福島県埋文コレクションの珍品のひとつが、室町時代の温石(おんじゃく)で、素材は滑石片岩とのこと。
福島県埋文コレクションの珍品のひとつが、室町時代の温石(おんじゃく)で、素材は滑石片岩とのこと。
火打石で発火する時に必要な火口(ほくち)の量産方法を工夫してみた。
火打石と火打金を擦って火花を飛ばすだけでは魔除けの「切り火」はできても焚火はできず、火口に火花を落として息を吹きかけて育て、焚き付けに点火させるためには火口は必須だ。
これまでは和光大学の岩城名誉教授から教えて頂いた、電気コンロに火口素材を乗せて焼き、燃えたら空き缶に入れて蒸し焼きする方法で火口を作っていたが、この方法は焼きムラができやすく一度に沢山作ることができないのが難点。
ぬなかわヒスイ工房では「ヒスイ火打石セット」http://nunakawa.ocnk.net/product/893を販売しているし、体験会で大勢に使わせることもあるので以前から量産したかった訳ですわ。自分で作ってみたい人はご参考までに。
小さな空気孔を開けた空き缶に火口素材を入れ、蓋をして開放型ストーブの乗せて焼く。熱源はコンロでも焚火でも可。
5分もすれば空気孔から白い煙が出てきて、10分くらいで煙いくらいモクモクと出てくる。写真は空気孔から煙が出始めた状態。ちなみに蚊取り線香のお徳用缶なら空気孔をわざわざ開けなくても把手を外すだけ。
煙の出が細くなったら空気孔を木栓で塞いで、火を消して手で持てるくらいまで冷めるまで待つ。これが蒸し焼きの状態。木栓は丸棒や小枝などで事前に作っておく必要有り!
今回はゼンマイ綿、木綿タオル、脱脂綿の3種類を同時に入れたので素材によってバラツキが出たが、同じ素材で蒸し焼きすれば均質な火口ができそう。そのうちに古典的な火口素材のガマの穂でもやってみたい。
不要の茶筒、お徳用蚊取り線香の空き缶などが使いやすく、自分で使うだけなら充分な火口ができそうなピース缶も有り。
アルプスの氷河で発見されたアイスマンは、黄鉄鉱の火打金、フリントの火打石、カンバタケを蒸し焼きした火口を持っていたらしいが、東北や北海道ではホクチタケと俗称されるツリガネダケ、カイメンタケ、マスタケといったサルノコシカケの仲間を火口に使っていたらしい。
この知識があれば山歩きの楽しみも増えるはず。
知っておくと便利なサバイバル技術。
北部ラオスの夜店で買った竹筒に入ったモン族の火打石セットは、チャートの火打石、金切り鋸をリメイクした火打ち金、モグサがセットになっていた。
うつけもの(愚か者)と呼ばれた若き日の織田信長の姿は、荒縄の帯に火打石をぶら下げていたと太閤記で描かれているが、うつけものだから火打石を持ち歩いていた訳でなく、昔の人なら当たり前のアウトドアの必須道具だったろうし、実際には火打石だけでは火を熾せず、これらと同じセットを革袋にでも入れて腰から下げていたのだろう。
黒沢明監督の「七人の侍」では、前半の三船敏郎さんと千秋実さんが小さな革袋を腰からぶら下げているが、恐らく火打石セットだろうと思う。革袋がなくても材料が簡単に入手できる竹筒もアリな訳ですな。
着火したモグサを植物繊維に包んで息を吹きかければ炎に育てることはできるが、昔の人は屋外でどのようにして繊維を手に入れていたのか?杉や松の樹皮の内側の柔らかい部分をほぐして作ったものか調べたが文献には見当たらず、実際を知りたいものだ。
私の場合はジュート紐をほぐしたモシャモシャ状にした繊維を使うが、2月の忍者入門講座で披露したら子供たちはビックリするだろう。
「石のまち糸魚川」を宣伝したいなら鉱物学だけでなく、こんな遊びの要素があると興味を持ってもらえる。
チャート、石英、頁岩、瑪瑙、そしてヒスイと、火打石になる石はゴロゴロ転がっている。
寒い夜はゴム製湯たんぽを布団に入れている。
金属製や陶器製、プラスチック製など色々な素材を試したが、ゴム製湯たんぽは体にフィットしてくれるし、使わない時はペッタンコになり、いざという時には水枕としても使える一器多用でもあるからか、意外にも発展途上国の市場で普通に売っている。
DIYで作った隙間だらけのぬなかわヒスイ工房でも石油ストーブを焚くとそれなりに暖かいが、時間と共に空気が濁ってくるのが問題だった。
そこで3年前からゴム製湯たんぽを風呂敷に包んで腰に巻いて仕事をしてみたら、これがいいのだ。
お湯を入れた湯たんぽを風呂敷に巻いて巻くだけ!
