「美の壺」と言うテレビ番組で、襖絵の制作風景を流
していた。
金箔を、ランダムに散らす手法で、江戸時代からの伝
統的なものだという。
金箔も全体に散らすわけではなく、上半分以上は余白
と言う所謂日本的な「余白の美」を感じさせる仕上が
りのもので、普段の生活の中に美を取り込むという、
嘗ての日本人がそうだったと言われている、美意識と
寄り添う生活様式を充分に感じさせる、襖絵であった。
当時の浮世絵なんか見ても感じるが、デザインセンス
のモダンさ。
幾何学模様など、今でも全然古びてない。
江戸時代だけ、例外的にセンスが開花したのか、と思
えるような特異な豊かさを感じる。
今現在、それらが生きているのかと疑問に思うから、
その特異さが余計に際立つ。
たとえば今回の襖絵を見たときは、これは「ジャクソ
ンポロック」だなと思った。
絵の具を滴り散したり、ランダムに塗る手法は、正に
金箔を散らすそれだった。
仕上がりも、似ている。
コンテンポラリーアートを先取りしていた襖絵。
日本の美を知らな過ぎることを今回も感じた。
それにしても、200年以上前にすでにコンテンポラ
リーアートが日本にあったとは。
幾何学模様は「モンドリアン」を先取りだし、伝統の
中に先鋭性が潜む、「日本的美」の世界は、是非とも
誰かさんの「美しい日本」に登録してもらいたいもの
だと、つくづく思った。