経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

ユーロ圏にも 景気不安

2019-02-13 08:55:50 | ヨーロッパ
◇ 中国に続いて成長率が大幅に鈍化 = EUの政策執行機関であるヨーロッパ委員会は先週、19年の経済見通しを大幅に下方修正して発表した。それによると、ユーロ圏の実質成長率は1.3%になる見込み。3か月前の予測は1.9%だった。見通しが悪化した主な原因は、中国向けの輸出が伸び悩んだことにある。したがって中国の成長鈍化が続けば、ユーロ圏の成長率がさらに低下する可能性は否定できない。

特にユーロ圏経済の牽引車となってきたドイツの調子が悪い。昨年7-9月期には3年半ぶりにマイナス成長に陥ったが、19年も成長率は1.1%にとどまる見込み。また財政不安に苦しむイタリアは0.2%成長の見通しで、事実上は景気後退入りだと考えられている。さらにイギリスはEU離脱問題で大揺れ、フランスも政治的な混乱で身動きが取れない。

EU側からみると、中国はアメリカに次いで2番目に大きい貿易相手。輸入に限ると、その金額はアメリカを上回っている。その中国が経済不振に陥ったため、自動車などの輸出に急ブレーキがかかったわけだ。逆にEUの経済が不調になると、中国のEU向け輸出にブレーキがかかる。中国経済の立ち直りも遅くなってしまう。

中国に続いて、ユーロ圏の経済も下向いてきた。これがアメリカや日本にも、悪影響を及ぼすことは避けられない。日本の場合、18年の輸出額は中国向けが15兆9000億円、アメリカ向けが15兆5000億円、EU向けが9兆2000億円となっている。このうち中国とEUの景気が悪化しているのだから、決して楽観はできない。

       ≪12日の日経平均 = 上げ +531.04円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

大揺れの ヨーロッパ

2018-12-07 08:07:24 | ヨーロッパ
◇ EUの4大国が火種かかえる = ①12月7日、ドイツ――与党であるCDU(キリスト教民主同盟)の党首選挙が行われる。重要な地方選挙で立て続けに大敗したため、メルケル党首が立候補を断念。党内のメルケル派1人と、反メルケル派2人の争いとなった。メルケル派が勝てば政策に大きな変更はないが、国民の政府批判は収まらない。反メルケル派なら、難民政策も変わるだろう。EUの執行部との間に、ミゾを生じる可能性が大きい。

②12月8日、フランス――マクロン大統領に反対する大規模デモが、再び予定されている。1日のデモでは4人の死者を出した。もともとは燃料税の引き上げに反対する抗議運動だったが、放火や略奪騒ぎも。それがマクロン退陣を要求する全国的な流れに発展している。政府は増税を20年に延期し、非常事態宣言まで検討しているが、終息までには時間がかかりそう。ドイツに続いて、フランスも“自国ファースト”で手いっぱいだ。

③12月10日、イタリア――ヨーロッパ委員会がEUの財務相理事会に、イタリアを財政規律違反で制裁するよう勧告する。イタリアのコンテ内閣が作成した来年度予算案を、EUが承認しなかった。減税などばらまき的な内容を修正して出し直すよう求めたが、イタリア政府はこれを拒否。制裁が実現すると、罰金や補助金が停止される。問題はイタリア国民の多くがコンテ首相の“反抗”を支持していること。下手をすると、EU離脱問題にも発展しかねない。

④12月11日、イギリス――議会でEU離脱協定の採決が行われる。メイ首相がEUとの間で取り決めた離脱協定案には、イギリス国内で反対論が強い。激変を緩和するため20年末までを移行期間とし、この間は現状と変わらない状態にする。これでは完全離脱にならないというのが、反対論の根拠だ。議会での採決では、否決の可能性が高い。もし否決されれば、ヨーロッパは大混乱に陥る。

       ≪6日の日経平均 = 下げ -417.71円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 

急減速した 経済成長率 / ユーロ圏

2018-11-07 07:27:24 | ヨーロッパ
◇ EUはまた受難の季節に = EU統計局の発表によると、ユーロ圏19か国の7-9月期の実質GDP成長率は年率0.6%にとどまった。前期は1.8%だったので、ちょうど3分の1に減速したことになる。四半期の成長率が1%を下回ったのは、4年ぶりのこと。過去5年半にわたってプラス成長を維持してきたが、10-12月期はマイナスに陥る可能性も出てきた。

このところユーロ圏には、内憂外患が重なった。外患はアメリカとの貿易交渉が長引き、トランプ大統領が自動車関税を発動する危険が増したこと。最大の輸出先である中国の経済不振。新興国の通貨下落など。また内憂はイギリスのEU離脱が難航、来年3月には無秩序のまま離脱する危険性が増大。イタリアが予算編成を巡ってEU本部と激しく対立。さらにEU最大の牽引車であるドイツが、メルケル首相の退陣表明で統率力を失ったこと・・・。