こんな感じです。厚着しなくても室内温度を3~5℃は確実に落とせるから、エコでもあるしホッカイロと違って使い捨てでない所もいい。
今年は従来の2リットルタイプ(青い方)から800ccタイプに変えたら、軽くてピッタリと腰にフィットしてくれて具合がよく、寒い所で働く人にお勧め。
2リットルタイプだと腰に巻くと出っ張っていたが、800ccタイプだと人に気付かれない程度に収まってくれる。
そして2リットルタイプは猫のベッドになった(笑)
寒い時期のバイクツーリングの時、1個しかないホッカイロをどこに当てると最も効果的なのかを試行錯誤した結果、仙椎(腰骨の真ん中)に当てると体全体が温かく感じることを覚えた。
次が両側胸部(脇の下)、その次が下腹部で、体中にホッカイロを当てるより局部を温める方が温かさを実感できるという結果を得た。
いざという時はペットボトルでも代用できるので、覚えておきたいサバイバル術!
私がサバイバルグッズとして車に常時車載しているのが、手斧と折畳み鋸、そして火吹き竹。
わざわざマジックで火吹き竹と書いているのは、焚き木として燃やされてしまうことがあからだ。縄文イベントの度に火吹き竹を燃やされては堪らないから、参加者の中から焚火奉行を任命して、火吹き竹は焚火奉行のタマシイであるので死守すべし!と言っておけばいい( ´艸`)
縄文イベントで焚火を起こす際に、火吹き竹で火を煽るだけで「おー!」と声を挙がるのは、火吹き竹を使ったことも観たこともない人が多いのだろう。
やらせてみると竹をガッポリと口に咥える人もいたりと面白いのだが、ギャルの場合は「駄目だよ~、間接キスになっちゃうからぁ~」と優しく注意するが、オジサンの場合は「コラ~!汚えっ!誰も使えないから洗ってきてっ!」と怒鳴られるとことになる。
大抵は力むばかりで上手くいかず、立ち眩みしました~なんて言われる。
節を残した先端に小穴を開けておく。小穴のサイズは各人の肺活量に応じて。途中に節がある場合は棒などで突き崩しておくが、私は端材の鉄筋や長いバールで突いて節抜きをしている。
使い方のコツは実に簡単。
火吹き竹の端で、唇周囲を空気が漏れない程度に密着させて覆い、頬っぺたを膨らませて火を熾したい部分をピンポイントで狙ってゆっくり息を吹き込めばいいだけだ。
プーっと息を当てると、その部分だけポッと少しだけ炎が立ち上がる。
ゆっくり息を吸い込んで再びプーと息を当てると炎の範囲が広がる。あとはその繰り返し。
アドバイスすると、子供でも簡単に火が大きく育つので、面白がって火吹き竹を奪い合うようになるのが微笑ましい。
インドの雑貨屋では直径30㎜くらいの鉄パイプが火吹き竹として売られている。
節がない中空のパイプの場合は、パイプの端から10㎝ほど口を離して、パイプ内部に添わせるように息を吹き込めばいいということを、南インドの安食堂で目撃して学んだ。
上手な人だとシュルシュルシュル~といい音がして、聞き惚れてしまう。
日本でも先端の節が焼けてしまった火吹き竹を捨てず、こんな使い方をしていたらしい。
東南アジアやインドの人々の日常生活は、サバイバル術の見本市のようなもの。
覚えて損はないサバイバル術。
工房にアシナガバチの巣があるのを知ってはいたが、性質がおとなしく毒も弱いので黙認していた。
ウィキぺデイアさんのフリー画像より。ミツバチと違い、アシナガバチはスズメバチの仲間で肉食だとか。
ところが不注意から蜂を刺激してしまい、2日続けて刺されてエライことになったので、みなさんご注意!
