昼頃に史跡佐渡金山に到着。
大きな看板に広い駐車場。チケット売り場に法被を着た案内人。さすがに一大観光地という観がある。が、車も人も意外と少ない。夏休みが終わった後とは言え、世界遺産に登録された割には寂しい。佐渡は宣伝の仕方が下手なのか、そもそもあまり宣伝する気がないのか。私は案外後者ではなかろうかと推測した。
空にしたリュックに犬を入れ、首だけ出させて、坑道に入る。数年前の冬、同じやり方で、リフトに乗って一滑りだけスキーをしたことがある。犬を連れて旅行していたのだが、スキー場を見るとどうしてもスキーがしたくなったのだ。今回も、犬の方でも心得たものか、リュックに入ると案外大人しく首を出している。歩かないだけ楽だとでも思っているのかも知れない。
天井から吊るすライトに照らされた坑道は、採掘作業を再現したリアルな人形たちが機械仕掛けで同じ動作を繰り返して、賑やかしい。当時の労働者たちの様子がよく伺える。ただ、例えば松代大本営跡の地下壕を巡った時に感じたような、何もないが故の想像力をかき立てられる不気味な静けさ、といったものと比較して、あとに残る印象が物足りない。情報が入るが、感動が少ないのである。ここは観光開発における実に微妙で難しいところだと思う。世界遺産となればなおさらだ。観光客に何を価値として見せるか、の問題である。いろいろ用意しなければ客は退屈する。しかし用意しすぎると客はうんざりする。あるがまま、遺産として残っているがままを見せるのが一番かも知れないが、それでは維持に必要な金が落ちてこない。
坑道を出たところにある売店で、犬をリュックから出し、人間は金箔ソフトを買って食べた。ソフトとしては充分美味しかった。金箔ソフトなどと名乗るから、金箔が足らない、などと言った不平も出るのである。
金山跡を出て車を少し走らせたところに、北沢浮遊選鉱場という遺跡がある。当初から目的地の一つだったが、実はそこへ行くにも標識が見当たらず、一度通り過ぎてしまった。己の方向音痴を棚に上げて言えば、観光ルートの案内板が乏しい。佐渡金山のようなスポットは飾り立てるが、それ以外はあまり観光客目線で整備されていないようである。やはりそれだけこの島は、全体として、観光地化する気がないのだ。ありのままでいたいのだ。と肯定的に捉えれば、そう言えなくもない。
その選鉱場で、今回の旅一番の感動に出会うことになる。
(つづく)
※ひどいピンボケである。
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