経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

底入れはしたけれど : 6月の輸出

2020-07-22 08:22:47 | 貿易
◇ V字型の回復は望めない = 財務省は20日、6月の貿易統計を発表した。それによると、輸出は4兆8600億円で前年比26.2%の減少。5月の28.3%減少よりは、やや改善した。一方、輸入は5兆1300億円で14.4%の減少だった。その結果、貿易収支は2700億円の赤字となっている。各国の経済再生で輸出の減少率はやや縮小し、底入れはしたものの、今後の回復力はきわめて弱々しい。

輸出を地域別にみると、中国向けは1兆2400億円で前年比0.2%の減少。3月の8.7%減少から、着実な改善ぶりを示している。EU向けは7200億円で28.4%の減少。またアメリカ向けは7200億円で46.6%の減少だった。このアメリカ向けも5月の50.6%減少よりは、やや改善している。ASEAN向けも6570億円で、35.1%の減少と振るわない。

輸出を商品別にみると、自動車は5100億円で49.9%の減少。一般機械は1兆円で24.5%の減少、電気機械も9000億円で18.5%の減少だった。ずっと見渡しても、前年に比べて増加したのは医薬品、非鉄金属、船舶ぐらいなもの。世界的なコロナ不況の影響は、まだまだ日本の輸出に暗い影を落としている。

今後の見通しは、各国の経済再生しだいということになるだろう。その観点からすると、中国向けの輸出は来月にも前年比プラスになりそうだ。またEU向けも、減少率が縮小する可能性は大きい。しかし最大の輸出先であるアメリカ向けの回復には、かなりの時間がかかるだろう。したがって今後の輸出は、全体として非常にゆっくりした回復になると予想される。

       ≪21日の日経平均 = 上げ +166.74円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

全地域向けで減少 : 3月の輸出

2020-04-22 07:55:54 | 貿易
◇ 自動車と一般機械は2ケタの減少 = 財務省が20日発表した3月の貿易統計によると、輸出は6兆3579億円で前年比11.7%の減少。一方、輸入は6兆3529億円で5.0%の減少だった。この結果、貿易収支はわずか49億円の黒字となっている。この黒字額は前年同月の1%に過ぎない。新型コロナ肺炎の影響が貿易面にもはっきり表われてきたわけで、4月以降はさらに貿易の縮小が進む見通し。

輸出を地域別にみると、アメリカ向けは1兆1821億円で16.5%の減少。アジア向けは3兆4530億円で9.4%の減少。うち中国向けは1兆1906億円で8.7%の減少だった。またEU向けも6337億円で11.1%の減少となっている。このように全地域に対する輸出が減少したが、最初にコロナ肺炎を発症した中国向けの減少率は予想より小さかった。

輸出を商品別にみると、自動車が9584億円で13.1%の減少。一般機械が1兆2640億円で17.9%の減少。電気機械は1兆1338億円で3.5%の減少にとどまった。鉄鋼は数量ベースで26.4%の増加だったが、金額ベースでは7.3%の伸び。中国の需要減退などで、価格が下落していることを示している。

輸出の低迷は、経済成長率の押し下げ要因となる。このため1-3月期のGDP成長率は、2ケタのマイナスに陥る公算が強い。さらに4月以降の輸出は、減少率が拡大する可能性が大きい。中国ではウイルスの蔓延はほぼ終息したようだが、アメリカやヨーロッパ主要国では、まだ勢いが収まらないからだ。おそらく4-6月期が、輸出の底となるだろう。

       ≪21日の日経平均 = 下げ -388.34円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

輸出 12か月連続で減少中!

2019-12-19 08:45:33 | 貿易
◇ 全地域向けで縮小している = 輸出の減少が際立ってきた。財務省が18日発表した11月の貿易統計によると、輸出は6兆3800億円で前年比7.9%の減少。輸入は6兆4600億円で15.7%の減少だった。この結果、貿易収支は821億円の赤字となっている。これで輸出は12か月連続の減少を記録した。世界経済の停滞を反映したものとはいえ、日本の輸出は異常な状態に陥っている。

輸出の状況を地域別にみると、ほとんど全地域向けで減少した。アメリカ向けは1兆2000億円で12.9%の減少。アジア向けは3兆6000億円で5.7%の減少。うち中国向けは1兆3100億円で5.4%の減少。EU向けは7000億円で6.1%の減少だった。全世界を見渡しても輸出が増加したのは台湾、カナダ、スイス、それに中東諸国ぐらいなもの。これも異常な現象だ。

