縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

火焔型土器とサブカルチャー・・・新潟県立博物館には面白い考古学者がいる

2021年02月27日 08時04分48秒 | 縄文

新潟県立博物館が、考古学資料とサブカルチャーに関しての面白い本を出版している。

皇紀2600年の節目として企画され、幻に終わった1940年東京オリンピックのポスターが武人埴輪であったのは、皇国史観全盛だった時代に許される範囲で、日本は古い歴史を持つ文明国であると世界に紹介したかった思惑を感じる。
1964年の新潟国体では、火焔型土器を全面に打ち出しており、考古学が皇国史観の呪縛から解放されて、縄文文化を大っぴらに語れる時代になった開放感を感じる。
著者の学芸員、宮尾亨さんは膨大な漫画も読破されておられ、例えば「ヤマタイカ」「妖怪ハンター」に登場する火焔型土器は「火焔型土器A式2号」、「縄文少年ヨギ」では「火焔型土器A式1号」が詳細に描かれており、講談社「日本原始美術」の写真が元になっているようだと推測している。
縄文好きの来客にオススメしているのが「ヤマタイカ」で、私の周りにはファンが増えている。
「妖怪ハンター」の著者諸星大二郎の漫画は、作品の世界観自体からして縄文っぽい。
 
他にも「キカイダー」「鋼鉄ジーク」「三つ目が通る」「キャプテンハーロック」などに登場する考古資料の解説もあり、博物館の展示ケースの中に鎮座する考古資料を出して見せるような、子供でも親しみが持てる視点と工夫が素晴らしい。
 
宮尾先生にお逢いしたことはないが、子供の好奇心をそのまま維持して、ついに専門家になった人の強みですな。
 

 


226事件の決起軍の中に柳家小さん師匠が混じっていた

2021年02月26日 09時13分00秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

今日2月26日は「226事件」の日。

決起軍の中に、二つ目時代の柳家小さん師匠が、一兵卒として混じっていた。
演習だと聞いて、命じられるままに出動したら訳も判らないうちに反乱軍となってしまった。
 
意気消沈する兵士たちを励ますために、上官から一席やれと命じられたが、「誰もクスリとも笑わねぇ、あれほど受けなかったこたぁねぇ」と弟子に語っていたそうだ。
 
弟子たちは、うちの師匠は、天皇陛下に鉄砲を向けた謀反人!叙勲の時に陛下から「あの時は本気だったんだろ?」と言われて、頭を地面にこすりつけてあやまった!とネタにしていた。
 
小さん師匠も「あちこちのすずさん」。
 
NHKの歴史教養番組で、決起の一週間前には陸海軍ともにクーデター計画の詳細を把握していたが、阻止することなく傍観していたことが最新の資料で判明したと言っていた。
 
要するに汚れ役を純粋な皇道派の青年将校たちに押し付け、太平洋戦争に向けて軍政強化を目論んでいたようだ。
 
半藤一利の著書には、決起軍首謀者の一人、安藤大尉が大人物と認めていた鈴木貫太郎の夫人から助命嘆願を受け、とどめをささずに鈴木閣下に敬礼!と号令を掛けて立ち去ったとあるが、生き長らえた鈴木が終戦時の首相として、太平洋戦争を終わらせたことが、この事件の唯一の救いに思える。
 

自由人「放浪紳士チャーリ-」を共産主義者とするアメリカの保守

2021年02月24日 08時29分27秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画
喜劇王チャーリー・チャップリンが、共産主義者として50年間もFBIの監視下にあり、保守系キリスト教団体からも弾圧を受けていたというNHKのBSドキュメンタリー番組「チャップリン対FBI 赤狩りフーバーとの50年」を視聴。
ビートルズも同じ扱いを受けていたが、チャップリン映画から共産主義を感じとる感覚が理解に苦しむ。
 
チャップリン演じる「放浪紳士チャーリー」は、無国籍の放浪者である前提条件ゆえに国籍や民族、イデオロギーなどに帰属意識を持たない誇り高い自由人と私には感じられるのだが・・・。
彼が唯一帰属するとすれば、それはリベラリズムと社会的弱者に寄り添うヒューマニズムではないか?
 
チャップリンの言葉では「私は世界市民」なのだが、皮肉にも自由の国を標榜するアメリカ社会の半数と権力者たちは、ついに彼のリベラリズムを理解しえなかった。
 
語彙的にリベラルは保守の対義語ではないはずなのだが、真に自由な人に接すると拒絶反応を起こしてしまうのがアメリカの保守なのですねぇ・・・。
 
「イージーライダー」では、バイクに乗ったヒッピーを「気に食わねえ」というだけで市民が殺害してラストとなり、「ランボー」では道を歩いていただけのベトナム帰還兵を「気に食わねぇ」というだけで警官が逮捕拘留、そして暴力を振ることが話の発端となる。
チャップリンも「気に食わねぇ」とアメリカから追い出され、ついにはスイスに安住の地を見つけた。
 
極端な全体主義と異端を排除することを是とする社会は、共産主義、ナチズム、アメリカ式の保守主義も程度の差こそあれ、やることに変わりがなくなるのかねぇ。

 


