経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

企業業績は 3 : 3 : 4

2020-11-20 07:37:13 | 利益
◇ 3月期の予想は34%減益 = 上場企業の3月期決算予想が、ほぼ出そろった。日経新聞が発表を終えた1673社を集計したところ、来年3月期の純利益は全体で34%の減益になる見通し。自動車や電機を中心に製造業では業績を改善した企業も多く、全体の32%が見通しを上方修正したという。その一方、交通や娯楽など非製造業には、業績の悪化に苦しんでいる企業が多い。

新型コロナ・ウイルスの流行で、多くの企業が苦しんでいる。だが、そうしたなかにあっても、コロナが追い風となっている企業も少なくない。IT関連や、“巣ごもり”で需要を伸ばしている企業だ。こうした、いわば「コロナ順風型企業」が、全体の約3割弱。あとの7割が「コロナ逆風型企業」となる。このなかで規制緩和によって、業績を上方修正した企業が約3割。いぜんとして改善しない企業は残りの約4割というのが現状だ。つまり3対3対4の比率になっている。

34%の減益見通しにもかかわらず、株価は大きく上昇した。コロナが蔓延すると「コロナ順風型」が買われる。規制が緩和されると、こんどは「コロナ逆風型」の株価が上昇する。特にワクチンの実用化が近いというニュースが伝わると、「逆風型」の株価が大きく上昇した。つまり株価はコロナ禍が強まっても弱まっても、上がり続けたことになる。

こうしてダウ平均は、ついに史上最高値を更新。3万ドルの一歩前まで高騰した。日経平均も29年ぶりの高値水準を回復した。その原動力は、言うまでもなく未曽有のカネ余りに求められる。ただ現状は、コロナのパンデミック(世界的大流行)が再び進行中。これまでの「3;3;4体制」が続き、株価は上昇を続けるのか。試される場面に、さしかかった。

       ≪19日の日経平均 = 下げ -93.80円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

企業の業績は 回復するのか (下)

2020-08-20 08:13:48 | 利益
◇ コロナ第2波が意味するもの = これまでに決算を発表した企業のうち、約35%の企業は3月期の通期見通しを「未定」としている。コロナの状態が見通せないから、自社の経営がどうなるかも予測できないというわけだ。たしかに第1波を超えるような大波が、これから襲ってこないという保証はない。すでに全国の感染者数は第1波のときを上回っており、重症者や死亡者もじわじわと増えてきた。

仮に第1波と同じような第2波がやってきたら、どうなるのだろう。政府や医療関係者は「第1波のときよりも、病室の整備や治療技術が向上した」と解説する。しかし企業経営という面からみると、第2波の襲来を「第1波の繰り返し」と考えることは出来ない。第1波で大きく疲弊した体力で、再び戦わなければならないからである。

小売り業や飲食業、宿泊業などは、再び休業しを余儀なくされるかもしれない。さらに一部の大企業も、窮地に陥るだろう。たとえば航空業や鉄道業。4-6月期の決算をみると、ANAは1088億円、JALは937億円の赤字。JR東日本の1553億円を筆頭に鉄道各社もすべて大赤字を計上している。いまは借り入れや社債の発行で食いつないでいるが、第2波が来たら持ちこたえられるかどうか。

政府も再び緊急事態宣言を発令すれば、また各種の補償金を支出しなければならない。それだけでなく、航空会社や鉄道会社への支援も迫られるだろう。このように経済の面からみれば、コロナの第1波と第2波は、全くその重みが異なってくる。最近の政府高官の言動をみていると、こうした認識には欠けているように思われる。危ない!

       ≪19日の日経平均 = 上げ +59.53円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

企業の業績は 回復するのか (上)

2020-08-19 07:35:11 | 利益
◇ 4-6月期は57%の記録的な減益に = 企業の4-6月期決算発表が、ほぼ出揃った。日経新聞の集計によると、金融を除く全産業の売上高は前年比18%の減少。純利益は57%という記録的な減益となっている。コロナ対策として4-5月に実施された緊急事態宣言の結果が、ここに如実に表われた。コロナによって業績を上げた企業もあるが、大半の企業は荒波をかぶって苦戦している。

多くの企業は、21年3月期の通年見通しも発表した。全産業の純利益は30%の減益になる見通し。この利益水準は、これまでのピークだった18年3月期の約半分になるという。減収減益になる企業が、全体の約5割を占める。赤字企業は約3割、増収増益になる企業は約2割という構成だ。

