温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

アッシュスプリングス Ash Springs

2018年02月06日 | アメリカ
ラスベガスの北にあるネバダ州リンカーン郡には、荒野の砂漠にもかかわらず温泉が点在しています。まずはUS93号線のロードサイドで湧出している"アッシュスプリングス Ash Springs"を訪ねることにしました。


 
ラスベガス方面からUS93号線を北上すると、その名もアッシュスプリングスという小さな町に行き着きます。この町の中央にはシェルのGSがあるのですが、GSの道を挟んだ真向かいに、フェンスに沿って何やら怪しい未舗装の路地が伸びていたので、ここを入ってみることにしました。


  
私の予感はみごと的中。看板こそ無いものの、路地の先にはゲートが設置されていました。町の名前の由来になっている「アッシュスプリングス」に到着です。かつては公に開放されていたようですが、現在は開放を中止しているらしく、ゲートは閉ざされていました。しかしその脇から容易に出入りできるようになっていたので、ここから先は自己責任で場内へ入ってみることに。


 
場内は公園のようになっており、ベンチやトイレなどが設けられているのですが、現在はどの設備も使用中止。なぜ中止されてしまったのか、その理由はよくわかりません。


 
場内には透き通った水を湛える池があり、清らかな水と緑が織りなすその麗しい景色に心が洗われます。周囲は砂漠のような環境なので、いわゆるオアシスなのでしょうね。


 
池の底から水が湧出しており、底の砂や砂利を絶え間なく噴き上げていました。この池は単なる水ではなく、ぬるいお湯なのです。つまり温泉なんですね。


 
池の傍らには人工の大きな露天風呂が設けられているのですが、残念ながら槽内のお湯はほとんど抜かれていました。


 
とはいえ、温泉そのものはドバドバと音を轟かせながら大量に湧いており、一応露天風呂の内部にも数センチは溜まっていましたから・・・


 
調子に乗って入っちゃいました。もしかしたらこの界隈の自然界には人体に被害をもたらすアメーバが生息しているのかもしれず、それゆえ公園をクローズさせているのかもしれませんが、今日に至るまで私は健康なので、幸運にも私は被害に遭わなかったようです。お湯は非常にクリアに澄み切っており、見ているだけで清々しい気分になれます。湯温は35℃というぬる湯。画像をご覧になればわかるように、この日は快晴であり、灼熱の陽の光がギラギラと照りつけていたため、このぬる湯に浸かると実に爽快でした。お湯自体は無色透明無味無臭のクセがないサラサラとしたアッサリとした優しいお湯です。単純泉かアルカリ性泉でしょうか。
なぜ清らかな温泉が湧くこの公園がクローズ中なのかわかりませんが、是非とも再開していただきたいものです。



GPS:37.463368, -115.192432,

場内の様子に関しては本文参照。入場の際は自己責任で。
無料
備品類なし

私の好み:★★


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ワームスプリングス Warm Springs

2018年02月03日 | アメリカ
昨年末(2017年末)まで拙ブログではアメリカの温泉を連続して取り上げておりましたが、今回記事から再びアメリカ・ネバダ州の温泉を紹介してまいります。宜しければお付き合いください。

 
ネバダ州中部の田舎町トノパーの街から国道6号を東へ50マイル進むと、ネバダ州道375号線が右手へ分岐する丁字路に差し掛かるのですが、この丁字路の前に放棄された建物が2棟ポツンと残っています。荒野の真っただ中にあるので、小さな建物ながら遠くからもすぐにその存在に気付くはず。実際にその建物に近づいてみましょう。


 
この小屋のような白い建物が今回の目的地です。かつてここには小さな温泉リゾート施設があったようですが、既に廃業されており、なぜか建物だけが取り残されたようです。小屋はいくつかあり、レストランやバーだtyたと思しき建物は閉鎖されているのですが、その左手にある小さな小屋(左側(上側)画像)へ向かうと・・・


 
小屋の傍には小学校で見られるようなプールをひと回り小さくしたような古いプールがあり、そこには真っ蒼なお湯が張られていました。白い小屋は更衣室の廃墟であり、内部は2部屋に分かれ(つまり男女別になっており)、更衣ブースが細かく仕切られていました。



それにしても、プールに張られた真っ蒼なお湯のあまりに鮮やかな色合いと美しさに、私は思わず絶句してしまいました。
プールの廃墟に張られたお湯とはいえ、こんなに美しい青を湛える温泉は他にあるでしょうか!
全米のみならず、地球屈指の美しさではないでしょうか!


