ピカビア通信

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戦争映画

2011年10月04日 | 映画

 

子供頃は単純な戦争映画が好きだった。その戦争映画が今はどうなってるかと考えると、戦争の形態の変化に伴ってその内容も変わってきているように思う。今は、昔のように単純に戦争映画と呼べないものが多くなってきている。だから、戦争映画というジャンルそのものも成り立ちにくい状況にあるのではないか。嘗ては、第二次大戦を、日本或いはドイツを悪者にして描けばよかった。基本的な構造は西部劇。しかしベトナム戦争の頃からそれも徐々に変質してきた。単純に正義が悪をやっつけるでは済まなくなってきたのだ。当事者の苦悩、戦争の矛盾、戦争そのものの構造などをテーマにしたものが圧倒的に多くなってきた。

と、そんな中で観たのが「太平洋の奇跡−フォックスと呼ばれた男」という最近の日本映画。サイパンを舞台に、玉砕せずに島民を守りながら最後まで戦い生き残った兵士達と島民の物語である。その巧みな戦術家ぶりでアメリカ兵からFoxと呼ばれた、隊長である大場大尉が主人公。実話を基にしている。なのだが、思うのは、今更何を描きたいのかということである。日本軍の中にも立派な兵士がいたということなのか、自虐史観ばかりで自信喪失の日本人に勇気を与えたいのか、いずれにしろ大尉を中心にして人間大場を描きたかったのだろうことは想像できる。でそういう視点で見てみると、これがまた何とも中途半端で、大して魅力的にもなっていない。兵隊やくざのような唐沢寿明のほうが遥かに魅力的だった。類型的といえば類型的であるが。

実話を基にした場合、嘘っぽさはなるべく無いほうがいいのだが、緊迫した状況にも拘らず何を牧歌的な、と思うような場面が多数あるのは仕方ないのか、今の日本映画では。ゆるすぎる描写に、散漫なショット、なかなか見応えのある戦争映画というのは出てこない。この前観たアルドリッチの「燃える戦場」の、最後は呆気なく殺される高倉健の方が遥かに印象的な兵士だったのはどういうことか。これは、役者の違いばかりではない。


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