温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

壱岐 湯本温泉郷 旅館長山

2024年06月01日 | 長崎県

(2023年3月訪問)
前回に引き続き長崎県壱岐の湯本温泉郷を巡ります。今回は湯本地区の集落の中にある「旅館長山」です。ご当地の観光協会によれば、こちらのお宿は3代・100年続く老舗なんだとか。なかなか年季が入った外観ですね。お昼過ぎに玄関を開けて日帰り入浴をお願いしたところ、まだ湯船が熱い状態だがそれでも良ければ構いませんよ、と優しくご対応くださいました。こちらのお風呂では70℃以上ある源泉を湯船に張って非加水で冷ますために時間がかかり、適温まで落ち着くのは午後2〜3時頃になるそうですが、今回は熱いのを承知で入らせていただきました。


玄関を上がり、廊下を進んで男湯へ。


お風呂へ向かう途中、廊下の窓からは源泉と思しきコンクリ枡が間近に見えました。湧出したての温泉に入れると思うだけでワクワクしますね。あぁ幸せだぁ。


渋い佇まいの更衣室。室内には利用者が自由に使えるタオルが積まれていましたが、日帰り入浴の分際にもかかわらず、お宿の方に負担がかかるようなサービスを受けるのは申し訳ないような気がしたので、私は持参したタオルで入浴しました。


浴室もこれまた大変渋くて独特な趣き。黒く塗られた壁に囲まれた総木造のお風呂で、3~4畳程度のこぢんまりした空間に3人サイズの浴槽が1つ据えられているばかり。壁の下半分は温泉成分の付着で赤茶色く変色しており、しかも部分的にかなり草臥れている御様子です。特に洗い場のシャワー周辺は早急な修理を要するのではないかと余計な心配をしたくなるほどの状態でした。


この温泉の泉質名は「ナトリウム-塩化物泉」ですから、名前だけ捉えるとナトリウムばかりが多そうな印象を受けますが、あくまで相対的にナトリウムが多いという話であって、絶対量ですとカルシウムやマグネシウムも多く含まれており、そのカルシウムの影響により、浴室の床には析出が鱗状(あるいは千枚田状)。にこびりついていました。成分の濃さをビジュアルで確かめられると、マニア的には嬉しいものです。


床の析出のみならず、湯船の湯面にもカルシウムの膜が張っていました。そっと湯船に入りながらこの膜をパリパリと割ってゆく瞬間も、マニア的にとっては興奮材料です。
お湯はやや緑色を帯びながら赤茶に強く濁っており、とてもしょっぱく、わずかに金気を感じます。お宿の方がおっしゃっていたように、私が入った時間帯の湯船はかなり熱かったのですが、お湯のコンディションは大変良好で、熱さと鮮度により心身をシャキッとさせることができました。アットホームで優しい対応と玄人向けの味わい深いお風呂が印象的な、なかなか素敵な施設でした。


ナトリウム-塩化物温泉 66.2℃ pH記載なし
Na+:5014.8mg, Mg++:282.9mg, Ca++:614.2mg, Fe++:4.6mg,
Cl-:9762.6mg, Br-:23.5mg, I-:3.1mg, SO4--:717.1mg, HCO3-:535.1mg,
H2SiO3:70.4mg, HBO2:17.4mg, CO2:111.8mg,
(平成22年1月21日)

長崎県壱岐市勝本町湯本浦43
0920-43-0033
ホームページ

日帰り入浴時間については施設へお問い合わせください

私の好み:★★+0.5
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壱岐 湯本温泉郷 山口温泉

2024年05月26日 | 長崎県

(2023年3月訪問)
前回記事で取り上げた「すこやか温泉」の隣に位置している「山口温泉」。周辺の人口も観光客多いわけではないにもかかわらず、温泉街中心部から北へちょっと離れたこのエリアでは2軒の温泉施設が隣り合って営業しており、一見の他所者たる私は、その共存関係に不思議なものを感じます。
さて、駐車場に車を停めて受付へ。敷地内には複数の棟があり、利用の際には、まず上画像の建物で受付を済ませます。


隣に建つ緑色にペイントされた建物は家族風呂の棟。


今回私が利用するのは大浴場、いわゆる公衆浴場です。受付や家族風呂がある棟の向かい側に建つ本棟へ入ります。


内部にはお座敷(貸し部屋)が数室あり、有料で使用が可能。


奥の引き戸を開けて・・・


すのこ敷き通路の右が女湯で左が男湯です。それぞれの浴室に出入口のドアが2つずつあるのですが、2つとも同じ浴室へ入れます(つまり男女両浴室とも出入口が2つあるわけです)。