 
温泉は山の方からドバドバ注がれており、湯量は非常に豊富。プールサイドはもちろん、私が車を止めている通りの路肩まで、ドバドバという響きが届いていました。
更衣室側にプールへ入るステップが取り付けられているのですが、朽ちていまにも手摺りが折れそう…。でもこのステップのおかげでお湯の透明度がお分かりいただけるかと思います。廃墟に放置されているプールのお湯にもかかわらず、非常に透明度が高いのです。どなたかが定期的にメンテナンスをしているのでしょうか。あるいは、湯量が多いので汚れや飛来ゴミなどが常に流されているのでしょうか。いずれにせよ、このお湯の透明度が鮮やかなブルーを生み出していることに違いありません。またプール内部はカルシウムの付着により白くコーディングされており、これが空の青さを映すことで感動的なターコイズブルーが誕生しているものと思われます。
なお、お湯の注ぎ口に近いステップ付近のプールの湯温は、43℃とちょっと熱めです。


 
一方、その反対側の湯尻では42℃という入りやすい温度に落ち着いていました。上述のステップ付近で身長165cmの私のヘソ下ほどだったプール深さは、湯尻へ行くにつれて徐々に深くなり、湯尻の縁付近では私が完全に頭まで潜ってしまうほど深くなってしまうのですが、湯加減はちょうど良いので、足が底につく程度の深さのところで湯浴みさせていただきました。
うひゃー!すばらしい!
お湯から特に匂いは感じられないのですが、石灰味や石膏の甘みが感じられ、湯中ではキシキシとした浴感に包まれます。白い見た目のみならず、味覚や浴感からもカルシウムが多いお湯であることがわかります。開放的な環境のもと、青い空と青くて綺麗なお湯に浸かれる幸せは、言葉で表現できません。


 
 
さて、湯あみに満足した後は、プールにお湯を供給している温泉の流れを遡ってみました。目の前の小さなハゲ山から流れてくるようです。お湯の流路はカルシウムを主成分とする析出によって真っ白に染まっており、その表面にはうろこ状の模様が形成されていました。


  
緩やかな勾配を流れ落ちる温泉。その途中で振り返ってみました。ほとんど木が生えていない荒野ですので、ちょっと高いところへ上がるだけでも、下の温泉跡地はもちろん、遠くまで良く見通せました。


 
更に流れを遡ると、やがて細く、そして深く刻まれるようになり、やがて最上流部に行きあたりました。周囲はこんもり盛り上がっているのですが、質感や色合いから推測するに、硬めの石灰華(トラバーチン)によって形成された丘ではないかと思われます。つまりカルシウムを多く含む温泉が丘を生み出したのでしょう。


 

プールのお湯は真っ蒼でしたが、源泉がある最上流部ではお湯に濁りなどが全くなく、むしろ内部では黄色が目立っています。温泉藻の類が発生しているのでしょうね。湯面のところどころでさざ波が立っているのですが、それもそのはず、底からプクプクと泡が上がっており、まさにこの湯溜まりで温泉が自噴しているのです。温度計を突っ込んだら59℃という高温が計測されました。たしかに近づくだけで熱気が伝わってきます。ここは荒野の只中ですから、真夏の日中でしたら灼熱地獄になるのかもしれませんね。


 
源泉で湧いた温泉が築き上げたトラバーチンの丘に上がって、お湯の流れ、そして周囲の景色を改めて眺めてみました。潤いとは無縁に思えすだだっ広い大荒野に、まさかこんな温泉が湧いているだなんて、日本に住む我々の常識では想像できませんよね。しかもその温泉が大量に湧いており、独特な地形まで生み出しているのですから、その摩訶不思議な自然の力には驚いてしまいます。
ガイドブックには決して紹介されない温泉施設の廃墟ですが、「国破れて山河あり」ならぬ「施設被れて出で湯あり」と表現したくなるこの素晴らしい温泉。車があれば容易に行けますから、もし興味がある方は一度訪れてみてはいかがでしょうか。



