昨日、最後に村上春樹のことを書いたが、もう一人彼
が推していた作家がいたことを思い出した。
ジョン.アーヴィング。
そう言えば、小説家志望の男もジョン.アーヴィング
を推していた。
結局、全部村上春樹の受けうりだったんだ、今から考
えると。
本は「熊を放つ」しか読んだことないが、彼の原作の
映画は何本か観た。
結構映画化されているのだ。
知る限りでは、レイモンド.カーヴァーより多いので
はないか(この部分確信無し)。
「ガープの世界」「ホテルニューハンプシャー」「サ
イダーハウスルール」などが、それ。
レイモンド.カーヴァーが、ありふれた日常の中に、
人生の大事なもの発見した作家だとしたら、アーヴィ
ングは、全く逆と言うか、次元が違うと言った方が良
いか、物語の突拍子の無い展開そのものに焦点を当て
た作家だ。
心理描写とか、そういうものより、ドライでブラック
な、悲劇が喜劇であるかのような世界、登場人物も少
々奇妙で、どこか非現実的。
つまり、非現実的なのだが物語的には面白いもの、そ
れがアーヴィングの世界だ。
この点で、レイモンド.カーヴァーとは対照的なので
はないだろうか(飽くまでも物語という視点で捉えて
の比較で、小説としての話ではない)。
だから、映画にもなりやすかったのではないか。
注)
と、もっともらしく比較したが、「大体そんな感じだ」
程度のことなので、細部に突っ込まれても困るので、
ここはさらっと流してもらいたい(一応予防線を)。
実際三つの映画は、どれもそこそこ面白い。
原作の味が生きているのだろう。
テンポがよいというのは、映画の面白さの一要素だか
ら、この点でもアーヴィングは映画的なのだろうと思
う。
それより改めて考えると、村上春樹の小説って、レイ
モンド.カーヴァーとジョン.アーヴィングを足して
二で割ったようなものではないか。
これって、本人にとっては全然嬉しくないことだろう
けど。