ぼくのおじいちゃんは、去年の十一月三十日に、肝臓がんで、八十五歳で亡くなりました。入院をしたのが二月、それからずっと病院生活で、一度も家に帰ることはできませんでした。
ぼくはお母さんと一緒に、何度も病院のおじいちゃんに会いにいきました。おじいちゃんは、入院したばかりの頃の苦しい処置のせいで、体力がなくなってしまい、寝たきりになりました。おじいちゃんは、それまでずっと現役で、ダンスの先生をしていました。入院する直前まで、飛び跳ねて踊っていたのです。それが、突然こんなことになってしまって、急な環境の変化で、認知症もみられるようになってきました。
おじいちゃんの認知症は、ぼくがお見舞いにいくごとに進んでいっているのが、ぼくの目からもよくわかりました。話がかみあわないことも何度もありました。ぼくは、学校で描いた絵や習字を、持っていって見せたり、折り紙で、恐竜や星型のオブジェを作ってあげたりしましたが、おじいちゃんはあまり喜んでくれず、がっかりしたこともありました。
ある時、お母さんに、
「なんとかして、おじいちゃんの頭を活性化させよう、匠、将棋を持っていって、おじいちゃんと勝負したらどうかな?」
と言われました。ぼくもそれはいい考えだと思って、将棋を持っていきましたが、勝負になりませんでした。
「これはどう動かすんやっけ?」
と、コマの動かし方もほとんど忘れていました。ぼくは、そのたびに説明しました。
お母さんや、おじいちゃんのパートナーさんも、一生懸命、おじいちゃんのめんどうをみていました。ごはんを残さず食べたら大喜びしたり、食欲がなくてほとんど残すときには、おじいちゃんが喜びそうなものを考えて、次々と持っていきました。小さく切って、つまようじに刺して、「食べてみて」といって、おじいちゃんの手に持たせてあげました。少しでも自分でできるようにという気配りです。
誕生日には、パートナーさんが、お花で作ったケーキをプレゼントしました。目で食べるのです。毎日のお薬も、とても飲みにくいので、小さなすり鉢で細かくつぶして飲ませてあげるようにしていました。薬を飲むだけでも、大仕事なのです。
ぼくがこの作文をいちばん読んでもらいたいのは、病院の看護師さんや、介護師さんたちです。おじいちゃんの認知症が進んていき、体も動かなくなっていくにつれて、病院の人たちの、おじいちゃんに対しての扱い方に、「いやだなあ」と思うことが多くなりました。おじいちゃんは、今は入院して体が不自由だし、認知症だけど、ぼくにとっては、すごく立派なアーティストです。おじいちゃんとパートナーさんのダンスは、とてもすばらしくて、ぼくはビデオを見せてもらって、心から感動しました。
もう、おじいちゃんは助からない、このまま死んでしまうかもしれないと、ぼくにもわかりましたが、それでも、おじいちゃんは今は生きていて、一生懸命病気と闘っている人です。がんばり続けるおじいちゃん。それを、自分の仕事の都合で、無理やり食事を口の中に詰め込んだり、自分の気分で、心ない言葉をかけたりしないでほしいです。家に帰れないおじいちゃんは、病室が自分の部屋で、介護師さんたちは、家族に代わってお世話をしてくれる人です。感謝しなくてはいけないのだけれど、ぼくは、もっとおじいちゃんを大切にしてほしいと思ったことが何度もありました。
おじいちゃんが亡くなる前の日、お見舞いにいったら、おじいちゃんは、全身が黄色くなって、目も口も開いたままで、こわかったけれど、勇気をだして呼びかけました。
「神さま、守ってください。」と、声に出してお祈りしました。
それがおじいちゃんとの最後の時間でした。おじいちゃんに、ぼくの声が聞こえたでしょうか?