GPS:38.189470, -116.371025,

プールには誰もいませんが、一応私有地のようです。入場の際は自己責任で。
無料
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (4)
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アルカライ温泉 Alkali Hot Springs

2017年12月29日 | アメリカ
早いもので本年もあと2日。大晦日にアップする予定の今年最後の記事では、一年を振り返るつもりですので、通常の記事は今回が年内ラストとなります。今回も前回以前から続いているアメリカ・ネバダ州の温泉を取り上げ、今年通常記事の締めくくりとさせていただきます。


 
ナイ郡の郡庁所在地であり、かつて鉱山で栄えた哀愁の街トノパーを抜け、US95号線をラスベガス方面に向かって南下します。


 
トノパーから21マイル南下したところで、"Alkali 7"と記されている標識の角を右折し、西へ走ります。


 
US95号線から7マイルほど行くと、やがて道左側の丘の上に、変電設備の廃墟が見えてきます。これが今回目指す温泉の目印です。


 
電柱や碍子が放置されている丘に登って、西側に広がる平原を見下ろすと、目下に大小複数の池が見えます、


 
丘から道に戻ると、大きな木の下にコンクリでできた池が水を張っていました。池の中では魚が泳いでおり、近所のロバが水を飲んでいました。


そして、その池の傍に、2つの露天バスタブが設けられていました。ここが今回の目的である「アルカライ温泉」(Alkali Hot Springs)です。



二つのバスタブを逆方向から見てみましょう。2つはおおまかな大きさこそ似ていますが、構造や形状は異なっていますね。


 
ひとつは地べたを掘り下げて作られたもので、アメーバ型と称すべき形状をしており、浴槽内はモルタルで固められています。でも入浴するには少々浅く、しかもお湯の投入量が少なくぬるかったため、こちらは見学するだけにとどめました。


  
もうひとつは煉瓦を直径2メートルほど円筒状に積み上げて作られたもの。廻りに柱が立ち、紐が張られているので、日差しがまぶしい時などはこの紐を使って日除けを垂らすことができるかと思います。バスタブの内部はやや深いのですが、ステップが設けられているので、それを足掛かりにすると、安全に入れそうです。いずれのバスタブにも少々緑掛かった黄土色に弱く濁るお湯が張られています。


 
源泉は変電所廃墟の崖下にあり、そこから黒いホースでお湯を引いています。湯口からは48.8℃というちょっぴり熱めの温泉が絶え間なく注がれています。浴槽では少々濁っていましたが、湯口では無色透明であり、弱炭酸味と弱い金気、そして土類感が得られます。泉質は重炭酸土類泉か塩化土類泉のいずれかだと思われます。なお地名かつ温泉名はアルカライ、つまりアルカリですが、この温泉はアルカリ性ではないでしょう。


 

実際に入浴しました。上段右側もしくは2枚目の画像は、私がお湯に浸かっている状態での目線から周囲の景色を撮影したものです。どうですか、雄大な景色を独り占めできちゃうんですよ。湯口では48℃以上あったお湯も、湯船では43.5℃という入浴可能な温度にまで落ち着いているのがありがたいところ。しかも加水なしでこの湯加減ですから、お湯の濃さはそのまんまです。だからとっても気持ち良い! 上述のように重炭酸土類泉か塩化土類泉に属するタイプのお湯ですから、湯中では肌がキシキシと引っかかり、風呂上りには全身に砥の粉を塗ったような粉っぽさが残ります。とても良く温まるお湯であり、湯浴み中も体がかなり火照りました。その一方、この手の泉質のお湯が野湯となっている田代元湯や然別峡野湯群を思い浮かべればわかるように、浴槽内にはどうしても藻や苔が発生しやすく、私が入浴しようと思った時にも湯面にはそうした浮遊物が見られましたので、潔癖症の人にはちょっと受け入れがたいところがあるかもしれません。でも軽く浮遊物を除去だけでもかなり満足いく湯あみが楽しめましたので、ワイルドかつプリミティヴな温泉が好きな方でしたら、間違いなく気に入っていただける一湯だと思います。

