
(2023年9月訪問)
山形県内を移動中、ちょっと気になるところがあったので、立ち寄ってみました。実は以前にもこのエリアの温泉を1ヶ所だけ取り上げたことがあるのですが(当時の記事はこちら)、実は複数存在しているらしいので、今回は前回記事で取り上げていなかった箇所を訪ねることにします。集落を貫く県道を車で走っていると・・・田んぼの奥に小屋が見えますね。

畦道を歩いて小屋の傍まで来ました。

この小屋の脇には常時水が注がれている円筒形のコンクリ桝が設置されており・・・

桝に注がれている水の温度を計測すると29.5℃でした。訪問した日がいくら暑い夏だとはいえ、沢の水がそんな高温なはずはなく、またどこか別の場所で人為的に加温されたり、あるいは日光に晒され続けて温かくなっているわけでもないでしょうから、おそらくこの水は汲み上げられた時点で29℃以上有していたものと思われます。
ここで軽く法律のお勉強をしましょう。温泉法の第二条では日本における温泉の定義が説明されており、曰く「この法律で『温泉』とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう」とのこと。その別表で「一 温度(温泉源から採取されるときの温度とする。) 摂氏二十五度以上」とあり、湧出した時点で25℃以上あれば、その鉱泉は成分の如何を問わず温泉と呼べます。
ということは、温泉法の定義に基づけばこのコンクリ枡の水は立派な温泉なのですね。でも入浴に供されているわけではなく、あくまで農業用です。ここには人間が浴するのに適した施設も設備もありません。

上の円筒桝からあまり離れていない場所にも別の四角いコンクリ枡があり・・・

この桝の中に絶え間なく流れている水の温度を測ると、こちらも29.8℃とほぼ同じ温度でした。同様に温泉と言えますね。
マニアの中には今回記事で取り上げたこれらの温泉に入っている方もいらっしゃるようですが、幸か不幸かこの時の私は先を急いでいたので、温度の計測後に手を突っ込んでそのぬるさを確認するだけにとどめて、この地を去りました。今回取り上げた2箇所以外にも、このエリアにはぬるいお湯があるそうなので、また機会があればちゃんと調べて場所を特定してから再訪しようかと思っています。
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