男湯の暖簾を潜って中へ入りましょう。内部は脱衣スペースと浴場の間に仕切りが無い一体型の造りです。大分県別府の共同浴場によく見られる構造と表現すれば、温泉ファンの方にはわかっていただけるかしら。なお脱衣スペースと浴場の間には全く何も無いわけではなく、瓦を載せた低い塀によって仕切られていますが、高さ1メートル程度なので、脱衣スペース側へお湯の飛沫(しぶき)が掛かるのを防ぐために設けられているものと思われます。


大きな浴室内には同じ大きさの浴槽が2つあり、脱衣スペースから見て左側は長湯に適した「ぬる湯」、右側は実質的に適温な「あつ湯」と分かれています。いずれも温泉を投入できるバルブがあるので、適宜バルブを開けてお湯を浴槽へ注ぐのですが、ぬる湯の方は熱くしないように注意します。
浴槽には温泉成分の析出がコテコテに付着しており、全体的に赤く染まっています。お隣の「すこやか温泉」と同じく、しょっぱくて苦汁の味がしっかりと感じられるお湯ですが、これまた「すこやか温泉」と同じく、お湯の赤い濁りから受ける予想に反し、金はあまり感じません。濁りが強く透明度20センチ程度で底は全く見えません。ミネラル分が多いため、温泉のお湯では石鹸はあまり泡立ちません。
こちらの浴場は湯加減の異なる浴槽が2つあるため、その時々の好みに応じて使い分けられますし、私みたいに一度適温浴槽で温まった後にぬるい浴槽で微睡むまで長く浸かり続けるのも良いかと思います。塩辛い温泉ゆえ体の芯までしっかり温まります。無論完全かけ流し。大変素晴らしい温泉です。


ナトリウム-塩化物温泉 70.9℃ 
Na+:5182.0mg, Mg++:300.6mg, Ca++:713.0mg,
Cl-:10087.1mg, Br-:17.4mg, I-:2.8mg, SO4--:757.5mg, HCO3-:499.4mg,
H2SiO3:68.4mg, HBO2:9.6mg, CO2:52.8mg,
(平成22年1月21日)

長崎県壱岐市勝本町本宮南触400
0920-43-0900

7:00~20:00(受付19:00まで)(家族風呂8:00~21:00)
400円(家族風呂800円/1名、1400円/2名)

私の好み:★★★


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コメント (2)
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壱岐 湯本温泉郷 すこやか温泉

2024年05月21日 | 長崎県

(2023年3月訪問)
今回から連続して長崎県の離島である壱岐に湧く温泉を取り上げます。
島の北西岸に位置する湯本温泉郷には、多くの温泉施設が集まっており、いっぺんにたくさんの温泉をハシゴすることが可能です。私が訪問した2023年3月は、新型コロナウイルスがまだ感染症法上の2類だったため、一部の施設では日帰り利用を中止していましたが、それでも結構な数のお風呂をハシゴすることができました。

まずは湯本温泉郷の北部に位置する「すこやか温泉」から取り上げます。温泉入浴の大きな目的は心身が健やかになることですから、その目的に合致したわかりやすい施設名で良いですね。さて、上画像に写っている建物の出入口には温泉名の扁額が掛かっていますが、こちらはどうやら家族風呂や宿泊のお部屋が入っている棟のようで、日帰り入浴する場合はその左隣に接している・・・


こちらの湯屋を利用します。でもその前に・・・


この受付小屋で料金を支払います。


受付小屋の近くで、湯気をあげるコンクリの躯体を発見。
おそらく源泉施設でしょうね。


今回利用するのは、家族風呂ではなく、いわゆる公衆浴場として使われている「大浴場」です。「大」と言いながらもお風呂の造りはかなりコンパクトで、男女別の浴室には浴槽がひとつ据えられているばかり。


洗い場には混合水栓が2つあり、うち1つにシャワーが付いています。


浴槽は2人、詰めて3人入れるかといったような造りです。
湯船にはブラッドオレンジジュースを彷彿とさせる赤い濁り湯が溜められており、私の訪問時にはその湯面にカルシウム分が固まってできる薄い膜が張っていました。