雄大な景色の中で入る超開放的な露天風呂。しかも車があれば容易にアクセス可能です。
いつまでも入っていたくなるほど素晴らしい名湯でした。



GPS:37.824693, -117.337665,

野天風呂につきいつでも入浴可能。
無料
備品類なし

私の好み:★★★

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ダイアナズ・パンチボール  Diana's Punch Bowl

2017年12月26日 | アメリカ

まずは、アメリカ・ネバダ州の中央部を捉えたGoogleマップの衛星写真をご覧ください。
おおまかに言えば、左側の青い一帯は太平洋。海沿いにサンフランシスコの街が位置し、そこからシエラネバダ山脈を越えた東側の茶色い陸地がネバダ州です。ネバダ州の中央部では南北方向に山脈がいくつも並んでおり、その山脈に挟まれる形で谷も同じ方向に行く筋も並んでいます。この衛星写真の中央部を拡大してみると・・・



南北に伸びる谷のひとつであるモニターバレーの地面に、巨大な穴がポッカリあいているのです。実に不思議な地形なのですが、この大地にあいた大きな穴の正体は、なんと天然温泉の源泉だというのです。そこで、どんな場所なのか実際に行ってみることにしました。


 
人工物が全くない荒野のモニターバレーを南北に貫く広い未舗装路、ネバダ州道82号線。前回記事で取り上げたモニターバレー温泉(Pott)からこの州道へ戻り、砂埃を上げながら南下してゆきます。


 
左手(州道の東側)の車窓には緑の放牧地が広がるのですが、そんな緑の大地の中に突如としてオフホワイトの小高い丘が現れます。モニターバレー温泉への分岐点から4.8マイル南下すると、周囲の景色の中で明らかに浮いているこの白い丘へ向かう路地が分岐しますので、路地に入って東進します。


 
小高い丘の目の前までやってきました。上述のように周囲は放牧地であるため、牛が丘へ侵入しないよう有刺鉄線のフェンスが張られていますが、一部はゲートになっており、容易に取り外せますので、車をフェンスの前に止め、一旦ゲートの鉄線を外してそこから中へ入り、入ったら再びゲートを閉めておきます。そして歩いて丘を登っていきます。


 
斜面に転がっている石ころなどから推測するに、この白い丘は全体がどうやらトラバーチン、つまり石灰岩の一種で成り立っているようです。なだらかな斜面にはところどころに花が咲き、荒涼とした丘の表面に彩りを添えていました。麓から丘の頂上までの高度は大したことがないのですが、登る途中で辺りの景色を眺めてみますと、放牧地の牛が点に見えるほど高度感があることに気付かされます。


 
丘を登りきると、そのてっぺんには衛星写真で見た巨大な穴が口を開けていました!! そして穴の底には青々としたお湯が溜まっていました。穴を覗きこんで内部をよく見ますと、水面からは白い湯気が上がっているので、かなり熱いお湯であることが窺えます。画像ではその穴の大きさがわかりにくいかと思うので・・・



三脚を立ててカメラに12秒のタイマーを設定し、ダッシュで穴の反対側に回り込んで、自分撮りしてみました。どうですか、大きさをわかっていただけましたか? 12秒でギリギリ反対側へ廻れるほど、かなり大きな穴なのです。
この穴は「ダイアナズ・パンチボール」(Diana's Punch Bowl)と称されています。"punch bowl"を辞書で調べると次の2項目が出てきます。
 1:パンチボウル。半球形の大きなガラス製ボウル
 2:山間のくぼ地
この場合は後者ですね。長年にわたって自噴する温泉により、まるで成層火山のように石灰質が積み重なって大きな丘となり、お湯が湧出し続けるところだけ穴ぼこになって残ってしまったのでしょう。もし日本に同じようなものがあれば間違いなく観光名所になっているはずですが、ここアメリカでは見向きもされないらしく、丘の周りには牛のフンが転がるばかりでした。とはいえものすごい迫力ですよね。


