ジョン.アーヴィング原作の映画では、この「サイダー
ハウス.ルール」が一番普通と言うか、オーソドックス
な話と言うか、見やすいのではないか。
他の「ガープの世界」「ホテル.ニューハンプシャー」
のように、変な人もあまり出てこないし、突拍子の無
い展開もそれほどなく(まあ現実的な範囲)、付いて
いけないということは無いと思う。
それになにより、全体的にはハートウォーミングなお
話となっている。
勿論、部分的にはアーヴィング的なものはある。
一歩間違えれば、深刻な、近親相姦による殺人とか不
正医療とか。
しかし、全体では飽くまでもハートウォーミング。
これは、この作品を撮った監督の資質も関係あるかも
しれない。
ラッセ.ハルストレム(今までハルストルムとばかり
思っていた、どっちにしても覚えにくい名前だ)。
他の作品を見てみるとよく分かる。
少年少女の瑞々しい世界を描いた「マイライフ.アズ.
ア.ドッグ」。
ジョニー.デップの、ジャンゴ.ラインハルトを思わ
せるジプシー役が印象的な「ショコラ」。
後、「ギルバート.グレイプ」なんてものもある。
どれもハートウォーミングな作品ばかりだ。
そして、この「サイダーハウス.ルール」。
主演はトビー.マグワイア。
その後、「スパイダーマン」でブレイク(プチ?)し
た。
共演に、シャーリーズ.セロン(彼女の映画ではこれ
が一番)、マイケル.ケイン(渋い脇役、ジェームズ.
コバーンとどっちが知名度があるか知りたいところ)。
でも、ちょっと地味か。
この辺は、「ハリウッド製スター映画」とは一線を画
す意図があったのかもしれない。
いずれにしろ、秋の夜長にしみじみ見るには最適な、
アーヴィングでは珍しい、ラッセ.ハルストレム:ハー
トウォーミング系映画の代表作ではないだろうか。