迷レンズ探訪

あまり陽の目を見ないレンズやカメラを取り上げていきます。

美しきレンジファインダー機 フォクトレンダーVITOMATIC IIa

2023-12-29 23:55:16 | Classic Camera
今日のカメラは、1960年発売の独フォクトレンダー社のレンズ固定式レンジファインダー機VITOMATIC IIaです。VITOMATICは初代が1958年から発売されました。距離計なしのI型と距離計連動のII型で、追針式の露出計が内蔵されています。今日紹介するIIaは距離計連動タイプの2代目のバージョンで、露出計の針がファインダー内でも表示されシャッター速度が1/500秒まで(初代は1/300秒まで)になったことが初代からの変更点です。レンズは定評のあるCOLOR-SKOPAR 50mm F2.8が搭載されています。(Vittesa T用のCOLOR-SKOPAR 50mm F2.8の記事はこちら

 型式    :135判(35mmフィルム)レンズシャッターカメラ
 レンズ   :COLOR-SKOPAR 50mm F2.8 (3群4枚)
 焦点調整  :距離計連動式、直進ヘリコイド 1m~無限
 ファインダー :逆ガリレイ透視式 ブリリアントフレーム
         二重像合致型連動距離計
 シャッター :プロンターSLK-V B.1 -1/500 秒 シンクロM,X,V セルフタイマー
 フィルム送り :レバー巻き上げ、ポップアップノブ巻戻し
 露出計    :セレン光電池、連動追針式(ファインダー内表示)
 バッテリー  :不要
 重量    :760g

このVITOMATIC IIaは、優美な曲線で覆われた光り輝く梨地クロームのボディで、大きくて見やすいレンジファインダー、距離計窓と一体化したセレン光露出計の端正な形の受光部、先端にいくにしたがって細くなるレンズ形状、レンズの距離リングの花型形状、が目につきます。なんと美しいフォルムなんでしょうか。比較的小さなボディですが、持ってみると、みっしり詰まっている感じがして、なかなかの重量感がある精密機械です。


このカメラ、美しさだけでなく、あちらこちらにギミックが隠されています。
巻き上げレバーは裏蓋と軍幹部の隙間に配置されて余計なでっぱりを無くしています。


普段は軍艦部上面はでっぱりが少なくなっていますが、側面曲線部にあるギザギザをスライドさせると、巻き戻しノブがポップアップします。時計回りに回すとフィルムの巻き戻しができます。



さらに底面の爪を起こして回転させるとロックが外れ、裏蓋が開くことでフィルムの出し入れができます。



軍艦部上面のVITOMATIC IIaの文字が浮彫で彫刻されています。セレン光受光部上面のVoigtlanderの文字もお洒落です。
VITOMATICはこのIIaの後、1964年に後継機のIIbになりますが、残念ながら軍艦部上面のVITOMATICの文字は印刷になり、シャッターボタンはフロント部に移動して押し下げ式になってしまい、美しさは失われてしまいます。VITOMATIC IIaは古豪フォクトレンダーの最後の輝きを持ったカメラだったのかもしれません。
私が所有しているVITOMATIC IIaはシャッターが故障しています。いつか修理はしてみたいと思いますが、いつになることやら。

<参考文献>
1)「ぼくらクラシックカメラ探検隊 フォクトレンダー」オフィスヘリア、1996年11月1日発行

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