縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

後期高齢者対応の収納術・・・プラスチック製品が与える情緒世界

2019年02月27日 07時53分25秒 | こんなモノ作った!

夏だけ通風に開けるドアの枠の中に壁面収納を作って、脱衣所改装はひとまず終了。

もちろんドアの開閉は可能。折り畳み椅子は足腰の弱った親父が着替えをする時に使う。

邪魔だったヘルスメーターと掃除用バケツも収めた。

 

以前はプラスチック製収納棚が並んでゴチャゴチャしていたが、プラスチック製品が一掃され、集成材で作った棚といえども木の香りが漂い、統一感も出た。

使いたいものがどこにあるか一目で解り、背伸びしたり踏み台を使わなくてもいい収納方法は後期高齢者対応なのだけど、危なっかしいからお袋に踏み台を使って欲しくないのだ。

それにしても・・・だ。

プラスチック製品を排除したら空間に豊かさや安らぎが出たというのも意味深である。

プラスチック製品に囲まれた空間が情緒に及ぼす影響は、ちょっと怖い気がする。

 

 


目途が立つの語源が三千年前の寺地遺跡出土の木柱根に!・・・モノからヒトを観る

2019年02月25日 08時14分04秒 | 縄文

長者ケ原遺跡をガイドしたら、例年なら3月下旬くらいの積雪状態で驚く。

 

遺跡公園の入り口にある20号住居には直径1m×深さ0.3mくらいのピットがあり、中から砥石やヒスイの欠片が出ているのでヒスイ加工の時に使ったらしい。中でしゃがんだ姿勢で地面を作業机にしていた可能性がある。

考古館の見所のひとつが、国内初の木柱列の出土例である寺地遺跡出土の杉の木柱根の展示。


木柱根に溝が巡らせてあるのだけど、これは伐採時に縄をかけて引き出すための目途(メド)に違いなく、残念ながらこの説明が書いてないので面白さが半減している。


チェーンやワイヤーなどの鋼製索具が普及する以前は、植物繊維製の太い縄を巨木に回して引っ張り出していたので目途を付けることが運搬の最初の仕事だった訳で、これが「目途が立つ」の語源であるし、現代でも諏訪の「御柱祭り」でも同じことをしている。

「三千年も前に御柱と同じ技術があった証拠です」と説明すると皆さん驚くのだけど、モノにヒトの物語りが加わることでより興味が増すのではないだろうか。

素人の戯言と一笑されるかも知れないが、モノからヒトを知ることが考古学や民俗学の醍醐味と私は考えているので、見学者に興味を持ってもらう展示方法を工夫する必要はあると思う。

ノリのいいお客さんに「B型ですか?」と聞くと大抵は正解(笑)

 

もっと言えば、糸魚川市は長者ケ原遺跡と寺地遺跡という国指定縄文遺跡を二つも持ちながら、道路に案内看板がないというのも大問題で、誰かに糸魚川の縄文ならヤマダに聞け!と教えられていたらしい未知の人から、糸魚川に来たのだけど遺跡の場所が分からないのですが、と電話を貰ったことさえある。

これでは発掘された埋蔵文化財が埋蔵されたままと同じだと思うのは私だけ?(笑)

 

 

縄文人見習いの糸魚川初 糸魚川の魅力 長者ケ原遺跡 寺地遺跡の木柱根の目途


狭い部屋には作業台兼の箱型移動式収納が便利・・・こんなもの作った!

2019年02月24日 08時37分07秒 | こんなモノ作った!

お袋の家事負担軽減のために、布団乾燥機に次いで衣類乾燥機を導入した。

大きな収納棚を撤去して衣類乾燥機を置く空間を作り、設置台と収納は自作。

洗濯機上の壁面棚はタオルと洗剤用、乾燥器上の壁面収納は洗剤などのストック用で耐水ベニアだけで作ったが、事前に壁下地にビス止めした垂木の上に棚を置いてビス止めすれば独りでも簡単に設置可能だし、強度も十分。

衣類乾燥器の台はホームセンターで買ったイレクターパイプで現場合わせ。耐震用に壁面にビス止めしてある。

洗物を洗濯機から乾燥器に移すための収納兼の作業台は、移動可能式にして普段は乾燥器の下に収納・・・以前よりスッキリして脱衣所が広く感じる。


骨組みのない作業台兼の箱型移動式収納は、度重なるぬなかわヒスイ工房の改装で会得したのだが、狭い部屋を効率的に使いたい場合はお勧め。

オレンジ色に塗装された耐水合板は湿気に強いということもあるが、1枚あたり400円ほど安い構造用針葉樹合板(ラーチ合板)より強度もある。

ただし厚みが四分(12㎜)しかないので、いきなりビス止めしてしまうとビスの先端が突き出てしまう危険があり、ちょっと面倒だが下孔は開けおく必要はある。

DIYの妙は安上がりというだけではなく、「現場合わせ」と作る喜びに感じる。

 

 


