前回記事では2018年秋に青森県の弘南鉄道・大鰐線を利用して大鰐温泉へ向かったことを述べました。そして前々回記事では、大鰐で泊まった温泉宿についてご紹介いたしました。話の流れとしては、その続きです。
大鰐で一晩過ごした翌日、私は奥羽本線の普通列車に乗って青森県から離れ、矢立峠を越えて秋田県に入り、県北の中心都市である大館駅で列車を降りました。
大館といえば秋田犬のふるさと。秋田犬といえば忠犬ハチ公。ということで、駅前ロータリーにはハチ公の銅像が設置されているほか、駅舎内には2009年に公開された映画「HACHI」を記念したかわいらしいハチ公のモニュメントが飾られていました。モニュメントは「かわいい」と言われることを目指して作られているのが明白なのですが、銅像の方は体つきがしっかりしているため、渋谷のハチ公に比べると可愛らしさに欠ける反面、秋田犬の本当の姿を現しているようでリアリティがあります。もっとも、リアリティを追及したところで、見た人に好感を与えるかは疑問ですが・・・。
大館駅の駅舎内にある観光案内所では、観光目的に限り無料で自転車を借りることができます。大館と言えば硫酸塩泉の宝庫ですから、私はこのレンタサイクルで市街の温泉を巡ることにしました。
既に廃止されている小坂鉄道の線路敷に沿って東へ東へと自転車を進めてゆくと、駅前を出発して10分もしないタイミングで、田んぼの先に浮かび上がる真っ白なドームが見えてきます。大館が誇るドーム球場「樹海ドーム」ですね。この「樹海ドーム」の手前にあるのが・・・
「ふるさわ温泉 光葉館」です。こちらでは宿泊も可能ですが、地元の方からは温泉銭湯としても親しまれています。今回は私も入浴のみで利用することにしました。
玄関の前ではモフモフした毛が綺麗な2頭のワンちゃんがお出迎え。うち1頭は「温(はる)」という雌犬で、お宿の看板娘的な存在のようです。駅前の銅像とは大違いの、とってもかわいい秋田犬です。
「温」に会釈しながら中に入り、番台で直接湯銭を支払います。玄関ホールの右手には食堂のようなスペースが広がっており、どういうわけか、まるで漫画喫茶のように漫画本がたくさん並んでいました。宿泊客が時間つぶしに読むのでしょうか。
なお玄関ホールには温泉が飲める飲泉場が設けられていたようですが、現在飲泉は中止されており、代わりにごく一般的な冷水器が置かれていました。
番台左側の狭く暗い通路を進んだ先が男湯の出入口。天井の低い脱衣室は昼間なのに薄暗いのですが、浴室とガラス窓で隔てられていますから、お風呂の中の様子を確認することができます。
浴室は内湯のみで露天などはありません。中間室を通って浴室へ入ると、訪問時の室内は湯気が篭ってムワッとしていたのですが、熱気に関してはその時々によって状況が異なるのかもしれませんね。床にはグレーの防水塗装が塗られているのですが、滑りやすいため、部分的に人工芝が敷かれています。したがってその上を歩けば滑ることはないでしょう。
脱衣室との仕切り壁に沿って洗い場が設けられ、カランが7基並んでいます。なお一部はシャワー付きで、7基のうち1基は訪問時故障中でした。カランから出てくるお湯は沸かし湯のようです。
上画像は洗い場の上に掲示された張り紙を写したもの。節水はどの施設でも心がけるべきことですが、ここにカッコ書きで書かれた「おかゆ」って一体何のことなんでしょう? お湯のことを方言でおかゆと表現するのかしら? あるいは蛇口を捻ったらトロットロのおかゆがドロドロと吐出されるのでしょうか? 興味津々です。
浴室の隅には上がり湯の跡のような小さいタイル張りの空の湯壺があり、その上には黄色いケロリン桶が積み重ねられていました。ちなみにここのケロリン桶は、温泉名が入ったオリジナル品です。
浴槽の大きさは計測し忘れてしまったのですが、窓に面して横に長い造りになっており、全面タイル貼りです。単に長いだけでなく左右で深さが異なっており、中央から湯口側は深い造り(というか一般的な深さ)で、その反対側は浅くなっています。
浴槽の端には打たせ湯らしき形跡があるのですが、いまは使われていないようでした。
