縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

もっと野太く大胆に!・・・線刻石笛のブレークスルー

2017年09月29日 08時03分50秒 | ぬなかわヒスイ工房

線刻して縄文風に仕上げた石笛を作り続けて何年にもなる。

それなりに人気があってオーダーも受けていたが、手間暇をかけて作った売り物だから、どうしても冒険ができず安全なデザインに収まって不満が残っていた。

シンメトリックであったりして整い過ぎていたのである。

もっと野太く大胆に・・・そうは思っていたが実際には難しい。

野太く大胆に!が形になってくれた線刻石笛は流紋岩製。

 

ところが工房増築工事が終わって最初に作った石笛が、なんの迷いもなくいとも簡単にアンシンメトリックで野太い線刻ができた。

恐るべし場のチカラ!

アンシンメトリックで安定したデザインは難しい・・・整体の「整える」とはシンメトリックな身体という意味ではなく、アンシンメトリックの中でも絶妙なバランスとでもいう意味があり、こんな時は整体を勉強していて良かったと思う。

SNSで発表したら、友達の縄文女子Hちゃんから「私も縄文土器を作る時に、もっと野太く大胆に!という声が聴こえてきます。」という投稿があって、なるほどと納得。

要するに現代人は上手くあろうとして萎縮してしまうのだ。

 

そこが縄文人とは違うのだねえ・・・奔放で融通無碍な縄文の匂いが難しい。

今回の線刻石笛が形になってくれて、少しだけ縄文人に近づけた気がする。


ムフフと自然に微笑み、自然に一礼してしまう男の隠れ家、大人の秘密基地

2017年09月26日 07時07分59秒 | ぬなかわヒスイ工房

ぬなかわヒスイ工房をリニューアルしてから、出入りの際に自然に一礼していることに気付いた。

無自覚・無意識の行為は大事で、場がそうさせているのだし、場に敬意を払っているという事である。

まるで鍛冶場に入る刀匠や、道場に入る整体指導者のように自然に礼をしていた。

工房リフォームして良かったと実感する。

朝、工房の扉を開けると木の香りが漂っている・・・ムフフ。

ぬなかわヒスイ工房の提灯は浅草の友人が贈ってくれた弓張提灯で、三社祭りで使っているのと同じホンモノでメイドイン浅草。

工房の中に入ると朝日が差し込んでくる・・・ムフフ。

ヒスイ加工以外の木工用などに使用する机

収納スペースもバッチリ作ったので、仕事がしやすい。

通風と明り取り、多くの来客時に便利な裏口のドアは床の端材を張った。

 

工房にいると機嫌がいい。

男の隠れ家、大人の秘密基地はこうぢゃなくちゃ。

 


サンドバックのある暮らし・・・タイ製がお勧め!

2017年09月23日 07時04分36秒 | ぬなかわヒスイ工房

薪ストーブや日常的に焚火ができる生活に憧れる人は多いし、私もその一人。

私は元ボクサーだから、自宅にサンドバックのある暮らしにも憧れていた。

気が向いた時に好きなだけ叩ける暮らし。

ぬなかわヒスイ工房の裏口前に吊るしたタイサマイのサンドバック。

 

ところが日本製のボクシング用品の品質は世界一だが高価で、サンドバックも結構高い。

何度も訪れているタイはムエタイ王国、そしてプロボクシングも盛んだ。

だからタイ製のボクシング用品だってあり、それらがバンコクの二大ムエタイスタジアムとして有名なルンビニースタジアムやラジャダムナンスタジアムの売店で格安で売っていることを教えてくれたのが、有名な空手家。

そして20年くらい前のバンコク訪問時にに買いました、タイ製のサンドバック。

タイサマイというブランドで、ムエタイジムでも使っているプロ用の本物が、なんと日本製の1割程度の値段!

安さには理由があって、タイ製サンドバックは中身の入っていないペッタンコに折りたたまれた状態で売られていて、購入者が自分でボロ布などをアンコに詰めるというシステムだからである。

そんな訳でお土産にも最適なのだ。

しかし買ったはいいが、吊るす場所がないまま20年放置(笑)

工房の向こうに見えるのが自宅玄関だが、訪ねてきたお客さんが工房の場所が分からずよく問合せの電話が来ていたが、これからはサンドバックを目印にして下さい!