 
改めて穴の中を覗いてみましょう。底深いところに溜まっているお湯は極めて透明度が高いのですが、湯面の縁と岸が接するところは赤茶色く染まっているところから推測すると、おそらく塩化土類泉かそれに類する泉質の温泉ではないかと思われます。また他からお湯が流入できるような環境ではないため、この穴の底から自噴しているのでしょう。できれば穴の下まで行ってみたかったのですが、どこの崖も垂直に落ちているため、素人が下りられるような状況ではなく、仕方なく上から覗き込むだけにとどめました。


 
丘の外側、特に車を止めた場所とは反対側の麓には小川が流れています。これは衛星写真でも確認できます。私はこの小川にちょっとした予感を覚えたので、丘を下って小川へ向かってみました。


 
丘の外側の東麓を流れる小川は、透明度が極めて高いのですが、両岸が淡い橙色に染まっており、巨大な穴の内部の縁と似たような状況になっています。私が覚えた予感とは、この小川を流れる水の温度。温度計で測ってみますと41.1℃という入浴に適した温度でした。予感的中! 両岸にこびりついている淡いオレンジ色の正体は、温泉成分の付着というより温泉藻の繁殖によるものでしょう。小川が深くなっているところを探し当てれば、ここで野湯を楽しめるかもしれない。ということで・・・



入れそうな場所を見つけ・・・


 
入っちゃいました。
ここの温度は44℃ですから、先ほどの場所より3℃も高いのですが、それもそのはず・・・


 
川底からも砂を吹き上げながらお湯が湧いており、それによって温度が上がっているのでした。お湯の供給源は2つ考えられ、一つは丘の底の穴で湧いたものが、地下水のような形で一旦地中に潜った後、改めてこの場所で地表に現れているというケース。もう一つは、この場所で直接湧いているというケース。おそらくこのいずれかでしょう。
湯加減としては良いのですが、川底に沈む大量の湯泥が一気に上がって、たちまちお湯が泥で濁り、しかもズブっとかなりの深さまで体が泥の中に潜ってしまうため、湯中に浸かる私の体もたちまち泥まみれ。あまり気持ち良い湯浴みとはなりませんでした。
とはいえ、大きなトラバーチン丘の真ん中にできた巨大な穴の迫力には圧倒されます。しかも観光地化が全くされていないので、温泉がつくりあげたこの自然の造形美を、ありのままの姿で見学することができるのです。日本語メディアではあまり紹介されていないようですが、もしネバダを旅するときには、訪問地の候補としてご検討なさってはいかがでしょうか。



GPS:39.030227, -116.666527,

野湯につきいつでも入浴可能。穴の内部は危険。
※周囲にはお店が全くありません。ガソリンスタンドは皆無です。携帯の電波も飛んでいません。
食料や水分、そしてガソリンを十分に確保しておくことをおすすめします。

私の好み:★+0.5(穴の迫力と景観は★★★)

コメント (2)
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モニターバレー温泉 Monitor Valley Hot Springs (Potts)

2017年12月23日 | アメリカ
前回記事で取り上げたスペンサー温泉から車を南東へ進めます。

ネバダ州の中央部では山脈が南北方向へ複数並んでおり、山脈に挟まれる形でいくつかの谷も南北に細長く伸びています。そんな谷のひとつであるモニターバレーでは、一部エリアで温泉が湧出しているらしいので、どんな温泉に出会えるのか、行ってみることにしました。

 
まずは、スペンサー温泉付近を北西から南東へ貫く道(NF001号)に入り、南東へ向かいます。はじめのうちは乾燥した荒野が果てしなく続くように思われえるのですが、やがて前方になだらかな山が左右に広がり、道はその山へ向かって突入してゆきます。


 
この山はモニターレンジという細長い山地であり、最も高いところでは標高3000メートル以上もあるのですが、この辺りは低いため、車でも容易に越えられます。あたりの針葉樹林はトイヤベ国有林(Toiyabe National Forest)。道が峠にさしかかるところにはキャンプ場が設けられていました。でも私の目的は温泉なので、キャンプ場は通過します。