春は蕾が膨らみ、胸も希望で膨らむから張る、ハル、春・・・春の手当て法講座

2021年02月22日 08時21分37秒 | 整体・動法・稽古会・体験会

年2回の恒例になった糸魚川公民館主催の子供向けの体験会は、今回は時節柄もあり家族でできる手当法の講座。

本来はこっちの方が本業で、ヒスイ加工は副業だったのだが今や完全に逆転してしまっておるのです。

春の気候に冬のままの体が順応できずに、不定愁訴や呼吸器の異常、花粉症に悩む人が多いので、ヨガや自彊術、操体法などを組合せた運動や手当法をピックアップして実習。
 
もちろんマスクをしての実習だったが、どういう訳だか私は話し出すとマスクがずり落ちて鼻が出てしまうので困りますナ。
 
毎度のことながら、我が故郷の子供は恥ずかしがりやが多く、実習にイマイチ身が入らないので、親子参加にしてもらっておりますヨ。
 
春は蕾が膨らみ、希望に胸も広がって張るから春。
 
冬に縮こまった頭や首を緩めて、骨盤系や呼吸器を活性化させるとよいのだ!なんて技の背景を説明しても、子供には通じないから母親と一緒だと助かるのデス( ´艸`)

 


石英系はややこしい・・・カルセドニー線刻石笛

2021年02月20日 07時15分02秒 | ぬなかわヒスイ工房

師匠と呼ばせてもらっている甲府の水晶職人から、これで勉強しなさいと段ボールひと箱分も頂いた石の中に混じっていた深緑の石は、模様がない石英系だからカルセドニーか???

石英系の鉱物は、縞模様があればアゲート(瑪瑙)、模様がないとカルセドニー(石英)、不透明ならジャスパー(碧玉)と呼ばれて売られているらしく、ややこしい。
石笛を作ったら、石肌にキラキラとラメが光る、いかにもパワーストーン屋さんで安売りされていそうな印象だったので、線刻してみたらずいぶんと相性がいい。
線刻は孔開けに使うリューターという機械を使っているが、初期は線の幅と深さが一定せず苦労していたが、現在は楽しい仕事になっている。
石英系の鉱物はヒスイよりずっとデリケートなので、勉強になりますわ。
 
 
 

赤碧玉の勾玉がカワイイ!

2021年02月19日 07時56分02秒 | ぬなかわヒスイ工房

産地不明の赤碧玉(ジャスパー)を頂いたので勾玉を作ったが、切断面が石英系特有の貝殻状断口にならず、研磨しても石肌にザラツキが残ったので、ジャスパーとして流通していても、厳密には珪化した赤い石とした方が無難ではないだろうか。

赤碧玉の親子勾玉でございます。でかい方は出土品の実測図を元にした弥生時代風の勾玉。
 
これは「大首飾り」の複製時に、出雲石の代替品に使った青碧玉も同様でございました・・・。
 
私の知る限り、赤碧玉で装身具が作られるのは弥生時代以降で、縄文遺跡からは存在しなかったかのように出土してこないのは何故なんだろうか。
 
縄文時代には赤く彩色された籃胎漆器、木工品、土器、土偶があるのに、赤碧玉では大珠や勾玉が作られていないような?
 
どこかの遺跡で出土していたら教えてくださいな。
小さな勾玉なんかカワイイのにねぇ。
コロナ収束の暁には、佐渡のフィールドワークと赤碧玉の採取をしてみたい。
 
正真正銘の赤碧玉、「佐渡の赤玉」で勾玉を作りたいのですヨ。
 
 

 


対話と協調を重んじ、60%の成功を目指し、明日枯れる花にも水をやる・・・哲人政治家、大平正芳の生涯

2021年02月17日 08時03分49秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

対話と協調を政治理念に据えた大平正芳は、選挙は60%の勝ちが理想だと語り、偏りをバランシングしやすい二大政党制の可能性を探るリベラルな保守政治家だったようだ。

だから「定点観測」と称して、内々に信頼のおけるマスコミや政治学者、憲法学者、思想家、選挙民などの意見を謙虚に聴く姿勢を崩さなかった。

著者の辻井喬とは西部グループの堤清二さんのペンネームで、大平さんと仲が良かったらしいが、政敵の岸信介、佐藤栄作、福田赳夫のことはよく書かれていない( ´艸`)
 
岸内閣が強行採決した60年安保改正でデモが起こりつつある時、岸総理は「一部のアカが騒いでいるだけだからすぐにおとなしくなる」と甘く見ていたが、デモの熱気が高まるにつれて機動隊の出動だけでは不安を覚えたのか、なんと暴力団と右翼団体に粛清を要請し、いざとなれば自衛隊の出動まで考えていた。
専門家に意見を聴く時は、参考図書の推薦をしてもらい、寸暇を惜しんで勉強していたらしい。
 
大平は独自の世論調査で、国民は安保改正の中身より、戦前のような強引な政治に対し、民主主義の危機を感じて抗議の声を挙げているのだと正確に世論を認識して、デモが過激化する見込みがあり、なんとしてでも自衛隊出動だけは回避させたいと警視庁に警戒を厳にせよと連絡。
 
国会議事堂前には推定で13~30万人のデモ隊が粛々と集まり抗議するも、右翼街宣車がデモ隊に突入して乱闘となり、女子学生が圧死する事件となる。
 
岸総理は自衛隊に出動を再三依頼するも、防衛庁長官が拒否。
 
あの時、自衛隊が出動していたら戒厳令下に置かれたのだろうか?
 