 

5年前にヒスイ工房を自作した際、自宅玄関から工房までのアプローチに風雨でも濡れないようにテラスを作っておいた。

お袋が収穫した玉ねぎや大根を干すのに重宝していたが、今回のリフォームでさらに整備して吊るしました、サンドバック!

男の隠れ家にサンドバック!

大人の秘密基地にサンドバック!

ヒスイ工房にサンドバック!

佳きかな佳きかな。

 


窓のDIYはこれが一番!

2017年09月20日 22時40分06秒 | ぬなかわヒスイ工房

工房リフォーム工事の写真で、窓枠の写真を載せたら色んな人から完成はどんな形なのだ?と質問された。

過去、納屋も含めると10棟近くのDIYをしてきた経験から、素人が作るには横滑り窓が最適と実感している。

構造と作り方はシンプル。硝子の代わりにポリカーボネード製の複層板を使用した。塗装はキシラデコール。

 

インゴ角(一寸五分角)くらいの太目の角材を押切(垂直にカットできる卓上丸鋸)で垂直にカットして、インパクトドライバーでビス止めするだけ。

私の場合は旅先で見聞してきた東南アジアのバラック小屋や古民家、神社仏閣の蔀戸(しとみと)がヒントになっている。

開口した時の固定は右側の「打掛金具」を使用。

 

平安時代には台鉋がなく、建具を横に滑らす引き戸を作るのは大変だったから、敷居の必要ない鴨居から蝶番でぶら下げるだけの蔀戸は、最もシンプルな構造の窓と言えるだろう。

ちゃんと水切金具も自作してある・・・ガルバリューム鋼鈑波板の端材を叩いて平にして板金加工してある。

 

一般的な引き違い窓なら敷居や鴨居の溝堀用の鉋か丸鋸の刃が必要だし、窓を全開すると窓の半分しか開口寸法がないのが欠点。

ところが横滑り窓は、窓の寸法そのものが開口寸法になってくれるので通風面積が広く、窓を開けておいても多少の雨風なら室内に雨が吹き込まないという優れもの。

5年前に作った既存部分・・・鍵は5寸釘を差し込んであるだけだが、下手な鍵よりよほど防犯には有効。

 

たまたま古民家をDIYでリフォーム中の友人がこの窓の詳細を聞いてきたが、写真を観て構造と作り方を想像できなければ作る事はできないでしょう(笑)

 

 


ぬなかわヒスイ工房リニューアルと初来客

2017年09月18日 09時24分28秒 | ぬなかわヒスイ工房

昨年11月から着工したぬなかわヒスイ工房の改築工事、工房そのものは体験会講師と注文の合間を縫って2週間で完成!

実際には使いながら部分改良していくので完成ではないが、以前は空いたスペースに祀っていた神社のお札や、お客さんから贈られてきた縁起物や魔除けの類を祀る本格的な祭壇も作った。

中央には奴奈川神社と玉依姫のお札と、インドの聖人ラーマ・クリシュナの写真。

 

日本でラーマ・クリシュナは知る人は少ないが、小学生の時に読んだ「世界の偉人100人」の中で紹介されていて、以来なにかと縁が続いている。

時間がないのに刀掛けまで作ってしまった(笑)・・・真剣ではなく居合い用の模造刀

落ち着いたら工房の外に作ったテラスの中にサンドバックも吊るす予定。

さてリニューアルした工房の初めての来客がTV番組の撮影クルー。

工房でのヒスイ加工風景と私の作品のブツ撮りである。

ブツ撮りはでっかいモニターを観ながらアングルや照明を決めていった。

私の撮影とは桁違いの画像解明度!

