縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

師匠は長次郎さん、運慶さん・・・いっぱいいる。

2018年11月30日 08時30分32秒 | ぬなかわヒスイ工房

石笛作りの面白さは、勾玉と違ってカタチに制約がないこと。

螺旋を線刻したご神事用の石笛

 

特に原石の姿を活かして「中から石笛を削り出す」という運慶さん方式だと、作者とヒスイのセッション性が強くなり、その関係性に主従関係が無くなる所がいい。

私は縄文をテーマにしているが、それは意匠のみならず、その関係性そのもののことを言っている。

かって石笛の注文を受けたお茶人から「長次郎みたいですな!」と言われた時、「分かりますかっ!」と欣喜雀躍。

樂茶碗創始者の長次郎さんは、私の師匠の一人なのだ。

底の平らな部分は極限まで薄く作ってあるので、持った指が透けて見えるほど。

 

一見して簡単な仕事のようだから真似する同業者が多いのだけど、実は難しいし、とても時間はかかる。

孔を開けた原石をバレル研磨機にぶちこみ、機械に自動研磨してもらうだけでは、「長次郎みたい」とは言ってもらえないのですよ。

 

 


出雲と戦った奴奈川の荒ぶる神・まつろわぬ神の伝説

2018年11月29日 08時18分08秒 | ぬなかわ姫

古事記にヤマタノオロチ伝説は「高志之八俣遠呂智」と記述してあり、現在の出雲地方では奥出雲の製鉄民との闘いの記憶や、大山噴火の記憶と解釈されているようだが、古志(越)という部分の説明がなされていない。

東宝映画「日本誕生」は、1954年封切りの古事記を元にした豪華キャストによる上映時間3時間の超大作だが、三船敏郎演じる須佐之男の八岐大蛇退治の場面しか盛り上がる部分がないのだが・・・。

 

糸魚川市早川区には「八龍淵の主」というヤマタノオロチを連想する口碑伝承があり、概要は「八口山(ヤツクチヤマ・新潟県唯一の活火山である焼山らしい)に八口という悪者が住んでおり・大穴持神に征せられ大蛇と化し・八色の血を流して八龍淵に入った・この池から流れる川が八口川(現在の早川)である」というのがある。


また「出雲国風土記」にも「・・・大穴持命、越の八口を平け賜ひて・・・」と対応する記述がある。

ヤマタノオロチ伝説が、出雲東征の際に抵抗して戦った奴奈川の荒ぶる神・まつろわぬ神との抗争の記憶だとしたら私は誇らしく思う。

全国区の強い悪者が糸魚川の祖先なのだから。

「日本誕生」は特撮部分を円谷英二が担当しているのだが、肝心の八岐大蛇が・・・・。

 

他にも松本の神・能生地区の夜星武命(エボシタケルノミコト)が、奴奈川姫を娶らんとする出雲と戦ったとの口碑伝承もあり、夜星武命を悪い鬼とする民話にもなっている。

夜星武命が出雲を撃退して喜び踊った場所は「鬼舞」であり、八千鉾神が懐柔策に出て沢山いる妃を夜星武命に娶らせて弱体化を図ったのか、再び戦って敗れて降参した場所が「鬼伏」という地名の由来で、今もこの地名は残っている。

また能生地区平には、出雲と戦った奴奈川長者という悪者の伝説もある。

これら荒ぶる神・まつろわぬ神の戦いの口碑だけでも、奴奈川姫と八千鉾神の求婚譚の実態が窺えるのではないか?

だとすると現在の糸魚川におけるラブロマンス一色の奴奈川姫伝説キャンペーンでは、奴奈川姫のみならず郷土のために戦い散っていったご先祖たちも浮かばれない。


「日本誕生」に登場するヤマタノオロチがショボ過ぎて、ショパン猪狩の「レッドスネーク・カモン!」を連想するのは、私だけではあるまい(笑)





