この前、久しぶりに最近の日本映画を見たと「カミュ
なんか知らない」を取り上げたが、考えてみたら他に
もあった。
何故、記憶からすっぽり抜けたかというと、殆ど印象
に残っていなかったからだ。
その映画は「男たちの大和」と「ローレライ」という、
何ともどう表現すれば良いのか、といった類の作品だ。
それにも拘らず見たのは、一応戦争映画だったからだ。
「父親達の星条旗」「硫黄島からの手紙」と、去年の
暮れから戦争付いていて、最近の日本映画ではどう描
かれているのかという興味がわき見る気になったのだ。
どうせ、勇ましく美しくドラマ仕立ての美化した映画
だろうと、思いっきり先入観を持ってみたのは言うま
でも無い。
「人間魚雷回天」とか「ああ予科練」と戦後間もなく
は、自分を犠牲にして死んでいった兵士を鎮魂する気
分が強かったのだろう、彼らを主人公にした人間ドラ
マ的戦争映画が多かった。
つまり、太平洋戦争そのものの実態を描こうなどとい
う、客観的視点を持つほどの余裕はまだ無かったのだ。
暫くすると、極端な徹底批判や、賛美とどちらかに偏
ったと思われる戦争映画が作られるようになり、なか
なかバランスの取れた、しかも映画として成立ってい
るというものは見つけられなかった。
アメリカでも同じようなもので、いまだに「ウィンド
トーカー」とか「パールハーバー」とかに見られるよ
うに、太平洋戦争ものではひどいものが多い。
嘗ての三船敏郎リーマーヴィンの「太平洋の地獄」の
ような、ちゃんとできている作品が全く生きてない状
況だ。
そんな中で、やっとまともなのがイーストウッドによ
って作られたのだが、それは同時に、日本で何故作れ
なかったのか、という不満を感じさせる出来事でもあ
った。
前置きが長くなったが、そんな状況での先に挙げた映
画、どうだったかというと、思ったほど賛美は感じな
かったが、それ以前に映画として全く面白さを感じな
いというか、作った動機を知りたい、とまあ戦争映画
として価値を見つけられない、はっきり言って制作費
がもったいないな、というものだった。
これだったら「ムルデカ」という、インドネシア独立
運動に加担した旧日本兵の話のほうが、歴史的な事実
を知る上でも価値があったし、お金はそれ程かかって
ないが「男たちの大和」よりは戦争映画として見られ
た。
日本の戦争映画、ちょっとレベル低すぎではないか。