源泉のお湯を出しっぱなしにすると熱すぎてしまうためか、入室時には湯口のバルブが締められていましたので、湯船へ入る前に開けてみると、バルブから勢いよく熱いお湯が迸り、やがて湯船のお湯がザブザブと溢れ出していったのでした。浴槽には循環装置などありませんので、バルブからお湯を出し続けることにより完全かけ流しの湯使いになります。
湯口のお湯を口に含んでみますと、しょっぱくて苦汁の味も感じられる一方、赤いお湯なので金気が強いのかと思いきや、意外にもあまり金気を感じませんでした。お湯の濁りがとても強く、この湯船では透明度20センチあるかないか。底は全く見えません。なおカルシウムを多く含むためか、石鹸はあまり泡立ちません。塩気が強いお湯なので、非常によく温まり、寒い日でも湯上り後は外套要らずです。都市部と違い、コアタイムを外せば公衆浴場でもお湯を独り占めできるのが嬉しいところ。壱岐の温泉は良いですね。ちなみに、浴場に掲示されていたこの温泉の分析表によれば、温泉の源泉名は「特になし」とのこと。「吾輩は温泉である、まだ名は無い」みたいなもんですかね。そのあたりのユルユルな感じも、島ならではののんびりさが表れていて良いです。
次回以降の記事も壱岐の湯本温泉郷を取り上げます。


源泉名:特になし
ナトリウム-塩化物温泉 71.6℃ pH6.4 自噴(湧出量記載なし) 16.16g/kg 成分総計16.21g/kg
Na+:4846.7mg(74.88mval%), Mg++:269.0mg(7.86mval%), Ca++:705.2mg(12.50mval%),
Cl-:8546.0mg(91.27mval%), Br-:29.4mg, I-:2.3mg, SO4--:692.4mg, HCO3-:497.5mg,
H2SiO3:74.1mg, HBO2;16.9mg, CO2:51.1mg,
(平成23年11月29日)

長崎県壱岐市勝本町本宮南触1323-3
0920-43-9588

9:00~21:00
400円
私の好み:★★★


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雲仙温泉 国民宿舎青雲荘 その3(露天風呂)

2015年12月03日 | 長崎県
前回記事「雲仙温泉 国民宿舎青雲荘 その2(内湯)」の続編です。

●朝の露天風呂

内湯や家族風呂の出入口が並ぶ廊下の突き当たりが露天風呂。前回記事で申し上げましたように、露天風呂は別棟ですが、本棟のすぐそばに隣接しており廊下で接続されていますから、意識しなければ別棟と気づかないでしょう。


 
この露天風呂棟は平成24年に開設されたばかり。扉を開けて館内に入ると、そこには大きな窓が円弧を描くウッディーなホールが広がっており、ゆったりと寛げる休憩スペースとなっていました。このホールは傾斜地の上に設けられているため、開放感があって見晴らしもまずまずです。


 
綺麗で使い勝手の良い脱衣室は、木材を多用してぬくもりを生みだしつつ、濃淡のカラーリングでめりはりを効かせた現代的な内装デザインです。室内は広くてストレスフリー。洗面台は5台あり、ロッカーにはリストバンド付きの鍵が用意されています。


 
露天風呂棟ですので、その名の通りお風呂は露天風呂のみですが、脱衣室から出る戸を開けて目の前に広がる景色を目にした瞬間、日本庭園のような純和風の美しい佇まいに思わず息をのんでしまいました。しっとりとした落ち着いた雰囲気の中、軒先に大きな岩風呂が横長に伸び、その向かいに植えられたツツジがちょうど見頃を迎え、新緑のモミジが添え色となって、露天風呂に張られた白濁湯の鮮やかさが一層映えていました。また建物側壁の羽目板にはシックな色調の塗装が施され、こちらも白濁湯とのコントラストをより際立たせていました。
ちょっと穿った見方をすれば、近年九州各地の温泉地でよく見られる、黒川温泉に影響されたかのようなデザインの模倣に思えなくもないのですが、これはひとつの時流ですし、そもそもデザインが周囲の環境によくマッチしている上、白濁湯との相性も良いので、違和感はなく、むしろ風情たっぷりで、うまい具合に馴染んでいました。