動悸、呼吸困難、酩酊感、発熱と急性アルコール中毒のような症状・・・普通の人なら救急搬送レベルだが、私は整体協会の教授資格者だからこんな時は冷静だ。
定石通りに毒消しの操法をしたら、一瞬で症状は消えた。
整体スゲ~!・・・と喜んだのは束の間で、次は胸、鼠径部、後頭部に猛烈な痒みが出てから全身に蕁麻疹が広がり、唇まで腫れてきた。
毒を排泄したがっている訳ですな。
緊急事態は過ぎたので、慌てず裏の海で泳いだら、3分ほどで痒みと腫れが収まってきた。
自宅裏がひすい海岸で、夏は仕事の後に海で泳いで汗を流して体を冷やしております。この日も県外からのヒスイ拾いの人で賑わっていた。
泳いで体が冷えたら日光浴。水深2~5mくらいまで海底を這うように泳ぐ。ついでにヒスイが拾えれば一挙両得だが、あくまでも海底散歩が目的。
真っ赤だった体の色が引いて、赤い発疹がポツポツと浮き出ていたので海水浴と日光浴を数回繰り返すうちに発疹も消えた。
海の浄化力もスゲ~!
アシナガバチを舐めてはいけん(笑)
予備知識ないまま映画「狩人と犬・最後の旅」を観た。
大首飾り製作で休みなく働いているので、せめて週に何度かレンタルDVD映画の鑑賞をしている内の1本。
美しい映像に息をのむが、主人公がカヌーや馬で急流を下る場面、チェーンソウ無しで手道具だけでログハウスを作る場面、犬ぞりの場面などのリアリティーが半端なく、主人公の存在感も凄いので、途中から俳優の演技ではなく本物の狩人だと確信した。
極北の朝日と夕陽に拘った映像美が凄い!
主人公ノーマンさんの動きや道具扱いのうまさと仕事の手際の良さ、なにより存在感が凄い!
メイキング映像を観たら、やはりアラスカで50年も狩猟生活をする狩人ノーマンさん本人主演によるセミドキュメンタリー映画だった。
生態系の頂点に立ち、絶妙にバランシングする役割を担う彼は「俺も動物の一員だよ。」と語る。どんな局面でも静かに淡々と対応するホンモノのリアリズム!