ECB(ヨーロッパ中央銀行)は、ことしの年末で量的金融緩和を終了。来年からは、中立ないしは引き締め気味の金融政策に移行する方針だ。しかし、こういう景気の状態では、金融緩和を終了しにくいのではないだろうか。すでに市場ではその予想が広がっており、ユーロ相場は下落している。このため円相場も、対ユーロでは上昇した。

世界経済の現状をみると、明らかに下降しているのは中国経済。大半の新興国も、自国の通貨防衛に悪戦苦闘している。一方、アメリカと日本はまだ好況を維持しているが、先行きはしだいに暗くなってきているのが実状。そこへユーロ圏の不振が加われば、全体の将来見通しは悪化せざるをえない。その意味では、ユーロ圏あるいはEU諸国の動きから目が離せない。

       ≪6日の日経平均 = 上げ +248.76円≫

       ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

スウェーデンよ お前もか

2018-09-13 06:52:50 | ヨーロッパ
◇ 移民反対の極右が第3党に = スウェーデンでは9日、総選挙が実施された。ロベーン首相の率いる社会民主労働党は12議席を減らしたが、かろうじて第1党を維持。野党の穏健党も14議席を失った。こうしたなかで議席を13伸ばして第3党となったのは、移民反対を掲げた極右の民主党。スウェーデン国内ではどんな連立内閣が誕生するかに関心が集まっているが、EU域内では移民反対の勢力伸長に警戒を強めている。

北欧スウェーデンといえば、高福祉・高負担で有名な国。税金は高いが、教育や医療はほぼ無償だ。国民は長い間この高福祉に満足し、世界でも政治的な不満が最も少ない国だと考えられてきた。ところが15年には16万3000人の難民が流入。国内の治安が急速に悪化した。ことしになってからも、銃撃事件や放火が相次いでいる。

こうした状況のなかで台頭したのが、ネオナチの流れを汲む極右の民主党。選挙戦ではほとんど「移民排斥」だけを訴えて、得票を伸ばしている。現在のところ、社会民主労働党にしても穏健党にしても、この極右政党と連立を組む気は全くない。したがってネオナチの幹部が入閣する可能性はないが、議会での発言力は確実に増大する。

ヨーロッパではこのところ、選挙のたびに「移民反対の政党」が票を伸ばしている。ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、ハンガリーなどが、その好例だ。EU委員会は基本的な政策として「難民受け入れ」を掲げている。したがって「移民反対」の政党は、必然的に「反EU」にならざるをえない。EUの悩みは、スウェーデンの選挙でまた一段と深くなった。

       ≪12日の日経平均 = 下げ -60.08円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


女性宰相の 大いなる賭け : イギリス総選挙

2017-06-02 08:23:14 | ヨーロッパ
◇ 想定外の結果なら大混乱 = イギリスの総選挙が来週8日、実施される。世論調査ではメイ首相の率いる与党・保守党が圧勝する見通しだが、EU離脱を決めた昨年の国民投票の例もある。仮に保守党が負ければもちろん、議席を伸ばせなければヨーロッパは再び大混乱に陥ることが避けられない。この選挙は、テリーザ・メイ女史の大ばくちでもある。

通常ならイギリスの総選挙は20年までないはずだった。それをメイ首相が繰り上げて実施することを決断した。本格化するEUとの離脱交渉に備えて、政権の基盤を強化したいと考えたためである。イギリスの下院は定数が650。いま保守党は330議席で、過半数を5議席上回るだけ。メイ首相が目指すEUからの完全離脱に反対する議員も少なくない。

世論調査では保守党が44%、野党の労働党は23%と振るわない。そこで一気に与党の議席を増やそうと、解散・総選挙に踏み切ったわけだ。選挙の焦点はEU離脱問題。保守党は完全な離脱と移民の受け入れ規制。労働党は関税ゼロなどは残す緩やかな離脱と移民の規制なし。そして国民の間には、EU離脱に反対する人も多い。

万が一、保守党が過半数を割ると事態は収拾がつかなくなる。また票数が伸びないと、メイ内閣の威信は地に落ちるだろう。EUに対して毅然とした交渉が出来なくなるだけではない。EU残留を強く望んでいるスコットランドが、独立の是非を問う住民投票を強行する可能性がきわめて強くなる。世論調査通りならいいが、英語のメイには「かもしれない」の意味もある。

      ≪1日の日経平均 = 上げ +209.46円≫

      ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ


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