セルジオ越後も言っていたが、香川はどうも切れがない。反応も今一遅いし、疲れがたまってるのだろうか。
たまにBSの「週刊ブックレビュー」という番組を見ることがある。三人のゲストがお奨め本を紹介するという内容で、それぞれ三冊持ち寄り、そのうち一冊は全員で合評するという番組だ。見てても、実際買って読むわけではないが、ゲストがどんな本を奨めるのかには興味がある。読む本で、その本人がどういう価値観の持ち主なのかとかある程度想像できるのが楽しいのだ。今回の一人は「長塚圭史」。彼の用意した合評用の本は、蓮實 重彦、黒沢清、青山真治著、「映画長話」と言う本だった。彼らには、立教での先生と生徒という師弟関係がある。勿論今は、批評家、監督というそれぞれの立場があるわけだが、良い映画はどういうものかというイメージは共有している。個人的にも、何だかんだ言っても一番参考になるのは蓮實 重彦なので、この本には興味を持った。
可笑しかったのは、残り二人のゲストの反応。一人は歌謡曲の作詞(作曲?)の人。どう見ても蓮實 重彦には縁がなさそうな人だ。案の定、彼が良いと思ってるような映画の話は出てこず、内容に関してはさっぱりだったようだが、自分にはない視点を提供してくれたと大人な感想を述べていた。もう一人のゲストは女優の竹下景子。彼女に至っては本そのものを読んでいなかった。本の内容が、本人が知ってる映画の世界とは違うようで、読む気が起こらなかったのか興味を持てなかったのか知らないが、兎に角読まなかった(読めなかった)らしい。確かに、世の中を見渡しても、蓮實 重彦に興味のない人間は圧倒的多数であるし、映画に興味がある人間でも、彼が取り上げる映画に興味があるのはほんの一パーセントもいるかどうかだ。
ネット上には、映画ブログと言うのも五万とある。その多くは素朴な印象を綴っただけで何も引っかからないが害もないというもの。しかし中には読んでて気持ち悪いものがある。どういうのかと言うと、蓮實エピゴーネンブログだ。文体を真似、無理やり大袈裟な、或いは難しい表現をしたがり、結局何を言いたいのか分からない文章を、本人だけが得意げに書くブログだ。絶対読みたくないが、たまに、個々の映画で検索して引っかかるときがある。そういう時は、地雷を踏んだ気分である。自分のブログでも映画を取り上げるが、良いと思ったところを文章化するのは本当に難しい。唯、蓮實エピゴーネンだけにはならないよう気を付けている。