監督は自身が冒険家でもあるフランス人のニコラ・ヴァニエで、北極圏を犬ぞり旅行中にノーマンさんと知り合ったとか。
環境問題、アウトドア、サバイバル、そして縄文に興味のある人にお勧めしたい名画。
北に旅したくなってきた。
陶器製の湯たんぽは、金属製やプラスチック製、ゴム製湯たんぽにないジンワリした温もりが優しい。
年に何度かのよほどに寒い夜は、こいつを足元に置き、体には水枕型のゴム製湯たんぽを密着させて眠っている。
最近はネットでも買えるようになった陶器製湯たんぽは、20年ほど前に都内の雑貨屋さんで購入。
30年来いつも持ち歩いているフランスの「グランテトラ」の登山用水筒は、扁平なアルミ製なので水を入れると氷嚢、お湯を入れると湯たんぽになってくれるサバイバルグッズ。
ヨーロッパの登山用品は、アルプス登山で培われてきた質実剛健でレトロなデザインが好ましく、この口金で開閉するタイプの水筒は慣れると片手でワンタッチ開閉できるので、非常に重宝している。
でも防寒サバイバルの究極は、以前にも紹介した温石(おんじゃく)だろう。
蓄熱性に優れた石を囲炉裏の灰の中で温め、ぼろ布で包んで懐に入れて防寒や、具合の悪い所を温める民間療法にも使われた元祖懐炉である。
江戸時代の糸魚川では特産品であったようで、参勤交代途上の加賀藩の前田公が俄かに腹痛を起こし、温石を薦められてたちどころに快癒し、将軍家に献上したと記録に残っている。
実際にどんな石材が使われていたのかは不明だったが、実物が根知区の「塩の道資料館」に展示されており、蛇紋岩だと解った。
囲炉裏がなくても石油ストーブの上に置いておくだけで温まるし、砂に埋めた上で焚火をして温めてもいい。
蛇紋岩以外に滑石製もあったようだが、どちらも糸魚川の海岸で拾える石材だから、いざという時のために覚えておくといいい。
除雪に嫌気がさしたら「どうせ何時かは自然に融けるから無理しなくていいのだ。」と開き直る事にしている。
かっての豪雪の時、信州の人が糸魚川に除雪ボランティアに来てくれて、信州とは全然違う湿って重たい雪に悪戦苦闘して、「新潟の除雪って大変なんですねぇ・・・」と驚いていたそうだ。
寒冷な信州や北海道の除雪なら高価なポリカーボネード製スコップは活躍するが、糸魚川のような湿った雪質だとサラサラな新雪なら有難い道具だが、汎用性は低い。
湿った雪質で活躍するのは金属製の角スコで、新調するならプロも愛用する金象印がお勧め。
金属製スコップには鉄製とアルミ製があり、昔は錆びた鉄製スコップに雪がくっついて難渋するので、軽くて扱いやすく雪が付かないアルミ製が使われていた。
アルミ製は軽いのが利点だが、先端にコンクリートや石が当たると丸まりやすく、また氷状に固まった雪だと歯が立たないのが欠点。
何時の頃からか、鉄製スコップが塗装されるようになり、雪がくっつかなくなった・・・これは糸魚川の除雪には福音。
重いのが唯一の欠点だが、この重みが締め固まった雪にスコップを差し込む時に威力を発揮する。
ハンドルから先端まで金属一体成型だから堅牢無比。国産初の量産スコップは日本中の現場で使われている。
柄が丈夫な中空パイプなので、いざという時はテコにもなる。
番外編だが、全金属製のスコップという事はフライパン代わりにも使える・・・やったことはないが(笑)
普及品故に安いので、一家に一本は常備しておきたいサバイバルグッズだ。
因みに植木屋は金象印の剣スコの両サイドをグラインダーで研ぎだし刃を付け、樹木の伐根の時にザクザクと樹の根っこを伐りながら穴を掘る。
SNSで首都圏の方が除雪の苦労を嘆く投稿を幾つか観たので、以前に投稿済みのプロのスコップの持ち方を再紹介。
多くの人はスコップを持つ前の手を逆手で持つが、腕が自由に使える分、負担が腕に集中して疲れやすい。
ところが植木屋や土木作業員などの現場では、写真のように前になった手を順手にしてスコップを扱う。
順手だと腕と背中が繋がり、体全体で動く事になり、負担が分散されて疲れにくいのだ。モデルの男性が除雪に悪戦苦闘していたので、順手持ちを教えたら「これまで60年以上の除雪人生、知らずに損した!」と驚いていた。
この現象を古武術研究家の甲野善紀先生なら、背中が使えることで力が分散でき、共同募金のように各部位の負担が少なく大きな力になる、と説明するのかも知れない。
私は整体協会の教授資格者だから「逆手は腕の局部的働き、順手は腕の全体化」と解釈するが、普通の人には?だろう・・・。
動きの主導は腕ではなく、膝で調子をとる。
局部の動きと全体の動き、使い分ければ随分違う。