FMから、聴いたことのあるメロディーが流れてきた。
紛れも無くピンクフロイドの「原子心母」だ。
しかも、30分近くのこの曲を、結局最後まで放送す
るという快挙、というか暴挙。
原題が「Atom Heart Mother」。
つまり、原子心母。
そのまんまの邦題もすごいが、このアルバムは、当時
としては画期的だった。
「プログレッシブロック」の幕開け的なアルバムだっ
たのではないだろうか。
B面が一曲だけで、しかも組曲のような30分近くな
んてことは、考えられなかったのだ。
当然、新しがりのロックファンは飛びつき、アルバム
はヒットした。
しかし、一体このアルバムを買った人のどれほどが、
実際良いと思ったかは、かなり疑わしい。
ポーズが多かったから、あの時代は。
そんな自分も、発売当時はまだビートルズ一辺倒だっ
たので、これが良いとは正直思わなかった。
その後、プログレにどっぷりはまるとは、その時点で
は想像だに出来なかった。
そんなピンクフロイドの「原子心母」と同時期に、も
う一つのプログレの雄、キングクリムゾンの「宮殿」
が発売された。
このアルバムも衝撃的だった。
なんせ、ビートルズの「アビーロード」を売り上げで
抜いたのだから。
これは、ピンクフロイド以上に、何故あれほど売れた
のかが不思議だ。
そういう時代だったのだろうか。
個人的には、長いビートルズ時代の後、一気にプログ
レに行くわけだが、当時は同じプログレでも二派に分
かれていた。
ピンクフロイド派とキングクリムゾン派に。
私は、結局キングクリムゾン派になっていた。
内心では「こちらの方が本格派だ」などと思いつつ、
中古レコード屋を物色していた。
うーん、懐かしい。
いかんいかん、これでは単なる「懐かしオヤジ」の思
いで話ではないか。