り沖縄で海人生活、子供が巣立った後は沖縄を拠点に旅暮らしという人生経験豊富な男性だから、聞きたい話は山とあるのだが、恰好良すぎるぞ、75歳の片山さん!

さっと来てさっと帰っていく月光仮面や仮面ライダーかというくらいの潔さ!男らしいなぁ・・・。

自立・自律して人生経験豊富な逞しい人、こんな人に縄文なるものを感じる。


梅雨入り前の嵐・・・五千年前の海のヒスイロードを偲ぶ。

2017年06月02日 08時36分47秒 | 日本海縄文カヌープロジェクト

昨夜来から梅雨入り前の暴風雨。

3年前の今頃は、海のヒスイロード検証実験航海で、青森を目指して単独シーカヤックを漕いでいた。

出航は天気晴朗なれど波高しという海況だったが、出航2日目に暴風雨で6日間の停滞。

 

出航は5月前半で、新潟県内は西風が吹くと時化模様になり、そのまま暴風雨に成長というパターンが多く苦労した海域。

人家まで歩いて30分以上かかる、遮るものの何もない海岸に限って、暴風雨に遭遇してしまうのは何故?(笑)

大河津分水河口にて。無人の海岸で5日前後の停滞キャンプを四回経験した。

度重なる暴風雨で、新潟市目前でついにテントが破れ、ポールも折れた。愛艇の赤い旗が真横になびいていることに注目して欲しい。

暴風雨でテントが飛ばされないように、重石になる漂着物を拾ってはテントの杭の上に置いた。

やむなく廃屋で野宿した事も、今となっては懐かしい思い出。

 

新潟県内だけで1か月もかかるような航海では、先がどうなる事かと心配になった。

ところが新潟県最北の村上市から東北は晴天、無風という有難い海況が続き、航海は順調。

東北の梅雨の海は穏やかなのだ。

五千年前に青森の三内丸山遺跡までヒスイを運んだ海のヒスイロードの航海者たちは、梅雨時期に航海していたのではないかと思っている。