温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

草津温泉 ペンションはぎわら 2016年秋再訪

2018年01月26日 | 群馬県
先日(2018年1月23日)に発生した草津白根山(本白根山)の水蒸気爆発で犠牲になった方のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。私のような温泉バカにとって、火山やそれに伴う地熱活動は、温泉という自然の恵みを与えてくれるありがたい存在なのですが、時折このような惨禍をもたらし、その被害はあらゆる方面に及んでしまうので、無神経に喜んでいられないのがツライところ。今回の噴火でも、人的被害はもちろんのこと、その麓にある草津温泉の各旅館では早速キャンセルが相次いでおり、観光で成り立っている当地にとっては死活問題となっているようです。そこで今回から少しだけですが、私の記事ネタのストックから草津温泉関係を掘り起こして、いくつか紹介させていただきます。いずれも1年以上前のネタで申し訳ないのですが、何卒ご了承ください。


 
以前拙ブログでは草津の「わたの湯」源泉に入ることのできる「ペンションはぎわら」をご紹介したことがありますが(前回記事はこちら)、2016年の初冬に草津で滞在する機会があった際にも、あの素晴らしいお湯が恋しくなったので、一晩お世話になりました。今回記事ではその時のことを書き綴ってまいります。



前回訪問したときには、黒い毛の老犬がお客さんを出迎えていましたが、その後残念ながら天国へ旅立ってしまったんだとか。でも新たに子供の柴犬がやってきて、早くも宿の一員として愛想を振りまいていました。この日も私を見かけるや、このワンコは機敏に動きながらこちらへすり寄って来て、すぐにゴロンとお腹を向けたのでした。人懐こい性格なので、接客業にピッタリですね。


 
お宿の客室は和室と洋室の2タイプから選べるのですが、今回も前回と同じ洋室のベッドルームをお願いしました。正直なところ建物の古さは隠せませんしトイレも共用なのですが、室内は綺麗にお手入れされており、テレビや洗面台などが備え付けられているので、快適に過ごすことができました。


 
さて、お風呂へ向かいましょう。浴室は2室あり、大きさと形状が若干異なっているのですが、極端に違う訳ではなく、紺と紅の暖簾を入れ替えたり、あるいは貸切のような形にして、適宜使い分けているようです。前回宿泊時には両方入ったのですが、今回は奥側の大きな浴室のみ利用しました。

記事の冒頭でも申し上げましたが、こちらのお宿では「わたの湯」という源泉を引いており、この源泉に入れる施設はこちらを含め僅かしかありません。しかもこちらでは源泉に一切手を加えず、そのままの状態で浴槽へ供給しています。このため季節によって気温などの影響を受けてしまうんだとか。この日も浴室入口には「冬の間は温泉が少々ぬるく成りますので 熱い湯を出して入浴下さい」という文言の書かれた札がさがっていましたが、訪問日はそこまで冷え込んでいなかったので、ボイラーの沸かし湯を加えることなく、源泉そのままの状態で入浴させていただきました。


 

小ぢんまりとした室内には硫黄の香りがふんわり漂っています。壁はモルタルの上に白く塗装され、床はタイル貼りという実用的な設えですが、浴槽の傍らに据えられたゴツゴツとした黒い岩が、非日常的な雰囲気を演出しています。洗い場にはカランが2基設置されており、うち1基はシャワー付きです。


 
浴槽に注がれる「わたの湯」源泉は、この日も一切手を加えることなく絶妙な湯加減が保たれていました。言わずもがな、完全掛け流しです。湯船のお湯はほぼ透明に見えますが、浴槽の切り欠けから洗い場へ溢れ出ているお湯の流路がクリーム色に染まっており、イオウの濃さがビジュアル的に伝わってきます。その一方で、以前訪問した時、湯船の底には湯の花がたくさん沈殿しており、私が湯舟に浸かるとそれらが舞い上がって瞬間的にお湯が濁ったのですが、この日は予め除去されていたのか、そのような現象はほとんど見られず、終始透明度の高い状態が続いていました。そんなお湯を口に含むと余計な雑味のないストレートな収斂酸味が航空の粘膜を刺激するほか、アルミ箔をかじったような感覚も少々あり、湯面からはイオウの香り、そしてツンと鼻孔を刺激する酸っぱい匂いも放たれていました。

それにしても「わたの湯」は実に素晴らしい。入った瞬間に肌へ伝わる強酸性泉独特のヌルヌル感のほか、いつまでも続くツルツルスベスベ浴感も心地よく、お湯なのにフワっとするようなエアリー感すら覚えるとても優しい浴感を持ち合わせています。またオーバーフローのお湯によって洗い場が軽い洪水状態になるほどお湯の投入量が多いため、湯舟のお湯は常に鮮度感が抜群であり、これがお湯の持つ浴感をさらに高めています。前回記事でも申し上げましたが「わたの湯」というネーミングは実に言い得て妙。本当に綿に包まれているような軽やかな感触で湯浴みを楽しめるのです。お宿はリーズナブルですし、それでいてこんな極上のお湯に入れるのですから、ありがたいことこの上ありません。リピートして良かった!


わたの湯源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 56.0℃ pH2.05 蒸発残留物1.46g/kg 成分総計1.61178g/kg
H+:8.98mg, Na+:53.0mg, Mg++:38.5mg, Ca++:73.6mg, Al+++:40.0mg,
F-:10.5mg, Cl-:309mg, SO4--:601mg, HSO4-:180mg,
H2SiO3:240mg, H2S:13.6mg, H2SO4:4.0mg,

群馬県吾妻郡草津町草津464-279  地図
0279-88-2363
ホームページ

日帰り入浴不可
シャンプー類あり、ドライヤー貸出

私の好み:★★★

コメント (6)
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