三島由紀夫は、自衛隊の出動と共に「盾の会」も決起すると計画していたそうだが、素人がノコノコ出て行っても群衆に撲殺されただけではないか。
田中角栄から「大平君は政治家というより哲学者だな」と評された大平さんは、グタグタの政争に疲れ果て、お気の毒にもて衆参両院同時選挙の際中にお亡くなりになりました。
 
哲人政治家と呼ばれ、政治とは?と質問された大平さんは、「明日枯れる花にも水をやることだ」と答えたそう。
 
中国に旅行した時、本屋の政治コーナーに日本の政治家では大平さんの本しか置いておらず、中国人ジャーナリストの友人に理由を聞いたことがある。
 
田中角栄内閣の時の日中国交回復の成功は、外務大臣だった大平さんが面子を重んじる中国文化を熟知した対応が信頼されたことが大きく、中国では大政治家として高く評価されているとのこと。
 
そんな大平さんが生きていたら、尖閣問題やコロナや冷え込んだ景気対策、フクシマの復興方策、オリンピック問題と色々と聴いてみたい。
 
対話と協調を重んじ、60%の成功を目指し、明日枯れる花にも水をやる・・・こんな政治家が出てきて欲しいもんだ。
 
 
 

春を呼ぶさくら餅石笛・・・ピンクヒスイ

2021年02月15日 08時46分09秒 | ぬなかわヒスイ工房

和妙抄に「ヤマト心ニギ御霊の顕レニシテ 義理チョコ返礼ニ 最適ナル菓子也・・・」と、最大ともいえる賛辞を贈られているのがさくら餅なのである(嘘デス)

世間がバレンタインに浮かれる時期になると、反抗するように作ってしまうのがピンクヒスイの石笛、すなわちさくら餅石笛。

ピンクヒスイは俗称で、実はヒスイの仲間ではなく、鉱物名はロディン岩。
まだ食ったことがないマカロンに似てなくもないが、あれはモナカなのかクッキーなのか?カルメ焼きなのか?
 
ピンク色の鉱物があるというのもなんだが、食い物にも不思議がたくさんありますナ。
 
 
 

 


石は地球のカケラ、宇宙のカケラ、ヒトもまた宇宙のカケラ・・・ワタシは宇宙人!( ´艸`)

2021年02月13日 09時34分52秒 | ぬなかわヒスイ工房

石好きが嵩じてヒスイ職人になる人が多いのだけど、私は考古学好きからの転身なので、チタンがどうのとかクロムがどうしたとかの話しにはあまり興味がないタイプ。

甲府の師匠から勉強になるからと譲っていただいたグリーンアゲートで石笛を作ってみたら、乳白色の瑪瑙に浮かんだ緑の螺旋模様が神秘的で、入海撹拌神話を連想してしまう。
石好きの人ならその神秘の生成過程を知りたくなるのだろうが、私は不思議は不思議のままに文学方面に指向するのデス。
人それぞれの指向性があって、それもヒトと石の物語。
石好きだった宮沢賢治に見せて、感想を聞いてみたいですナ。
 
石は地球のカケラ、宇宙のカケラ。
 
ヒトもまた宇宙のカケラ・・・そうか!この論法だとワタシは宇宙人!
 
でもさ、宇宙のカケラの石を齧ったら歯がカケタなんてね( ´艸`)
 
 

 


ゴールデンテンプルで食ったカレーは懐かしい小豆粥の味だった・・・映画「聖者たちの食卓」

2021年02月12日 08時57分37秒 | 旅先にて
見逃していたドキュメンタリー映画「聖者たちの食卓」をアマゾンプライムで発見して歓喜。
インドの北西アムリトサルにシーク教の総本山ゴールデンテンプルがあり、毎日10万人の信者たちに無料の食事をふるまっている。
 
無料とはいっても、各自が懐具合に応じたお布施をする訳で、食事作りもすべてボランティア。その舞台裏をナレーション無しで淡々と記録した映画。
 
シーク教はカースト差別を嫌いイスラム教の教義を取り入れてヒンドゥー教から分派した宗教で、平等・博愛を教義にしているから外国人の旅人でも食事を出してくれるのだけど、ここのカレーが感動的に美味いのです。
 
私が訪ねた時は、薄い塩味に丁子(クローブ)が効いたウラッド・キ・ダル(緑豆)のカレーだったが、子供の頃の建前の時に振舞われた小豆粥によく似て、滋味溢れる懐かしい味だった。
 
今は廃れたようだけども、糸魚川地方では建前の振舞いで屋根から餅を撒いた後に、親類縁者や近所の人たちが骨組みだけの家の中で小豆粥を食う風習があったのです。懐かしい味。
 
旅に出られないから、この映画で気分はインドへ!