温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯宿温泉 太陽館

2019年04月16日 | 群馬県

前回記事の猿ヶ京から三国街道をちょっと下って、私が好きな湯宿温泉へとやってまいりました。個人的な話で恐縮ですが、いままで温泉街にある外湯は全て入ったことがあり、大抵のお宿にもお邪魔しているにもかかわらず、なぜか国道から最も目立つ場所にある「太陽館」だけは一度も訪れたことがありませんでした。わかりやすい場所にあるため「いつでも行けるから後回しでも大丈夫」なんて思っていたのかもしれません。好物の食べ物を目にしたら、真っ先に食らいつく人と、楽しみを後にとっておく人の2パターンに分かれますが、後者に属する私はいろんなものを後回しにするため、横取りされたり、そのものが無くなっちゃったりして、ちっとも楽しみを享受することができない情けない性格です。そんな自分の毎日に反省を促す意味でも、猿ヶ京を訪れた日にこちらにも立ち寄って、後回しの連鎖を断ち切ることにしたのです。

日帰り入浴を歓迎する電光掲示が立っている駐車場に車を停めて、日帰り入浴をお願いしたいと伺ってみたところ、お宿の方は快く受け入れてくださいました。



お風呂は階段を上がった2階の奥です。建造から相当の年月が経っている建物自体は、正直なところちょっとお疲れ気味のようですが、館内は明るくリニューアルされており、お風呂までの廊下を歩くだけでも経年を払拭しようとするお宿の努力が伝わってきます。内湯は24時間入浴可能ですが男女入れ替え制。宿泊すれば両方のお風呂に入ることができるでしょう。


 
お風呂入り口の前には「長寿の水」なるものがあり、山の清水がチョロチョロ落とされています。湯上がりに飲んで水分補給に役立てると良いですね。



大浴場は内湯のみ。暖色系のタイルでまとめられており、山に向かって大きな窓が設けられています。その窓の下に据えられている大きな浴槽は、縁が木で内部のステップは石板タイル、そして底は水色のタイル貼りです。目測で奥行2メートル弱ほど、幅は2.5メートルほどでしょうか。深めの造りなので、肩までしっかり湯に浸かれ、入り応えも十分です。


 
手前側の左右には洗い場が設けられ、シャワー付き混合水栓が計6基並んでいます。なおカランから出てくるお湯は真湯です。浴槽に近いシャワーでシャンプーしていたら、グラインダーで削ったような縁の切り欠けから、浴槽のオーバーフローがグレーチングに向かってしっかり流れていました。



浴槽には柱が出っ張っており、そこに取り付けられている木枠の湯口から温泉が投入されていました。画像にも写っているように、湯口まわりには白い析出がびっしりこびりついています。こちらのお宿に引かれているお湯は湯宿の主要源泉である窪湯源泉です。無色透明なお湯からは、芒硝や石膏の味が感じられるほか、木材をちょっとあぶったような香ばしい匂いも得られます。また塩味もちょっぴり含まれていました。湯中ではしっかり引っかかる浴感が得られます。
なお湯使いは放流式ですが、温度調整のため加水を実施しているとのこと。とはいえ私が入ったときにはちょっと熱めの湯加減でした。加水量をなるべく抑えようとしているのかもしれませんね。


 
ちなみに、大浴場がある2階から更に階段を上がって3階に向かうと、貸切露天風呂が2つ並んでいます。布袋、そして観音の名を冠する2つの露天は、いずれも三国街道や川に向かって視界が開けており、シャワーが2基設置されていて、大浴場と同じ窪湯源泉の熱いお湯が、桧風呂にチョロチョロと注がれていました(私が訪ねた冬の某日は、湯船に保温マットが被せられていました)。明るく綺麗で女性受けしそうなお風呂です。なお、この両露天風呂はシンメトリな構造をしており、お風呂の先に設えられているお庭の仏様以外に特にこれといった違いはありませんから、わざわざ両方入ることはないのかもしれません。どちらか片方をゆっくり利用すれば十分に寛げるでしょう。

石畳の細い路地に昔日の宿場風情が残る湯宿温泉は、温泉県である群馬県の中でもあまり目立たない存在ですが、かえってそれが燻し銀の良さを生み出し、本物の旅好きに受け入れられる雰囲気を醸成しています。今回もそんな長所を実感しました。特にこちらのお宿は当地でも日帰り入浴の受け入れ時間帯が長いので、当地を往来する旅人にとって重宝すると言えるでしょう。かけ流しのお風呂に入って心身を癒された私ですが、お風呂が良いことはもちろん、いままで後回しにしてきたお宿にお邪魔できたことで、余計に安堵感が得られたのでした。


窪湯
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 59.1℃ pH8.0 蒸発残留物1.372g/kg 成分総計1.31g/kg
Na+:227mg, Ca++:156mg,
Cl-:120mg, SO4--:693mg,
H2SiO3:60.6mg, CO2:14.1mg,
(平成5年8月6日)
加水あり(源泉温度が高いため)
加温・循環・消毒なし

群馬県利根郡みなかみ町湯宿温泉2384
0278-64-0211
ホームページ

日帰り入浴11:00~21:00
600円(公式サイトに割引クーポンあり)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5




コメント (3)
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