なお奥の方には洗い場が設けられており、シャワー付きカランが6基並んでいました。


 
石臼の湯口からお湯が絶え間なく注がれています。なお湯口の形状は男湯と女湯で異なっているんだとか。湯口から出てきたばかりのお湯は無色透明ですが、空気に触れることにより濁りを呈し、石臼を真っ白く染め、湯船では青白色を伴う神秘的な白濁をもたらしていました。お湯はれっきとした掛け流しであり(季節により加温や加水が行われるそうです)、出入口付近にある切り欠けから惜しげも無く溢れ出ていました。外気による冷却の考慮してか、訪問時は内湯より投入量が多かったのですが、それゆえお湯の鮮度感も内湯より優れているように感じられました。尤も常に露天の方が投入量が多いというわけではなく、おそらく季節や天候などに左右されるものと思われます。こうした湯量の妙により、内湯・露天風呂とも、絶妙な湯加減が保たれていました。

お湯は内湯と同じく小地獄から引いている自家源泉。お湯を口に含むと収斂する酸味が感じられますが、同じ雲仙温泉でも新湯地区の源泉より酸っぱさがマイルドで、柑橘類の搾汁のようなストレートな酸味が優しく口の中に広がります。酸味が穏やかである一方、苦みや渋みは控えめで、イオウ感はしっかりと強く、湯口からは鼻の奥をツーンと刺激する硫化水素臭がタマゴ感を伴いながらはっきりと香っており、湯中ではパウダリーな浴感の他、サラサラスベスベの中に弱いキシキシ感が混在し、湯上りの体にはイオウの匂いがいつまでもこびりつきました。そしてイオウの血管拡張効果により、湯上り後は長い時間にわたって温まりが持続し、部屋に戻ってフカフカの布団に潜り込んだら、まさに秒殺で忽ち夢の世界へと誘われてしまいました。


 

露天風呂の端は傾斜地に突き出たテラスになっており、手すりにもたれかかりながら景色を眺めますと、朝霧に包まれた山の深緑が広がっていました。なおこのテラスにも洗い場(シャワー付きカラン4基)が設けられているのですが、奥の洗い場と違ってこちらはテラスを吹き抜ける風が直撃するため、シャンプーしている最中はちょっと肌寒いかも。


 
上述したように、私が訪れた時季はツツジがちょうど満開を迎えており、ツツジの赤、モミジの新緑、そして温泉の白濁というトリコロールが実に神秘的で、湯浴みしているときには風景画の世界に紛れ込んだかのような錯覚に陥りました。実に見事なツツジです。


●夜の露天風呂
 
露天風呂は宿泊中に朝晩1度ずつ利用しました。お日様が出ている時と隠れている時とでは、同じ露天風呂も趣きを変えるので、夜間の様子もちょっとご紹介します。夜間のホールはなぜか怪しい色の照明が灯っていました。長崎名物のビードロをイメージしているのかな。


 
夜間の露天風呂は、山の静寂に包まれたしっとりと落ち着く大人の空間。


 
白濁湯の真上で灯りに照らされた満開のツツジは、陽気で快活な美しさを放つ日中とは対局の、婉容ながらもどこか妖艶さを感じさせる姿を見せており、日中が振袖の町娘ならば、夜は艶やかな花魁のようでした。いずれの場合でも、白濁湯がまるで白粉のようにその美しさを際立たせていることには違く、紅白の対比が実に秀麗でした。
このように私が訪れた時季にはツツジが美しかったのですが、その隣にモミジが植わっていることからもわかるように、この露天風呂では四季に応じたそれぞれの美しさが愉しめるのでしょう。
お湯よし、雰囲気よし、値段よしという良いもの尽くしの素敵なお宿でした。


雲仙温泉(小地獄)
単純硫黄温泉(硫化水素型) 63.5℃ pH3.85 自噴(湧出量未記載)(※) 溶存物質0.184g/kg 成分総計0.426g/kg
H+:0.1mg, Na+:6.8mg(21.75mval%), NH4+:4.2mg(17.12mval%), Mg++:2.3mg(13.91mval%), Ca++:7.1mg(26.05mval%), Al+++:0.8mg(6.54mval%),
Cl-:4.4mg(7.47mval%), SO4--:72.1mg(90.38mval%), S2O3--:2.0mg,
H2SiO3:80.5mg, CO2:238.5mg, H2S:3.5mg,
(※)公式サイトによれば湧出量は日量440トン。自家源泉。

長崎県雲仙市小浜町雲仙500-1  地図
0957-73-3273
ホームページ

日帰り入浴10:30~18:00
660円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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雲仙温泉 国民宿舎青雲荘 その2(内湯)