縄文のヒスイ交易の実際は贈与と返礼・・・糸魚川のズワイガニ

2019年02月22日 08時15分42秒 | ぬなかわヒスイ工房

工房に訪ねてきた漁師さんから、生きたズワイガミを三杯も頂いた。


昨年は別の漁師さんからアンコウやブリを頂いたが、海の男のやることは豪快で気前がいい。

クプクプと泡を吹いております。

 

気持ちを金銭ではなく「贈与」で表し、贈られた側は「返礼品」で表す関係性は、縄文のヒスイ交易もかくあらんと思うのだが、江戸期のアイヌと和人の交易においてのアイヌの考え方もそうであったようだ。

味噌汁、カニみその焼き物、茹でカニとこの晩はカニづくしご飯。

 

漁師さんにはヒスイ加工の実際を教え、私は漁や海の実際を教えてもらう。

得たものは情報であっても、受け取った以上のお返しをしたいのが人情。

お金を介さない、お金で計ることのできない「贈与と返礼の人間関係」は、ある民俗学の本に親戚扱いの付合いになると書かれていた。

田舎はそんな人間関係が濃密に残っている。

 

 


ヒスイ加工の便利道具ドッピングワックス・・・象嵌ルース

2019年02月20日 18時26分47秒 | ぬなかわヒスイ工房

師匠と呼ばせて頂いている有名な鍛冶屋さんから依頼された、華道の花鋏に象嵌するルースが完成。

0・1㎜単位の精度が必要ということもあるが、鋏を注文しても二年待ちという師匠の眼鏡に適うのか?と物凄いプレッシャーの中で加工。

鋏を求める人も宗家や師範格のような人だろうから、戦々恐々の納品。

北斗星・・・遊んでみました。

 

ヒスイ研磨の際にどうやってヒスイを保持するのかとよく聞かれるが、棒の先端にドッピングワックスという接着剤を溶かして固定する方法もある。

ドッピングワックスは通称ドップと呼ばれ、勾玉研磨でも使う人は多く、片側づつ固定しての研磨となる量産に向く方法。


私は裏表均等に研磨して1点づつ仕上げたいので勾玉ではドップは使わず、片面だけ研磨すればいいルース限定で使用する。

ヒスイは乾式研磨だが、当然ながら摩擦抵抗と研磨熱は凄いものはある。

ではドップ無しでどうやって勾玉を保持しているのか?

手で持って根性で耐えているのだ・・・だから指の筋肉は発達して皮が厚くなっている(笑)

以前は古典的な松脂ドップを使っていたが、ヒスイ加工の大御所のN師匠から頂いた最近のドップは段違いに使いやすい。右端がドップ


弥生時代前半の穿孔具の石針は直径1×長さ25㎜程度・・・持ちにくい石針を松脂で固定して作ったのだろうか?

不思議。




戦争のリアルを想う・・・ゼロ戦ガチャポン

2019年02月18日 07時54分51秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

まったく気が付かなかったが、たまに行くビデオ屋さんにガチャポンコーナーがあった。

土偶ガチャがあれば投資しようではないか!とチェックしたら・・・

プラモデル少年だった私の世代を狙ったのか、ガチャポンに零戦52型シリーズを発見、ただちに迎撃機発進!

「第253海軍航空隊 岩本徹三飛曹長機 駐機バージョン」というマニアックなのが出て来た。主翼付け根が四角い赤枠に塗られているのは、整備や搭乗の際に可動部のフラップを踏まないための注意・・・やたらとリアル!

増槽タンクの構造は先行機種の32型仕様ではあるものの、300円のオモチャにしては翼端灯や排気管、弾倉などリアルに再現されていて驚く。

岩本さんは機体に撃墜数を桜花マークで描いていたので、機体後部がピンクに染まって見えたという伝説的な撃墜王。

 

戦後出版された岩本さんの回想録には、出版社の配慮か所々の個人名が伏字になっているほど、切々と理不尽な闘いの恨み節が書かれていている。

日本がアメリカと戦争をしたことを知らない若者が多いそうだが、旧軍人の戦争回想録を読んで欲しいもんだ。

私の小学生時代、学校の図書館には戦記シリーズが並んでいたし、プラモデルの箱には実物の仕様や戦争の概要などがきちんと書かれていて、小学生といえども近代史の概要は把握していたもんだが。

「T字戦法」「死んでもラッパを離さなかった木口小平」なんて言葉を知らんのだろうねぇ・・・今時の小学生。


史上初?勾玉ニンカリ試作・・・商品化の裏の膨大な試作

2019年02月16日 11時47分20秒 | ぬなかわヒスイ工房

アクセサリー作りをする友人からアイヌの耳飾りニンカリの構造を聞かれた機会に、萱野茂さんの「アイヌの民具」を参考にしてニンカリ試作。

もしかしたら史上初の勾玉ニンカリ?実物は銀・鉛・鉄の針金を輪にしただけであったり、丸玉が1個入っていたりするようだ。

こんなシンプルでよかったんだ!とニンカリの構造に目から鱗が落ちる。

下げるとこんな感じ

ピンクヒスイ3点の写真は、左は通常品で他は釣り具のタルカンを介在させた試作品。

 

タルカンは釣り糸の撚り戻し用の回転具で、勾玉もクルクル回るという発想だが、お洒落そうなご婦人たちに観てもらったら不評(笑)