私は介護福祉士の仕事をしています。
Takくんが、おじい様担当の看護士さん介護士さんの態度を残念に思ったこと
とてもわかります。
ただ、私の立場で少し言わせてもらえるならば、
看護士さん介護士さんは自分の都合や気分でお仕事をしているわけではなくて、
何人もの患者さんのお世話をしなければならないので
一人ひとりに優しくする余裕がないのだと思います。
今、介護のお仕事をする人のお給料はとても安いと言われています。
あまりに安すぎるので、この先世の中にはお年寄りがどんどん増えていくのに
介護の仕事をする人は増えないのです。
そのせいで、介護の仕事をする人の負担がどんどん増えていっています。
介護士さんも、本当はもっとゆっくり患者さんに向き合いたいと思っていると思います。
でもそうすると、自分の仕事がいつまでたっても終わらない。
介護士さんにも家庭があり家族があります。
家で子どもや家族が待っているかもしれない。
そうしたら、やっぱりできるだけ早く仕事を終わらせたいと考えるのは
そんなにいけないことなのでしょうか。
私は病院勤務ではないのでTakくんがみた介護士さんとは少し立場が違いますが、
認知症のお年寄りに殴られたり、物を投げられたり
杖で階段の上から突き落とされそうになることは日常茶飯事です。
それでも、お年寄りの世話をやめるわけにはいきません。
今の政治は、特に福祉の仕事に携わるひとに充分な報酬が支払われない
システムになっています。
ものすごく安いお給料で、毎日毎日大勢のお年寄りの世話をしている人たちがいること。
そんな中で、誰もが天使のようにはなれないということを
ちょっとでも分かってもらえるとうれしいです。
世の中のシステムが、もっと福祉の分野に手当を厚くしてくれることを
願ってやみません。
Takくん、良い作文が書けたね!
Takくんの、おじいちゃんを見守る家族としての想いがとても伝わってきました。
kaedeさんはそんなTakくんの想いを受け止めつつ、介護の現場を知る立場から、まっすぐにTakくんに語りかけていますね。
深いやり取りが成立していると思いました。
こんなに真剣に向き合ってもらって、Takくん、よかったね。
介護に携わる人の心の声
どちらも心の底の声。
高齢化が急速に進む世界
みなで考え対応していかないといけないよね。
Takくんの声はきっとおじいちゃんに届いているよ
優しさと思いやりは言葉さえ要らないモンなんだよ。
私はTakくんのおじいちゃんに比べるとまだ若いのですが
多分Takくんより早く空に昇る。
その時は、Takくんのおじいちゃんを見つけて
『良いお孫さんで、幸せですね』って伝えます。
感動を伝えられるアーティストに成長してください。
誕生日 おめでとう
すばらしい御子息と
すばらしいお友達&お仲間に恵まれて
ほんとうにハッピーな
TAKAMIさんだなぁとおもいます
Takくんの作文と
みなさまのコメントで
胸いっぱいです
レスが遅くなってすみません。
政府がもっと介護師さんにじゅうぶんな報酬を支払うべきだと思いました。
本当にむずかしい問題だと思いました。
ぼくは消費税率の引き上げは、そういうことのために使われるべきだと思いました。
kaedeさんも、お仕事、大変だけどがんばってください。
ありがとうございます。
おじいちゃんにぼくの声が伝わったと言ってくれて、うれしいです。
田舎さん、天国でおじいちゃんを探し出してくださいね。
ありがとう。ホントにTakは、たくさんの人たちに応援してもらって育っていると思います。
遠く離れた東京の人たちからも、今でも応援してもらっていて、感謝してます。
本当に東京にいきたいな~~
毎年今年こそはと思っているんだけど、経済的事情がなかなか許さず、、、
また東京のみなさんにTakともども再会したいなあ…
♪おゆき
おゆきを含め、私の周囲には、福祉系の仕事に携わる方、ヘルパーの資格をここ数年の間に取った方、
ご両親や、ご家族の介護に携わっている方…などなど、ものすごく多いです。
それだけ、「介護」ということ自体が、大きな問題になってきているといことだよね。
私が議員会館勤務をしていた頃、「福祉」という分野は、なんだかすごく優先順位が低い印象でした。
あれから10年、たったの10年でも、事情は大きく変わってきたような気がするわ。
おゆきも、これからいよいよ就活本番! 大変と思うけど、がんばってね。
♪cosmosさん
お祝辞ありがとうございます。
覚えていてくださって、とっても嬉しいです♪♪
地味にお誕生日を過ごしました。
Takが、キャンプから帰ってきて、開口一番、「おかーさんお誕生日おめでとう」と言ってくれました。
それで十分(*^_^*)
ほんとにハッピーです♪♪