2015年12月02日 | 長崎県
前回記事「雲仙温泉 国民宿舎青雲荘 その1(客室・朝食)」の続編です。

 
ロビー奥に掛かっている「小地獄温泉」と染め抜かれた萌葱色の暖簾の先がお宿ご自慢の温泉ゾーン。宿泊施設としての収容人員が多いばかりでなく、日帰り入浴も受け入れているため、温泉ゾーンの踏み込みにはスリッパ入れのほか、下足用のロッカーもたくさん備え付けられていました。浴場は内湯と露天で二棟に分かれており、館内掲示の説明によれば行政等の指導により分離しているとのこと。具体的な理由は記されていませんでしたが、どんな事情があるのかな? その謎を解明しないまま、まずは内湯から取り上げることにします。


 
幾分使い込まれた感がある脱衣室は、オフホワイト基調ながらとても広くて綺麗に維持されており、ロッカーの個数も多く、洗面台も複数並んでいて、使い勝手は良好です。ロッカーの扉は木目模様となっており、一見すると実用的で無機質に思えてしまうような脱衣室内に、優しいぬくもりをもたらしていました。



室内に掲示されている画像入りの説明によれば、「青雲荘」のお湯は小地獄から直接引いているとのこと。ちなみ拙ブログでは4年前に、同じ源泉を用いている日帰り入浴専門施設「小地獄温泉館」を取り上げております。


 
天井が高くて広々としている内湯の浴室。室内には酸性のお湯らしい酸っぱい匂いとイオウの匂いが漂っています。塗装や装飾などのデザインなど、総じて造りが古く、長い間使い込まれているためか、壁にはシミがこびりついていますが、メンテナンスにぬかりはなく、気持ち良く使えました。右側に配置された洗い場には、12基のシャワー付きカランがズラリと一列に並んでおり、その光景はなかなか壮観です。この一列のほかにも、浴室の左側手前にはシャワー付きカランが3基、そして立って使うシャワーが2基設置されていました。


 
浴槽はタイル貼りでとっても大きく、レモンみたいな楕円形をしており、その広さゆえ、子供だったらついつい泳ぎたくなる衝動に駆られてしまうこと必至。湯船のお湯はうっすらグリーン系の色彩を帯びているようにも見える乳白色に強く濁り、底に湯の花がたくさん沈殿しているため、私が湯船に入ってお湯が撹拌されると、沈殿が舞い上がって更にモクモクと雲が湧くかの如く濁りが濃くなってゆきました。

浴槽の手前側(出入口側)には白く染まった湯口があり、直に触れると火傷しそうなほど熱いお湯が浴槽へ落とされているのですが、湯船の広さによって冷却されるのか、湯船では長湯したくなる(体感で41℃前後の)微睡みを誘う湯加減に落ち着いていました。ただ湯温調整のためか、浴槽のキャパに対して投入量が絞り気味であり、お湯の鮮度に関しては次回記事で取り上げる別棟の露天風呂の方が良かったかも。


 
大きな浴槽の奥は寝湯になっており、2人分のスペースが用意されていましたが、枕のセッティングがちょっと高くて私の体には合わなかったために、今回は使っておりません。一方、その逆サイドに位置する出入口側には打たせ湯も設けられていて、こちらも2人分の設備が用意されていたのですが、うち1本は止まっており、実際にお湯が落とされていたのは1本だけ。でも、高い位置から垂直に落とされるお湯を、カチカチに凝った肩に当てると、いい塩梅にコリがほぐれて、とっても気持ちが良かったですよ。

なお、この内湯の最奥部には屋外に出られるところがあるのですが、その先には露天風呂があるわけではなく、単なるテラスであり、昼間には緑豊かな景色を眺めることができるのでしょうけど、私は夜だけの利用でしたので、お湯で火照った体をクールダウンするだけにとどめました。



次回記事で取り上げます別棟の露天風呂へ向かう通路の途中には、2室の家族風呂もあるのですが、別途料金(1,080円/50分)が必要ですし、こうしたお風呂は家族やカップル等でゆっくりと水入らずのひと時を過ごすためのものでしょうから、一人旅の私には不向きと考え、敢えて利用しませんでした。「白梅」および「紅梅」と名付けられたこれら家族風呂にももちろん白濁の温泉が張られています。


次回記事に続く

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