小さき声・・・奴奈川姫ご自害の伝説の地

2018年11月26日 22時35分32秒 | ぬなかわ姫

奴奈川姫のラブロマンスを唱える女性に根拠を尋ねたら、糸魚川市商工会議所主催の勉強会で習ったのだそう。

悲劇の伝説は教えてもらってないと聞いたので、悲劇の部分を教えたら「それでは奴奈川姫が可哀そう・・・」と愕然としていた。

地元の商工会議所は華やかな部分だけを地域振興素材として宣伝しようという意図があるのかは不明だが、私の所には、県外から悲劇の真相を知りたくて訪ねて来る方々ばかりで、この温度差に私も愕然としている。

悲劇の奴奈川姫伝説を最も物語る場所が、出雲から(あるいは能登から)の逃避行の末に、追い詰められて自害されたと伝説がある稚児ケ池だろう。

稚児ケ池は、ぬなかわヒスイ工房の真南2キロの蓮台寺の丘の中に位置し、奴奈川姫の慰霊をしたいので案内して欲しいという方々が年々多くなってきたが、地元では真逆な流れが主流・・・ちなみに写真右が丘になっている。

 

稚児ケ池の案内を乞う人には神道など精神世界方面の不思議な能力を持った人も多く、何がしかの悲劇を感じ取って私に教えてくれるのだが、その中でギクリとした事を言った女性がいた。

「ここに奴奈川姫の一族が住んでいたようですね・・・」

大正9年刊行の口碑を編纂した「西頸城郡誌」によると、この場所は「古昔一の市街あり奴奈川姫眷属の住地なり爾後斯境内に於いて舞楽或演劇の興行ありしと云ふ・・・」とあり、つまりは奴奈川族の王族が住み、境内で舞い、演劇をしていたというのだ。

彼女はその情報を知る由もなく、その場で感じたことを語っただけである。

普段は草叢をかき分けての登りが大変なので案内しないのだが、稚児ケ池のすぐ南は高さ数メートルの丘状になっており、頂上付近は山城の曲輪のように数段の平らな場所があり、造成した地形のように感じる。

最も広い平地は三十畳くらいだろうか・・・王族が住むにしては狭いし不便な場所なので、口碑が本当なら祭祀の際のお宮と観た方がよさそうだ。

我が寺町区では、戦前まで稚児ケ池で乙女が舞を奉納する神事が残っていたそうで、「舞楽或演劇の興行ありし」という記述は間違いないとは言える。

大正10年刊行の「天津神社並奴奈川神社」に「・・・斯西方ノ丘上ニ古社跡礎御手洗池等今尚存セリ・・・」と古いお宮の礎石が今もあるのだという記述があり、同じ場所なのかは不明ながら、稚児ケ池上の丘の頂上には確かに礎石っぽい石が置かれてもいたりするが・・・。

丘の上にあった石は、丸い砂岩のようで礎石にしては形状も素材も?マークがつく。戦後に植林もされている場所だから、曲輪状の地形も近世に造成された可能性もある。

 

稚児ケ池に人が住んでいたかどうかは確かめようがないが、前出の資料には古墳が「三十三塚アリ」と出ていたり、かっては稚児ケ池付近に「奴奈川神鎮座・・・大雨で流され・・・現在の天津神社の地に移った・・・」というような記述があり、興味深い。

奴奈川姫自害の伝説は姫川上流の長野県側にもあり、私は実見していないが姫が入水した「姫ケ淵」という深い淵があるのだそう。

非劇のどれもが口碑伝承ならロマンス説も口碑伝承。

だからロマンス説だけを教えるのは片手落ちではないだろうか。

 

 

 

 


小さき声に耳を澄ませて欲しい・・・悲劇の奴奈川姫伝説

2018年11月24日 09時27分25秒 | ぬなかわ姫

小さき声に耳を澄ませて聴いて欲しい。

滅びしモノ、破れしモノ、弱きモノの声は小さい。

 

最近の糸魚川では、奴奈川姫と出雲の八千鉾神のラブロマンスが官民あげて喧伝されているけども、新潟県内には出雲が攻めて来て破れ、奴奈川姫が拉致され、逃避行の末に追い詰められて自害した、という類いの悲劇的な伝説も多く残っていることを忘れて欲しくない。

 

悲劇は口碑口承でしかなく、ラブロマンスは古事記に記載されている求婚譚である、と反論する人もいるだろうが、古事記でさえ奴奈川姫没後、恐らく四百年以上も後に口碑口承を元に大和朝廷のために編纂された物語。

古事記に記載されている奴奈川姫と八千鉾神の求婚問答歌が素敵だから、きっと奴奈川姫は幸せだったに違いないという女性がいたが、奴奈川姫の時代は弥生時代後半~古墳時代前期くらいと推測され、国内で漢字は使用されていなかったし、姫が何語を話していたのかすら不明であり、ロマンチックな問答歌は後世の創作とみていいのではないか?


