◇ 要介護者の増加に追い付かない = 介護保険制度は2000年に発足した。当時の介護職員は55万人。それが現在は230万人に増えている。常に不足気味だが、なんとか伸びてきた。ところが、これからが大変。25年には団塊の世代が、全員75歳以上に達する。このため厚労省によると、介護職員は32万人も不足する。これが介護の「2025年問題」だ。さらに40年には69万人が不足する見通しだが、それが埋まる見込みはほとんどない。
労働条件は、決していいとは言えない。力仕事も多く、精神的にも気を使う。労働時間も長くなりがちだ。そのうえ22年の平均賃金は月額29万3000円で、全産業の平均より6万円少ない。賃金の原資は国や自治体の支出もあるが、大半は40歳以上の人が収める保険料とサービスの利用者が支払う料金。この両方ともかなり高い水準にまで引き上げられているので、政治的にも大幅な増額は困難な情勢だ。
介護職員の不足は、直ちにサービスの低下につながる。訪問看護やデイサービスの回数が減ったり、利用者一人ひとりに対する気配りも粗くなりやすい。対応策としては介助ロボットの導入、外国人の招聘など。しかし外国人は国家試験のカベが高く、なかなか増えてこない。また日本の賃金水準が低く、円安の問題もあって、最近では希望者が減少し始めた。
22年度の有効求人倍率は3.79倍ときわめて高く、求人難が続いている。政府は①離職した介護人材の呼び戻し②新規参入の促進③離職阻止・定着促進--を掲げ、たとえば再就職者に20万円を給付、2年勤めたら返済免除などの措置も講じている。しかし結局は賃金の問題に帰着する。来年は3年に1度の介護報酬改定が実施されるが、大幅な賃上げがないと見通しはますます悪化するだろう。
(続きは明日)
≪12日の日経平均 = 上げ +558.15円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
労働条件は、決していいとは言えない。力仕事も多く、精神的にも気を使う。労働時間も長くなりがちだ。そのうえ22年の平均賃金は月額29万3000円で、全産業の平均より6万円少ない。賃金の原資は国や自治体の支出もあるが、大半は40歳以上の人が収める保険料とサービスの利用者が支払う料金。この両方ともかなり高い水準にまで引き上げられているので、政治的にも大幅な増額は困難な情勢だ。
介護職員の不足は、直ちにサービスの低下につながる。訪問看護やデイサービスの回数が減ったり、利用者一人ひとりに対する気配りも粗くなりやすい。対応策としては介助ロボットの導入、外国人の招聘など。しかし外国人は国家試験のカベが高く、なかなか増えてこない。また日本の賃金水準が低く、円安の問題もあって、最近では希望者が減少し始めた。
22年度の有効求人倍率は3.79倍ときわめて高く、求人難が続いている。政府は①離職した介護人材の呼び戻し②新規参入の促進③離職阻止・定着促進--を掲げ、たとえば再就職者に20万円を給付、2年勤めたら返済免除などの措置も講じている。しかし結局は賃金の問題に帰着する。来年は3年に1度の介護報酬改定が実施されるが、大幅な賃上げがないと見通しはますます悪化するだろう。
(続きは明日)
≪12日の日経平均 = 上げ +558.15円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