経済なんでも研究会

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怯える“6分の1”の確率 : フランス大統領選挙

2017-04-21 08:06:16 | EU
◇ 4候補の支持率がほぼ横一線 = フランスの大統領選挙は、第1回の投票が23日に実施される。有力候補は①国民戦線のルペン党首②無所属のマクロン前経済相③共和党のフィヨン元首相④左翼党のメランション氏の4人に絞られた。ところが、この4候補の支持率は全く伯仲。たとえばル・モンド紙の最新調査では、ルペン氏とマクロン氏がともに22%、メランション氏が20%、フィヨン氏が19%といったぐあい。

問題は4氏が掲げる政策綱領だ。まずルペン氏は反EU、イスラムや移民の排除を公約している。次にメランション氏もEUには批判的、移民の受け入れにも厳しい。これに対してマクロン氏はEU支持派、移民に対しても寛容だ。フィヨン氏もこれに近い。つまりルペン氏あるいはメランション氏が大統領になると、フランスのEU離脱が現実性を増すことになる。

現状では23日の第1回投票で、過半数がとれそうな候補はいない。すると上位2候補の間で、5月7日に決選投票が行われる。現地の分析によると、仮にルペン氏とマクロン氏の決選投票になった場合は、反ルペン氏の票が集結してマクロン氏が勝つ見込みだという。それならEU離脱の心配もなくなるわけだが、実際にはそうもいかない。

仮に4候補の支持率が全く同じだとすると、第1回投票でルペン氏とメランション氏が選ばれる確率は6分の1。そうなると決選投票でどちらが勝っても、EU離脱の危険性が出てくる。それを嫌気して、すでにフランス国債は売られ始めた。そういう意味では、5月の決選投票よりも23日の第1回投票が重要。専門家はそうみている。

      ≪20日の日経平均 = 下げ -1.71円≫

      ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ


脱イギリス? 迷う日本企業 (下)

2017-04-06 08:09:55 | EU
◇ 暗闇で手さぐりする進出企業 = イギリスには、いま約1000社の日本企業が進出している。日産や日立などの製造業は、古くから現地生産に乗り出していた。三菱UFJなど多くの金融機関は、ロンドンのシティに大きな事務所を構えている。いずれもヨーロッパを統括する本部の色彩が濃い。だが19年春にイギリスがEUから離脱すると、本部の機能は果たしにくくなる。

ドイツやフランスなどEU加盟諸国に対するモノの輸出には、関税がかけられる。ロンドンで取得した金融業の営業免許は、EU域内では通用しなくなってしまう。社員を出張させるにも、EU各国のビザが必要になるかもしれない。こうした事態に直面した日本企業は、みなフランクフルトやパリ、あるいはアムステルダムやブラッセルなどEU側への機能移転を考え始めた。

だが最終的な決断は、なかなか下せない。たとえば新しい貿易協定が出来たとき、EU側の輸入関税は何パーセントになるのか。シングル・パスポートと呼ばれる金融免許の普遍性は、ほんとうに消滅してしまうのか。貿易協定の締結が遅れた場合、どんな暫定協定が結ばれるのか。イギリス政府が残留を促すため、画期的な優遇策を出すかもしれない。こうした点が不明なので、経営者も決断し切れずにいる。

仮にヨーロッパ本部をイギリスから大陸側に移すとなると、大企業の場合は1年程度の準備期間が必要だと考えられる。だとすれば、経営者はイギリスとEUの交渉を睨みながら、18年春には決断しなければならない。このことは日本企業だけではなく、アメリカや中国の企業にも当てはまる課題だ。こうした外国企業の脱イギリスが本格化すれば、イギリスのEUに対する交渉力は弱くなるに違いない。イギリスの命運を左右する最大の問題になってくる。

      ≪5日の日経平均 = 上げ +51.02円≫

      ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ


脱イギリス? 迷う日本企業 (上)

2017-04-05 07:48:15 | EU
◇ 複雑・困難な離脱交渉が始まる = イギリス政府は3月29日、EUに対して「完全に離脱する」と正式に通告した。これによりイギリスは2年後の19年春、完全な形でEUを離脱することが確定した。間もなく離脱に伴う広範な問題の処理と、離脱後の新たな貿易協定をめぐる複雑で困難な交渉が始まる。だが、その行く末はいまのところ全く見通せない。

EUはその基本理念に「ヒト、モノ、サービス、カネの自由な移動」を掲げている。イギリスは国民投票で移民の流入を規制することになったが、これはEUの「ヒトの自由な移動」に違反する。このためイギリスはEUを脱退することになった。だが脱退すれば「モノ、サービス、カネの自由な移動」も失う。モノの輸出入には関税がかかるし、金融の自由な活動もEU内では出来なくなる。

イギリスのメイ首相は、交渉で「モノ、サービス、カネ」の自由度をなるべく多く獲得したい考え。だがドイツのメルケル首相は「いいとこどりは許さない」と、早くも女性首相同士の火花が。EU側としては、イギリスに甘い姿勢を示せば他の加盟国からも離脱を望む声が上がるかもしれない。だから強硬な姿勢は崩せないわけだ。

交渉は難航が必至だとみられている。それに時間がかかる。離脱に伴う問題だけでも、EUに住むイギリス人とイギリスで働くEU諸国民の待遇。企業の処遇。税制から各種の免許など、数限りない。さらに新しいFTA(自由貿易協定)がまとまるまでには、何年かかるか判らない。協定が出来なくても19年春には離脱しなければならないが、そのときには何らかの暫定協定が結べるのか。いまは判らないことばかりである。

                                   (続きは明日)

      ≪4日の日経平均 = 下げ -172.98円≫

      ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


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