今年も残り僅かの12月29日の夜、市内在住の登山家の青田浩さんから相談したい事があると電話があり、30日に能生町の山奥にある青田さんの家に行ってきた。
来年は国内最大のアウトドア衣類メ-カー、モンベルの辰野勇社長を糸魚川市に招いて、ジオパーク糸魚川を盛り上げるイベントを企画をしたいとのこと。
糸魚川市には山や海といったアウトドア遊びのできるフィールドが揃っているが、山なら専門だけれども、海の魅力を端的に教えて欲しいとの頼みだ。
俺のイチオシは、親不知海岸だ。
親不知ピアパークには年中無料の大きな駐車場があって、綺麗なトイレもある。
能生町も海遊びの環境とインフラ整備という点では合格だが、夏の観光シーズンには駐車場料金を取られるし、遊べるフィールドが狭いので混雑するのだ。
だから海を舞台にしたアウトドアイベントなら広い親不知海岸がいいと思う。
親不知ならではのアウトドア遊びは以下の通り。
①親不知ピアパークの東側には素潜りに最適な岩場が沢山ある。
魚・ウミウシ類・岩場に折り重なって群生している牡蠣などの生物が多種多様で、深度1m~17m程度と初心者から上級者まで楽しめる。
豪快な波渋きをあげる親不知の二つ岩も、夏には海中トンネルくぐりのできる最大深度17mの愉しい岩場。生物も多種多様な豊穣の海だ。
②岩場の東側の砂浜でカヤックやSUP(スタンドアップ・パドル・ボード)が楽しめる。
③ボルダリング(道具を極力使わない岩登り)に最適な岩場もある。
素潜りポイントでボルダリングで遊べる岩を見つけて喜ぶ青田さん。
親不知海岸にはこんな岩なら沢山ある。
「山田君、これ何て岩?」・・・「う~ん、結晶片岩かなあ???」
青田さんはフリークライミング初心者から上級者まで楽しめるレベルだなあ、と思わぬ山遊びの可能性発見に喜んでいた。
④キャンプもできて、なんと無料!
流木が大量に落ちているから、自分たちで獲った魚や牡蠣をその場でバーベキューして食えるし、高速道路が高架になっているので、ちょっと賑やかだが突然の雨降りにも安心だ。
焚火ができるということは、縄文式発火法の体験もできるということだ。
⑤15キロ続く親不知の名所をカヌーやSUP(スタンドアップ・パドル・ボード)で案内すればこれは絶対面白い。もちろん、縄文カヌーでツアーもできる。
夏には断崖絶壁の下はこんな感じ。
かろうじて陸からアクセスできる勝山下の水場。天然シャワーだって浴びられる!
天下の険と世に知られる親不知の15キロ続く断崖絶壁は、現在は海岸浸食で砂浜が無くなってしまったので、「長走り」「大懐」「浄土」「弁慶の力水」として古から伝わる断崖各所に付いた名勝を陸から眺めることができなくなっている。
冬はこんな感じになり近づくと危険
糸魚川の波は引き波が強いから、簡単に沖に持っていかれるのだ。
親不知の波は、古から多くの旅人を飲み込んできたが、これが天下の険と呼ばれてきた由縁だ。
だから海からしか眺められない風光明媚で、なおかつ歴史的価値のある断崖が15キロも続くのだが、モーターボートや漁船だとスクリューが岩にぶつかる危険性があるので断崖絶壁に近寄ることができない。
でも喫水の浅いカヌーやサップなら、古の旅人が束の間の休息を取った「大懐」などにも上陸できる。
芭蕉も高杉晋作も休憩した由緒ある場所だ。
15キロといえばシーカヤック初心者でも半日トリップに最適な距離。
どうだ参ったか!の絶景。水上勉が日本で一番美しい風景と絶賛した眺めだ。
断崖は高さ70mあるそうだから上級者のロッククライミングは如何?
⑥姫川以西だからヒスイも拾える。
⑦砂岩なども沢山落ちているので、その場で打製石器作りもできる。
ざっと思いつくだけでも親不知は、糸魚川ならではのナショナルジオパークらしい遊びが揃っているのだ。
例えばピアパークをベース基地にして、素潜りや魚突きの磯遊び、カヌーで沖合からジオパーク見学、岩登り体験会、鉱物の採集とそれらを旧石器時代から利用してきた生活文化体験会etc・・・・。
青田さんは俺の話しに乗ってくれて、その場で親不知に案内してくれいと話が纏まった。
人の事は言えないが、青田さんも糸魚川の人には珍しく決断と行動が早い。
青田さんを俺の車に乗せて親不知に行く途中に、大和川地区にある「ペンション・クルー」に寄って、若旦那の岩崎さんに逢って同じ相談。
岩崎さんは糸魚川青年会議所の理事長で、彼も釣りや素潜りなどで糸魚川の海の魅力を発信している人だ。
その後、やはり登山家の小野健さんの家に寄って、年末の挨拶してからいよいよ親不知ロケハン。
青田さんと一緒だと一日の出来事が盛り沢山で忙しい・・・。
さてさて、来年は面白い展開になりそうだ。
一緒に遊ぶ人、この指とまれ!