この1年間、円の為替レートは小動きに終始した。したがって為替相場の影響は、そんなに大きくない。しかし11月の輸出をみると、数量で5.0%、価格で3.1%減っている。やはり相手先の景気が鈍化し、値引きをしても売りにくくなっていることを示しているようだ。特に景気がいいとされるアメリカ向けが落ち込んできたことは、どう解釈するべきなのだろう。

かつての日本経済なら、これだけ輸出が減退すると景気はすぐに悪化した。しかし現在は製造業の比重が2割強に減っているから、景気はすぐには下降しない。しかし輸出の停滞が長く続けば、その影響はじわじわと現われてくる。すでに製造業の求人は低調になってきた。輸出はいつ回復に向かうのか。来年の焦点になってくる。

       ≪18日の日経平均 = 下げ -131.69円≫

       ≪19日の日経平均は? = 下げ≫

異常な 輸出の八方塞がり : 10月

2019-11-23 07:35:46 | 貿易
◇ 製造業の傷は予想以上に深い = 財務省が20日発表した10月の貿易統計によると、輸出は6兆5800億円で前年比9.2%の減少。輸入は6兆5600億円で14.3%の減少だった。この結果、貿易収支は173億円の黒字となっている。輸出額は11か月連続の減少で、減少率は3年ぶりの大きさだった。新聞各紙は「4か月ぶりに黒字転換」などと報じているが、内容を精査すると輸出を巡る状況はきわめて深刻なことが判る。

というのも輸出先をみると、ほぼすべての地域に対する輸出額が減少したこと。まずアジア向けの輸出は3兆5000億円で、前年比11.2%の減少。このうち中国向けは10.3%、韓国向けは23.1%の減少だった。このほか台湾を除いて、アジア各国向けの輸出は軒並み減少している。またアメリカ向けは11.4%、中南米向けは5.4%、さらにEU向けも6.3%減少した。

米中経済戦争の影響で、中国経済は減速中。また日韓関係は最悪の状態に陥っている。したがって中国向けと韓国向けの輸出が減退するのは、当然かもしれない。しかしアメリカや東南アジア諸国、あるいはEU向けの輸出までが一斉に減少したのは、一種の異常事態と言えるのではないか。そこには世界同時不況の影も見えてくる。

ことし4-9月期、上場企業のうち製造業の純利益は31%も減少した。業界では10-3月期にはやや改善すると期待しているが、輸出がこんな状況だと改善は難しい。製造業の傷は、いま想定されている程度より深くなるのかもしれない。製造業が長期にわたって低迷すれば、やがて非製造業にも影が忍び寄る。今後の輸出動向には、細心の注意を払う必要がありそうだ。

       ≪22日の日経平均 = 上げ +74.30円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   

不気味な 日米貿易交渉 (上)

2019-07-24 07:04:06 | 貿易
◇ 参院選の結果を喜べない経済界 = 参院選では自民・公明の与党が圧勝。しかし憲法改正の国会発議ができる数には届かなかった。政治の安定性が保たれる一方で、改憲に伴うゴタゴタは回避された。経済界にとっては、最も望ましい結果に終わったと言えるだろう。だが市場には“ご祝儀相場”の雰囲気はなく、月曜日の日経平均は下落した。選挙後に出現するはずの難題に、身構えざるをえなかったからである。

中国経済の成長鈍化によって、世界経済全体にも暗雲が広がってきた。日本でも輸出が減り、生産が落ち込んできている。そこへ消費税の引き上げ。景気の先行きは大丈夫なのか。そんな心配が強まっているところに、選挙が終わると日米貿易交渉が表舞台に登場する。いよいよ、という感じだ。

本格的な日米間の交渉は、参院選が終わるまで棚上げされてきた。トランプ大統領が、参院選で「与党の不利にならない」よう配慮してくれたからだ。裏を返せば、これからは「与党の不利になるような」要求を突きつけるぞ、というようにも受け取れる。これまでの下交渉で、アメリカ側は自動車と農畜産物の輸入増加、それに為替条項の導入を強く要求してきた。

このうち農畜産物の輸入増加について、日本側は「TPP(環太平洋経済連携協定)で決めた水準が限度」と回答。アメリカ側は納得していない。選挙も終わったことだから「もっと譲歩せよ」というのが、トランプ氏の言い分だろう。こんどの選挙で自民党は東北地方の1人区で敗北したが、有権者たちが抱いたこの辺への疑念と関係があるのかもしれない。

                              (続きは明日)

       ≪23日の日経平均 = 上げ +204.09円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

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