地域振興の素材としてラブロマンスを唱えるのは大きな声。

悲劇の伝説は小さな声。

どちらも口碑口承で、何を信じようと自由。

しかし、小さな声が大きな声にかき消されていき、やがてラブロマンスだけが既成事実のように語られていく事を危惧している。

もし悲劇の伝説に一分でも真実が含まれているのなら、昨今のラブロマンス一色の奴奈川姫ブームを奴奈川姫はどう思うのか?

奴奈川姫を祀る神社に、奴奈川姫と八千鉾神のツーショットの絵が奉納されたり、二人のラブロマンスを歌にした人もいる。

悲劇が真実なら、暴力で拉致され凌辱を受けた女性が、逃避行の末に自殺という事件を、後世の人がよってたかってオメデタイと祝っていることになるが、それではあまりにも奴奈川姫が可哀そうだ。


こんな投稿をすると多くの人に嫌われたりするかも知れないし、地域振興の素材としてラブロマンスを唱えている人達も私利私欲ではなく、地域の活性化のために頑張っているので、投稿を躊躇していた。

しかし敢えて苦言を呈したい。

ロマンス説を唱えている人も、小さき声に耳を澄ませて欲しい。




映画『「縄文にハマる人々」を縄文人(見習い)と観る会』

2018年11月22日 21時25分49秒 | ぬなかわヒスイ工房

平日の昼間に、映画『「縄文にハマる人々」を縄文人(見習い)と観る会』という無謀な企画がある(笑)

http://www.jomon-hamaru.com/#casts


映画を観たあと、私ごときの無名な人と縄文談義したいという人が集まるのか?と心配していたら、意外にも参加表明している人が何人かいるらしい。
現代社会システムに真っ向勝負のこの企画、参加したいという人に私こそ会ってみたいもんだ。

映画出演者には、懇意にしている人や会って話した事のある人が何人かいるので、オフレコ話しでもしますか・・・。

出演者には、4月に拙宅に泊まって長者ケ原遺跡を調査していったオランダ人考古学者のイローナさんもいるらしい。因みに我が家は古墳時代のヒスイ加工遺跡の真上にあり、私が小学3年生の時に発掘に来た考古学者の中に、出演者の一人、小林秀雄先生がいた。

 

日時

12月3日(月)

12:00 高田世界館集合

12:15 映画鑑賞

14:15 カフェ「世界のトナリ」で
    縄文人(見習い)とお茶しながら
    お話聴く会
   
16:00 解散
    

縄文人見習いの糸魚川初 縄文にハマる人々

 

 

 


大人になった気分の超小型勾玉・・・終わらない改良

2018年11月14日 17時18分09秒 | ぬなかわヒスイ工房

身に付けているのを忘れてしまう勾玉というコンセプトで開発した超小型勾玉は、ぬなかわヒスイ工房の人気商品の一つだが、懸案事項があった。

留め具に使用していたステンレス製の引き輪は、首の後ろで装着するには慣れが必要だし、年配のご婦人の場合は大変だろう。

デザイン性と機能性を併せ持つ留め具を探していたところ、宝飾品に詳しい女友達から紹介されたのが、グッドデザイン賞受賞品のマグネットクラスプ。

ちょっと大人になった超小型勾玉です(笑)

ちっちゃい。

 大首飾り製作に没頭しているうちに在庫が枯渇という異常事態・・・せっせと作りためております。

 

一般的な円筒形より薄型で襟首で違物感が無さそうだし、横方向から捻りながらカチッと留める方式だから、真っ直ぐ引っ張っただけでは外れない安心感がある。

このクラスプの会社社長と電話していたら、私の大好きな浅草の人で意気投合して無駄話に華が咲いた。

下町のざっくばらんな人間関係は、いいもんですな。

 

 

 


