今、地方中心に、密かに増殖しつつある飲食店に現地系というものがある。それは、インド系と中国系の二つ。意味は、ずばり、現地の人間が経営調理サービスをしている店ということである。具体的には、カレー屋と中華料理屋ということになる。これら二つの出店方式は大体共通していて、多くが潰れたり廃業したりした郊外店を居抜きで使っている。インド系中国系、どちらも商売に関しては日本人より民族的にも抜け目がない。基本的に内装には金をかけないので、インド系であれば、民族風の織物を壁に飾りBGMにシタールや「踊るマハラジャ」の歌謡曲のようなものをかけるだけ。中国系は更に簡素だ。紹興酒のポスターがあるくらいで、後は殺風景とも言える社員食堂風の内装である。但し、メニュー数はめちゃくちゃ多く、それらの札がべたべた貼ってありインテリアの一部になっていると言えなくもない。よく、中国国内の食堂風景などを見ると、現地の人間が普段行くような店は、本当に質素と言うか飾り気のない殺風景な所が多いが、どうやら店の外観内装が店の魅力という感覚はないようである。
と、前置きが長くなったがここからが本題。過去インド系は結構行ったが中国系というのはあまり行ったことがなかった。中華料理そのものが特別好きなものでもないし、唯一餃子があるが、あれも日本風のものが好きなのでわざわざ入ることもなかった。しかし今回は、何故かふとそんな気になり入ってみたのだ。そこは以前くるくる寿司のあった店舗だ。かなり殺風景である。入ると見るからに中国人の店員さんが、ぺらぺらな日本語で対応する。節電のための照明が、殺風景さを更に後押し。広い店舗だが、従業員は二人だけ。あまり繁盛しているようには見えない。品数が多過ぎ、結果メニュー表が見づらい。結局頼んだものは、えびチャーハンと餃子というあまりにありきたりな物。但し、餃子はセロリ餃子という、向こうではよくあるもの(と勝手に想像したがどうなんでしょう?)にした。外担当の中国人も厨房も兼ね、思ったよりは早く出てきた。この辺りは手練を感じさせる。えびチャーハンはレタス入りで、ちょっと現地も感じさせる(これも想像)。一口食べると、美味いではなく旨過ぎる。つまり味が濃く、旨み調味料たっぷりの味なのだ。スナック菓子大好きな人間だったら大喜びの味である。中華もそうだが、東南アジアの多くは旨み調味料たっぷり味なのでどうしても遠慮したくなるのだ。餃子のほうは、セロリの効いた叩いた肉を使う本格派で(焼きというところが日本風だが)、食べると肉汁がジュワッと出るもので、決して不味くはなかった。
というわけで、現地系中華料理屋体験は終了。次があるかどうかは何とも言えない。