お湯は獅子の口から吐出されています。大館界隈では「釈迦内温泉 泉湯」や「花岡温泉」などでも、同じように焼き物の獅子が無色透明な硫酸塩泉と吐き出していますが、こちらの施設ではお湯に塩素消毒を行っているためか、お客さんが飲泉しないよう口に黒いネットを覆い被せていました。凛々しいお顔がすっかり隠れてしまっていますが、まるで病気にかかってマスクを被せられた犬みたいで、ちょっとかわいそう・・・。
でも黒いマスクをものともせず、獅子の口はしっかりとした量のお湯を吐き続けており、浴槽を満たしたお湯は贅沢にザブザブと縁からオーバーフローしていました。お湯は無色透明でクリアに澄んでいますが、湯中をよく見ると茶色っぽい浮遊物がチラホラ舞っています。お湯からは芒硝っぽい薬味と匂いが感じられます。紛うことなき芒硝泉なのですが、この手のお湯には珍しくアルカリ性であり、しかも炭酸イオンが一般的な温泉と比べて多いので(12.4mg)、湯中ではツルツルスベスベの滑らかな浴感が肌を包んでくれます。なお源泉温度が32℃なので加温して浴槽へ提供しているほか、上述のように塩素消毒していますが、循環や加水は無く、放流式の湯使いを実践しています。加温もほどほど(41℃程度)なので、入浴中は体への負担が軽く、ゆっくりのんびり入浴できました。無色透明だからと侮ることなかれ、なかなかいいお湯でした。
ナトリウム-硫酸塩温泉 32℃ pH8.8 溶存物質2054.3㎎/kg 成分総計2054.3mg/kg
Na+:636.0mg(95.78mval%),
Cl-:192.0mg(18.13mval%), SO4--:1130.0mg(78.72mval%), CO3--:12.4mg
H2SiO3:26.0mg,
(平成18年3月22日)
加水・循環なし
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
消毒あり(衛生管理の為塩素系薬剤を使用)
秋田県大館市新綱27
0186-48-4295
6:00~21:30(11月~3月→6:30~21:30)
350円
ドライヤー有料貸出(宿泊者は無料)、ロッカーあり、石鹸類販売あり
私の好み:★★+0.5
大鰐で一晩過ごした翌日、私は奥羽本線の普通列車に乗って青森県から離れ、矢立峠を越えて秋田県に入り、県北の中心都市である大館駅で列車を降りました。
大館といえば秋田犬のふるさと。秋田犬といえば忠犬ハチ公。ということで、駅前ロータリーにはハチ公の銅像が設置されているほか、駅舎内には2009年に公開された映画「HACHI」を記念したかわいらしいハチ公のモニュメントが飾られていました。モニュメントは「かわいい」と言われることを目指して作られているのが明白なのですが、銅像の方は体つきがしっかりしているため、渋谷のハチ公に比べると可愛らしさに欠ける反面、秋田犬の本当の姿を現しているようでリアリティがあります。もっとも、リアリティを追及したところで、見た人に好感を与えるかは疑問ですが・・・。
大館駅の駅舎内にある観光案内所では、観光目的に限り無料で自転車を借りることができます。大館と言えば硫酸塩泉の宝庫ですから、私はこのレンタサイクルで市街の温泉を巡ることにしました。
既に廃止されている小坂鉄道の線路敷に沿って東へ東へと自転車を進めてゆくと、駅前を出発して10分もしないタイミングで、田んぼの先に浮かび上がる真っ白なドームが見えてきます。大館が誇るドーム球場「樹海ドーム」ですね。この「樹海ドーム」の手前にあるのが・・・
「ふるさわ温泉 光葉館」です。こちらでは宿泊も可能ですが、地元の方からは温泉銭湯としても親しまれています。今回は私も入浴のみで利用することにしました。
玄関の前ではモフモフした毛が綺麗な2頭のワンちゃんがお出迎え。うち1頭は「温(はる)」という雌犬で、お宿の看板娘的な存在のようです。駅前の銅像とは大違いの、とってもかわいい秋田犬です。
「温」に会釈しながら中に入り、番台で直接湯銭を支払います。玄関ホールの右手には食堂のようなスペースが広がっており、どういうわけか、まるで漫画喫茶のように漫画本がたくさん並んでいました。宿泊客が時間つぶしに読むのでしょうか。