縄文の感性・・・響きあい

2018年11月11日 22時14分47秒 | ぬなかわヒスイ工房

地域おこし協力隊の女性から、ヒスイ製クリスタルボウルの音を聴きたいという願いを聞いて実現したのが、牧野持侑さんの糸魚川再訪ライブ。

参加費用は現金ではなく、糸魚川産食材の持参というイベントでヒスイ製クリスタルボウルの演奏会をすることになった。

 

多忙な牧野さんを1回だけの演奏会で呼ぶのは忍び難く、前日には牧野さん繋がりの十日町の方にお願いして、上越市でもライブして頂けることになった。

それが先日ご紹介した「師走の響きを聴くin上越」である。

 

折しも最古級のヒスイ大珠のレプリカ作りを頼まれたタイミングで、実物が六千年ぶりに糸魚川に里帰り展示されるという奇遇。

持ち寄った食材を糸魚川の調理師さんたちが料理して、参加者ともども食べるという企画。

 

観世流の伝書「風姿花伝」に、他者との響き合いの重要性が力説されているが、世の中は無自覚のうちに何かと響きあっているのですね。

偶然の一致と捉えるか、響き合いと捉えるかはその人の感受性次第で、真実かどうかはどうでもいい。

ただ響き合いと捉える感受性を持つと、世の中は満更でもないし、豊かな人生といえるとは思う。

We are not alone!・・・SF映画「未知との遭遇」のキャッチフレーズだが、縄文人の感性でもあると思う。




最古級のヒスイ装飾品が六千年ぶりの里帰り

2018年11月07日 07時54分35秒 | ぬなかわヒスイ工房

国内最古級のヒスイ装飾品の出土品は、六千年前の山梨県の天神遺跡出土の大珠。

天神遺跡出土の大珠の写真だが、順光と逆光を上手に使った見事な撮影で、出土品に対する撮影者の愛情を感じる。

 

レプリカ作成を頼まれたので、発掘者のY先生に実測調査の手続きを相談したら、奇遇にも電話の直後に糸魚川市が実物を借りに来たとのこと。

Y先生とは昨年に勾玉のご注文を頂いて以来、色々とご教示を頂いたり、先生からも出土したヒスイ製勾玉の鑑定に関する相談を受けりと、有難い交流が続いている。

糸魚川で展示企画でもあるらしい。

 

最古級のヒスイ装飾品を糸魚川市民が観る機会だし、私もじっくり観察できるので有難い。

原石供給地という点では六千年ぶりの里帰りなのだが、この当時のヒスイ加工遺構は糸魚川では見つかっておらず、現時点の最古級の加工遺構は、記憶によると天神遺跡と同時代の柏崎市にある大宮遺跡・・・間違ってたら申し訳ない。

糸魚川にある黒姫山と同じ名前の山が、新潟県内に柏崎市と妙高市にもあり、その三つの黒姫山に囲まれた範囲が、奴奈川姫を祀る奴奈川の郷という有力説もあるので、ちょっと拡大解釈だが加工地の里帰りでもあるとしても罰は当たるまい。

糸魚川の人ばかりでなく、上越市柏崎、妙高の人達にも観に来て欲しいものだ。




ヒスイの響きで倍音浴・・・倍音キング牧野持侑in上越、糸魚川

2018年11月03日 10時12分42秒 | ぬなかわヒスイ工房

2017年秋、長者ケ原遺跡での奉納演奏会の感動を再び!

ヒスイ製クリスタルボウルの里帰り奉納演奏会は、長者ケ原遺跡の掘立柱建物の前で実施。

四千年の時を経て音楽が演奏された至福の時。ヒスイ製クリスタルボウルは、水晶の粉末に糸魚川ヒスイの粉末を加えて作った器を、こすったり軽く叩いたりして不思議な共鳴音を響かせるヒーリング楽器。

 

糸魚川ヒスイを原料に加えた世界初のクリスタルボウル開発者にして、日本にクリスタルボウルを紹介した倍音キング、牧野持侑さんが体験会と演奏会を上越市でしてくれることになりました。

翌日2日には、詳細未定ながら糸魚川でも演奏会予定。

世界の牧野が奏でるヒスイの響きで倍音浴、温まってください!