撮影機材の値段を聞いたら、個人が通販で買えるレベルじゃない事が判明してガッカリ(笑)

 

番組の詳細はまだ明かせないが、とても気持ちのいい人たちで2日間濃密な時間を共に過ごす内に仲間意識が芽生えて、撮影終了で別れる時はホロリとした。

お金に換算すると幾らというようなモノとしてのヒスイではなく、コトとしてのヒスイとヒトのモノガタリ・・・この視点を公共電波に乗せて頂けたら幸いだし、私のヒスイ加工における立処、そして役割だと思っている。

 

 


ぬなかわヒスイ工房はパッチワーク(笑)・・・ヒスイ仕事に適した工房レアウトと什器の寸法

2017年09月14日 22時15分22秒 | ぬなかわヒスイ工房

ぬなかわヒスイ工房増築工事に着工して2週間。

マスコミ取材や来客で幾度か中断したが着々と進んでいる。

廃材を転用したり端材を使い回しているので、強度に関係ない部分はご覧の通りのパッチワーク状態(笑)かえって手間暇はかかる。

 

ぬなかわヒスイ工房を造って以来、5年間でいくども作業動線やレイアウトの見直しをして3畳間という限られたスペースで理想的な仕事場にはなっており、訪れた風水占い師さんから風水的にも最高のレイアウトと褒められた事もある。

それにしても3畳間・・・使用機械も変更したり新規導入したりで「あと3㎝作業台が高かったら・・・」とか不満があった。

だから今回のリフォームでは作業机や収納スペースの高さや幅、レイアウトに徹底的に拘っている。

自分の身体と使用機械のバランスで決定した寸法と形状、掃除がしやすい構造に工夫した作業台のフレーム。

作業台の天板はコンクリート型枠用の塗装合板。数年で塗装は剥げてくるが耐水性があるし、安いので取り換えればいいだけの話。

 

本日やっと作業台と収納スペースが完成した。

後は備品を使いやすく配置していくだけ。

これがまた愉しくて、気が付いたら夜の10時。

明日で完成・・・土曜日にTVマスコミの取材が来るのでギリギリセーフだ。

もう寝よう。

 

 


壁をぶち破った!・・・ぬなかわヒスイ工房増築工事

2017年09月10日 23時13分52秒 | ぬなかわヒスイ工房

昨年11月から外構工事・配管工事からスタートした、ぬなかわヒスイ工房の改装工事が山場を越えた。

今となっては信じられない事に、ぬなかわヒスイ工房を設立して四年目まで水道配管設備がなく、最初は配管工事からスタートした。

 

今までの三畳一間の工房では狭いながらもなんとかなっていたが、機材も増えたし来客も増えて来たので増築は避けて通れず、体験会に追われた8月を乗り切り、9月からついに増築工事に着工。

取材に来たマスコミからは「大人の隠れ家・秘密基地」と評されていた八月までのぬなかわヒスイ工房、要するに狭かったのだ。

所狭しと機材が並ぶリフォーム前。

来客時だけ片付けていた(笑)

 

正面奥の壁をぶち破り、三畳から六畳弱へと倍近く広くなった。

根太に防虫用のクレオソート塗布・・・臭い。

既存床が汚れていたので、針葉樹合板を捨て貼り。

 

懸案だった冬の寒さ対策も壁と天井に断熱材を入れたので、冬の到来が待ち遠しい。

床材もこれまでの耐水合板の上に針葉樹合板を捨て張りして、更に無垢の杉板を張っって仕上げた。

いわゆる本物の木のフローリングである。

無垢の杉板は、鳥取の「スギゴコチ」という材木屋さんから購入。防汚防水性を高めるオスモ塗料2回塗りオプションを加えて六畳分(三坪)で送料込み四万円という安さ!随分と高級感が出た。

 

最初は店舗の床材に使用される防水・耐傷性の「長尺フロアー」も検討したのだけど、大工や家具屋の友人達が口を揃えて無垢床材を薦めてくれたので決定した訳だが、意外に簡単に施工できたし、天然木材ならではの感触がいい。

裸足が心地よく、太陽光の当たりが柔らかい。

休憩時間には床材の上に寝転んで感触と木の香りを愉しんでいる。

横滑り窓というタイプも自作。一般的な引き違い窓と違い、開口部が広いので風遠しがよく、セルフビルドしやすいのだ。

 

配管工・植木屋・土方・大工・屋根屋・板金屋・塗装屋・左官屋・建具屋の仕事をセルフビルドで全部ひとりでやった。

後は収納造作と機材搬入・・・終わりが見えてきて寂しい。

今週末には仕事再開するが、文字通り「壁をぶち破ったぬなかわヒスイ工房」、遊びに来てくださいな。

 