ただ純利益の見通しをみると、4-9月期は54%の減益、10-3月期は19%の増益となっている。全体としてみれば、企業の業績が7-9月期に急回復することは間違いない。緊急事態宣言が解除され、経済活動が再開されたからだ。したがって4-9月期の純利益が54%減益にまで改善される見込みは十分にある。しかし10月以降は増益基調に戻るという見方は、むしろ期待に近い見通しではないか。

コロナの感染者は6月以降、増加する傾向にある。8月に入ると、死亡者数も増えてきた。すでに東京、大阪、沖縄など、9つの都府県が、店舗の休業や営業時間の短縮を要請している。状況から判断すると、事態は悪化しつつあるようだ。10月以降は事態が改善され、経済活動がもっと自由になる可能性は決して大きくない。残念ながら、企業の業績が増益基調に戻るという展望は暗い。

                              (続きは明日)

       ≪18日の日経平均 = 下げ -45.67円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫     

企業業績は 濃い霧のなか

2020-02-19 08:09:10 | 利益
◇ 3月期決算の予測は困難に = 企業の12月期決算発表は、いまピークを迎えている。市場は常に先を読みたがるから、最大の関心事は最終的に3月期の決算がどうなるかだ。ところが、ことしはそれが読めない。コロナ肺炎の影響がどこまで拡大するかが不明なため、大半の企業が1-3月期の業績を予測できなくなっているからだ。肺炎の蔓延が続けば続くほど、企業の業績は濃い霧のなかで悪化して行く。市場はそれを心配している。

日経新聞が10日までに12月期の決算発表を終えた1342社について集計したところ、3月期の純利益は前年比8.4%の減益となった。昨年11月時点の予測より、減益幅が1.6ポイント拡大している。製造業は22%の減益、非製造業もわずかな減益になる見通し。これまでのピークだった18年3月期に比べると、約13%低い水準だという。

それでも、この程度なら利益の水準はまだ高い。しかしトヨタをはじめ多くの企業が、今回は3月期の見通しを明らかにしていない。言うまでもなく、コロナ肺炎が経済に及ぼす悪影響を計測できないためである。その悪影響は、①インバウンドの縮小②中国経済の鈍化③サプライ・チェーンの崩壊④世界経済全体への影響――などに現われるが、現時点ではそのどれについても予測は不可能だ。

加えて日本国内での肺炎の流行も、大きな問題になってきた。近いうちに終息のメドが付けばいいが、長引けば長引くほど影響は拡大する。とにかく株価を形成する最大の要因は、企業の収益であることに間違いはない。その収益が落ち込めば、株価は下がらざるをえない。市場はこれからも、肺炎の動向を注視することになるだろう。

       ≪18日の日経平均 = 下げ -329.44円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

株主優待に走る 経営者たち (下)

2019-06-20 07:50:25 | 利益
◇ 自社株買いも急増中 = 日経新聞が上場企業を対象に集計したところ、18年度の自社株買いの総額は6兆0680億円にのぼった。前年度の3倍近くに達しており、日銀のETF(上場投資信託)購入額を上回っている。個別の企業をみると、NTTドコモが1兆1500億円で断トツ。次いでヤフーが2000億円だった。19年度の計画を集計しても、総額はすでに3兆4000億円に達している。

自社株買いというのは、文字通り企業が自分の発行した株式を市場から買い入れること。それだけ流通する株式数が減少し、1株当たりの価値が高まる。買い入れた株式を金庫株として保有するケースもあるが、消却する場合も多い。こうすると資本金が減少、ROE(自己資本利益率)が上がるから、株価の強い上昇要因になる。株主は喜ぶわけだ。

この10年間でみると、主要企業400社は471兆円を稼ぎ、そのうち91兆円を配当や自社株買いなどの株主還元に充てている。だが、それでも欧米の企業に比べると、まだまだ少ない。たとえばアメリカの主要500社はこの10年間に1300兆円を稼いだが、株主還元の総額はなんと1300兆円を超えている。

このように株主優待は増大する傾向にあり、それが株価を下支えしていることは間違いない。しかしアメリカでは最近、これに対する批判も高まってきた。特に民主党は「貧富の差を拡大する制度だ」と主張。株主優待を規制する法律の制定を呼びかけている。これが大統領選挙で、一つの争点になるかもしれない。日本では、まだ批判は聞かれないが・・・。

      ≪19日の日経平均 = 上げ +361.16円≫

      ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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