明日は四名の麗しきご婦人たちが訪ねてくるので、忌憚のないご意見ご感想を謹んで受け入れる所存。

 

仕事に疲れるとこんな「手遊び」をして気分転換しているが、商品化できなくても発想や技術の引出しになるので意外に馬鹿にならない。

成功の裏には膨大な試作と失敗がある訳で、結果だけをパクる人にはその過程がない故か、作品からは浅薄な印象を受ける。

噂が聞こえてくるのですよ・・・私のSNSや販売サイトをチェックして真似する、させている人々の存在が(笑)




なんで勉強しないといけないのかは勉強しないと解らない(笑)・・・ヒスイ製ご神鏡

2019年02月15日 07時56分34秒 | ぬなかわヒスイ工房

「神棚に祭るご神鏡と、それを取り巻く5色のヒスイのセット」とだけ依頼されて、どんな意匠をイメージするだろうか?

誰でも考えそうな丸いご神鏡を作ることを考えないのが、臍曲がりの私の流儀。

原石の姿を活かし、裏側は凸凹状態のまま汚れ落とし研磨・・・

表側は鏡面仕上げしたが、最も薄い部分で1㎜程度の極薄なので、研磨時の摩擦熱をなんとかする工夫は必要・・・ヒスイ加工を仕事にしてから指の皮が随分と厚くなった。

ご神鏡を飾る台は、伊勢神宮の「唯一神明造り」の屋根をイネージして竹で作成。真横から観ないと解りませんが・・・。

5色のヒスイという課題は、5色ヒスイで超小型勾玉の連環作成。

完成!

 

この意匠は「大首飾り」を経験したからこそ出てきたと思うのだけど、いろいろと想う処がある。

未知との出会いは、個人の枠組みを越える成長の機会ということ。


「大首飾り」以前と以後では、違う世界が拓けてきたことを実感している。


なんで勉強しないといけないの?役にたつの?と子供の頃に思っていたが、出会いも含めて、勉強しないとその答えは解らない、あるいは勉強するとその問い自体が解消するのでR!
ちょっとキザですが(笑)




土偶と葉痕の類似性について若干の考察

2019年02月11日 07時23分09秒 | 縄文

某教育方面の機関誌から文章を依頼され「土偶と葉痕の類似性について若干の考察」というアカデミックな学術論文(笑)を寄稿。

比較写真の提出も求められたが、著作権などが色々と面倒なのでお絵描きも出血サービス。高校時代は美術部だったので模写は得意なハズだったのに、往年の絵心は何処に・・・3回も描き直して締め切り当日に間に合った。

 

不覚にも葉痕(ようこん)という言葉を初めて知ったのだが、教えてくれたのは信州でリンゴ農家をしている友人で、樹木の落葉時にできる傷痕とのことだそうだ。

葉痕の写真を見せられて、縄文時代の顔面把手深鉢や土偶の顔に似ていることにハッとした。

現代人でも「かわいい!」と思うくらいだから、縄文人が「うちの子供に似ているよ、これ!」と嬉々として土器装飾のモチーフにした情景を想像すると微笑ましく、五千年前の人との繋がりを感じてホッコリする。

ヒトはモノと出会い、心が動かされるとワレとモノとの関係性をモノガタリにする。

モノガタリは記憶の引き出しにしまい込まれ、何かを作る時に手を介在してモノガタリがカタチとして結実する。

平安歌人が子供の遊ぶ声を聞いて心が騒いで「遊びをせんとや生まれけむ」と歌を詠んだそうだが、縄文人(見習い)のワタシは葉痕を観て心が騒いで「土偶と葉痕の類似性について若干の考察」として、こんな主旨の駄文を書いた。

 

 




欠点を個性に・・・蕨手紋線刻ヒスイ石笛

2019年02月09日 18時19分44秒 | ぬなかわヒスイ工房

石目が斜めにざっくり入った地味なヒスイ・・・。

一般的には傷物扱いで使い物にならんとされるが、こんなヒスイに出会うと私は「世界のクロサワ」の眼になり、引き出すべき個性を探す。

透過性の良さを活かして、反対側の光が透けて見えるくらいまで薄く作り、石目に沿った蕨手紋を線刻。

石目を模様として感覚できればいいのだが。

持った指が透けて見えるくらい薄く作ってあるので、石笛が共鳴振動してくれるので倍音成分が非常に豊富。

微妙な曲線と徹底的な研磨に拘る・・・私の石笛を真似する同業者は多いのだけど、みなさん手間暇を惜しんでおられるようで直線的デザインが多いようですな。

 

縄文前期のヒスイ大珠は加工技術の未発達もあってか、石目や不純物も「ひとつの世界」とでも言いたげな作りだが、弥生時代以降は完全無欠な綺麗な部分だけで勾玉を作る傾向が強くなる。

私の目指す縄文スタイルは、アンチ完全無欠。

良質なヒスイの入手が難しくなった昨今、欠点をも個性と捉えた作品作りをしていかないと、冗談抜きに近い将来に廃業もあり得ると危惧している。