ヒスイの嘆き・・・価値をお金に換算する風潮に物申す

2017年09月10日 05時30分37秒 | ぬなかわヒスイ工房

フェイスブックをやっているのだが、「200万円の宝石が拾える糸魚川の海岸・一攫千金・お宝探し」といった類いの記事がよくシェアされて、ウンザリしている。

現在、ある子供番組でヒスイ拾いをテーマにした企画と関わっているのだけど、当初はやはり「一攫千金のお宝探し」という内容が全面に出ていた。

モノをお金に換算する現代人・・・。

でも糸魚川ヒスイの存在が忘れられていた時代、糸魚川ではヒスイは単に重たい石というだけの扱いで、屋根の重石や漬物石に利用されていた。

ところが縄文人は、数ある石の中からヒスイの尊さを発見している。

自宅から出土した古墳時代のヒスイ勾玉・・・ぬなかわヒスイ工房は奴奈川族の玉造遺跡の真上にあるのだ。

 

そして困難な加工に挑み、五千年前には七百八十キロの海のヒスイロードを経て青森の三内丸山遺跡、三千三百年前には黒潮の海を逆行して沖縄本島まで運んでいる。

私にとってヒスイは故郷の祖先たちの偉業を顕彰する歴史的存在。

勾玉の背中のカーブとぴったり一致した筋砥石も、勾玉と同じ所から出土している。いったいどれだけ時間を掛けていたのだろう?

 

縄文人はヒスイにどんな想いを持っていたのか?

ヒトは何故、モノを産み出すのか?

何故、イノチを掛けてまで艱難辛苦の旅に出たのか?

ヒスイは無言の内に多くをモノガタリする。

ヒスイの価値に気付かない内は漬物石・・・誰もパワーストーンとも貴石とも言わなかった。

ヒスイの嘆きが聴こえるようだ。

そんな見解をテレビ番組のデレクターに訴えていたら、私が力説し続けている「ヒトとヒスイのモノガタリ」という視点も加わってきた。

ヒスイを安易にお金に換算する風潮に物申す!


イルカの海と真脇遺跡

2017年09月06日 07時09分42秒 | 旅先にて

5回も体験会講師で各地に出歩いていた8月、最後の大阪での講師を終えて帰路に能登に寄った。

因みに体験会内容は、古武術式薪割り・忍者入門講座・素潜り・楽器つくり(2回)というもの。

さてなぜ能登に寄ったのかというと、奥能登に真脇遺跡(まわきいせき)というヒスイが出土している縄文遺跡があり、以前に訪れた時に真冬なのに海岸からイルカが泳いでいるのを見て、ずっと気になっていたのだ。

8月の能登島にはクラゲが沢山・・・ラッシュガードかウエットスーツは必要だ。

幻想的な風景

 

糸魚川では4~5月くらいに200~500m沖をカマイルカが西から北に回遊していくのが見えるのだが、彼らは夏を陸奥湾で過ごすのだと聞いた事がある。

ところがここ10年ほど前から、地球温暖化の影響か能登半島東側の能登島にイルカが定住したらしい。

そこで能登島のダイビングショップ「ドルフィンスマイル」さんのイルカウオッチのボートでイルカの海に案内してもらった。

漁師さんたちもイルカウオッチの船を出している。シーズンは5月から9月まで。漁船の手前にイルカの背びれが見える。

 

能登大橋の沖合にイルカがいた!

カマイルカより大型のミナミハントウイルカの12頭の群れ!

岸から50m、水深5~10mくらいのポイントでボートからエントリー。

ドルフィンスマイルのオーナーのアンさんが愛用するバラクーダーという長大なフィンが格好いい。

基本的に素潜りでのイルカスイム・・・幻想的なクラゲとアンさんのバラクーダフィンが優雅にしなる光景を撮影していたら、イルカが出る前にバッテリーダウン(笑)2泊3日の旅のクライマックスで撮影できないという失態。

 

体長2~3mのイルカが、触れるほど近くを泳いでく。

糸魚川から車で時間少しでイルカと泳げる海がある事に感動した。

能登島から70キロ北に位置する真脇遺跡の縄文人達は、追い込み漁でイルカを大量に獲っては食っていた事が知られるが、彼らが食っていたイルカは6割がカマイルカでミナミハントウイルカも少しは食っていたらしい。

温暖化は深刻だが、能登のイルカはほんの少しの見返り。