なお玄関ホールには温泉が飲める飲泉場が設けられていたようですが、現在飲泉は中止されており、代わりにごく一般的な冷水器が置かれていました。
番台左側の狭く暗い通路を進んだ先が男湯の出入口。天井の低い脱衣室は昼間なのに薄暗いのですが、浴室とガラス窓で隔てられていますから、お風呂の中の様子を確認することができます。
浴室は内湯のみで露天などはありません。中間室を通って浴室へ入ると、訪問時の室内は湯気が篭ってムワッとしていたのですが、熱気に関してはその時々によって状況が異なるのかもしれませんね。床にはグレーの防水塗装が塗られているのですが、滑りやすいため、部分的に人工芝が敷かれています。したがってその上を歩けば滑ることはないでしょう。
脱衣室との仕切り壁に沿って洗い場が設けられ、カランが7基並んでいます。なお一部はシャワー付きで、7基のうち1基は訪問時故障中でした。カランから出てくるお湯は沸かし湯のようです。
上画像は洗い場の上に掲示された張り紙を写したもの。節水はどの施設でも心がけるべきことですが、ここにカッコ書きで書かれた「おかゆ」って一体何のことなんでしょう? お湯のことを方言でおかゆと表現するのかしら? あるいは蛇口を捻ったらトロットロのおかゆがドロドロと吐出されるのでしょうか? 興味津々です。
浴室の隅には上がり湯の跡のような小さいタイル張りの空の湯壺があり、その上には黄色いケロリン桶が積み重ねられていました。ちなみにここのケロリン桶は、温泉名が入ったオリジナル品です。
浴槽の大きさは計測し忘れてしまったのですが、窓に面して横に長い造りになっており、全面タイル貼りです。単に長いだけでなく左右で深さが異なっており、中央から湯口側は深い造り(というか一般的な深さ)で、その反対側は浅くなっています。
浴槽の端には打たせ湯らしき形跡があるのですが、いまは使われていないようでした。
お湯は獅子の口から吐出されています。大館界隈では「釈迦内温泉 泉湯」や「花岡温泉」などでも、同じように焼き物の獅子が無色透明な硫酸塩泉と吐き出していますが、こちらの施設ではお湯に塩素消毒を行っているためか、お客さんが飲泉しないよう口に黒いネットを覆い被せていました。凛々しいお顔がすっかり隠れてしまっていますが、まるで病気にかかってマスクを被せられた犬みたいで、ちょっとかわいそう・・・。
でも黒いマスクをものともせず、獅子の口はしっかりとした量のお湯を吐き続けており、浴槽を満たしたお湯は贅沢にザブザブと縁からオーバーフローしていました。お湯は無色透明でクリアに澄んでいますが、湯中をよく見ると茶色っぽい浮遊物がチラホラ舞っています。お湯からは芒硝っぽい薬味と匂いが感じられます。紛うことなき芒硝泉なのですが、この手のお湯には珍しくアルカリ性であり、しかも炭酸イオンが一般的な温泉と比べて多いので(12.4mg)、湯中ではツルツルスベスベの滑らかな浴感が肌を包んでくれます。なお源泉温度が32℃なので加温して浴槽へ提供しているほか、上述のように塩素消毒していますが、循環や加水は無く、放流式の湯使いを実践しています。加温もほどほど(41℃程度)なので、入浴中は体への負担が軽く、ゆっくりのんびり入浴できました。無色透明だからと侮ることなかれ、なかなかいいお湯でした。
ナトリウム-硫酸塩温泉 32℃ pH8.8 溶存物質2054.3㎎/kg 成分総計2054.3mg/kg
Na+:636.0mg(95.78mval%),
Cl-:192.0mg(18.13mval%), SO4--:1130.0mg(78.72mval%), CO3--:12.4mg
H2SiO3:26.0mg,
(平成18年3月22日)
加水・循環なし
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
消毒あり(衛生管理の為塩素系薬剤を使用)
秋田県大館市新綱27
0186-48-4295
6:00~21:30(11月~3月→6:30~21:30)
350円
ドライヤー有料貸出(宿泊者は無料)、ロッカーあり、石鹸類販売あり
私の好み:★★+0.5