 
この国有林を貫くNF001号という道はひたすらダートが続き、舗装区間は皆無なのですが、幅が広くて凸凹も少ないので、未舗装路に慣れない方でも比較的運転しやすいかと思います。峠を越え、山の反対側(東側)へ下ってゆくと、道は再び真っ平らになり、見渡す限り荒野が広がる何もない世界の中を真っ直ぐ進むことになります。この何もない世界こそ、モニターバレーなのです。人家はおろか、人工物そのものがほとんどありません。携帯電話も完全に圏外。スマホのGPSが使えず、予め調べておいたGoogle Mapも正確さに欠けている中で、曲がり角に立つ道路標識だけが唯一の頼りです。


 
NF001号はネバダ州道82号にぶつかり、その丁字路で終点となります。丁字路を左折すると北上してUS50号方面へ、右折するとモニターバレーの深部へ向かいますが、ここは右折します。


 
モニターバレーの真ん中を南北に貫く州道82号線は、州道といってもひたすら未舗装路。道の左右には谷を挟む山脈が連なっていますが、谷は何もない荒野であり、おそらく有史以前の光景と変わっていないのではないかと思われます。未舗装とはいえ、道幅は広く凸凹も少ないので、結構なスピードを出すことができました。


 
砂埃を上げながら82号線を南下してゆくと、約4マイル弱で上画像のような標識が立つ分岐点が目の前に現れました。ここを右へ行けばそのまま82号を南下でき、左折すると谷の東側へ抜けて山の方へと入ってゆくようです。標識には特に温泉の位置など記されていないのですが、事前の調査によれば、目指す温泉は州道の東側にあるはずなので、私はここを左折してみることにしました。



分岐点から2マイルほどで廃屋を通過・・・


 
廃屋の先のカーブを曲がったあたりで、特に目印の無い分岐点が出現します。ここで私は勘を働かせ、分岐を右に逸れて小道へと入ってゆきました。すると路傍に"CLOSED TO THE PUBLIC"と書かれた看板が立てられていました。まさか・・・。ちょっと嫌な予感がしますね。



やがて小道は行き止まりとなったので、そこで車をとめて先へ歩いてゆくと、灌木の向こうに青い物体を発見しました。



小高い丘の端に設置された直径2メートル程のこの樹脂製たらいは、まさに温泉を張って入浴するための露天バスタブであります。今回の目的地であるモニターバレー温泉(Monitor Valley Hot Springs 別称Potts)に到着しました。簡易的なバスタブの周りにはベンチが置かれ、ウッドデッキも取り付けられ、お誂え向きはいい感じです。でも・・・



バスタブには引湯用の湯樋が掛けられているものの、中は完全に空っぽであり、肝心のお湯は一滴も注がれていませんでした。残念・・・。先ほどの"CLOSED TO THE PUBLIC"という看板は、このことを指していたのでしょう。


 
バスタブの脇には黒いホースが伸びており、その中を41.5℃の温泉が流れていました。このホースをバスタブへ持っていけば、今すぐにでもお湯が張れます。しかも絶妙な湯加減! モニターバレーや両側の山稜を一望できる小高い丘の上であるため、眺めも良好。ここにお湯を張れたら、さぞ気持ち良い開放的な湯浴みが楽しめたことでしょう。でもあのような看板が立っているということは、下手にお湯を張っちゃうと関係者の怒りを買って面倒な事態を招く可能性がありますから、ここはグッと我慢して見学だけにとどめました。


 
地中から自噴した温泉は、バスタブに張られることなく、人間様に触れることもなく、地表で小川となり、荒野の中を流れていました。あぁ、もったいない。

なお、たまたま途中でピックアップトラックとすれ違ったので、この車に乗っていたお兄ちゃんに訊いたら、モニターバレー温泉は一年ほど前からパブリックへの開放をやめてしまったそうです。理由はわかりませんが、ちょっと残念です。でもこの先には別の温泉があるはずですので、気持ちを入れ替えてここを去り、次を目指すことにしました(次回記事へ続く)。



GPS:39.079858, -116.64004,

現在入浴不可
※周囲にはお店が全くありません。ガソリンスタンドは皆無です。携帯の電波も飛んでいません。
食料や水分、そしてガソリンを十分に確保しておくことをおすすめします。

私の好み:評価不可(入浴できなかったため)

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