カフェのT君が、ブルーチーズがほしいというので、
インターネットで注文することにした。
こちらの「オッソーイラティ」も残り少なくなってき
たので丁度良いタイミングだった。
「フェルミエ」というチーズ専門店なのだが、ここは
今でこそ途絶えているが、嘗て(十七八年前)チーズ
に凝っている頃、散々お世話になったところだ。
当時は、インターネットなどあるはずも無く、当然電
話注文でのやりとりだ。
チーズ専門店の草分け的店で、随分知らないチーズを
試させてもらった。
直接店にも行ったこともあったし、これも当時はまだ
それ程有名ではなかった「ポワラーヌ」の「パンドカ
ンパーニュ」などもそこから購入した。
確か、一個5千円近くだったのではないか。
今から思うとちょっとした暴挙だ。
パン一つに5千円。
考えられない。
その後、パリの「ポワラーヌ」の店の映像などを見る
機会があり、一体現地ではいくらで売ってるのだろうか
と興味津々で確認してみると、日本円で800円くらい
だった。
まあ、世の中そういうものだ。
旨かったから良いだろうの世界だ。
そして今回、かなり久しぶりに注文したわけだ。
インターネットショッピングは、矢張り手軽で便利だ。
ブルーチーズをまだ知らないであろうT君には、基本的
なブルーチーズの「ブルードーヴェルニュ」を買うこと
にした。
青カビの香りが鮮烈なのは「ロックフォール」だと思う
が、ちょっとしょっぱいのと、値段も高い。
個人的にも「ブルードーヴェルニュ」辺りが好きだし、
良いのではないかと思ったのだ。
それと、「パルメザン」がほしいというので、「パルミ
ジャーノレジャーノ」も頼んだ。
自分用には、「ガローチャ」というスペインの山羊チー
ズと「トムドサヴォア」を買った。
「トムドサヴォア」は、フランスサヴォア地方の牛のハ
ードタイプのチーズで、生食牛ハードタイプチーズの中
では唯一好きなものだ。
トム独特の香り味が好みなのだろう。
他のハードタイプにはない個性が好きだから「トムドサ
ヴォア」ということになるのだが、本当好みというのは
微妙なもので、他の味には寛容鈍感でも、ある味に関し
てだけはいやに敏感となり、他人には説得力を持たない
個人的世界がそこで展開される。
微妙な味の探求。
味に限らず、好きな世界というのは「僅かな差異」を楽
しめるか楽しめないかということだから、無いよりあっ
たほうが面白いにきまっている。
他人から見ればどうでも良いことでも、自分が楽しけれ
ば良い、それが全てなのだ。