経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

選挙バラマキ内閣の 真骨頂

2023-09-02 07:27:27 | 政治
◇ 補助金ばかりで治療法なし = 古典落語に出てくる葛根湯医者。どんな病気の患者が来ても、葛根湯しか出さない。あるとき屋根から落っこちて怪我をした男が運び込まれると「もう手遅れじゃ。落ちる前に連れてこなければ」と喝破した。--岸田内閣の経済政策をみると、この噺が浮かんでしまう。いつも補助金ばかり。根本的な治療法がない。気付いたときには「もう手遅れ」になりはしないか。

ガソリン料金の高騰を抑えるため、政府は10月以降も石油元売り会社に補助金を出すことになった。岸田首相は「10月中には小売り価格を1リットル=175円程度に抑える」と述べている。資源エネルギー庁の発表によると、レギュラー・ガソリンの小売り価格は30日、全国平均で1リットル=185.6円に上昇。08年8月に付けた185.1円を上回り、過去最高となった。ガソリン補助は昨年1月から始まり、その総額は6兆円を突破する。

さらに政府は10月以降、電気・ガス料金についての補助金も延長する。その具体策は9月上旬に決定する方針だ。解散・総選挙は必至の情勢で、与党内からは規模の拡大を求める声が日増しに強まっている。いつまで延長するかにもよるが、必要な財源は数兆円にのぼるだろう。これらの補助金を中心とする補正予算は、10月の臨時国会に提出される見込み。

当初は急激なエネルギー価格の上昇に対処するための、臨時的な措置だった補助金。それが恒常的な対応策になってしまった。だが補助金対策は、当然ながら財政負担を増大させる。また脱炭素化にも逆行するし、市場メカニズムも破壊する。そして最大の問題点は、将来展望が全く改善しないことだ。少しでもエネルギーの輸入量を減らし、輸入価格を下げる努力を全くしていない。根本的な治療を忘れた葛根湯医者と同じである。

        ≪1日の日経平均 = 上げ +91.28円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     

物価が上がると 極右が伸びる

2022-09-29 08:00:39 | 政治
◇ イタリアで女性の‟自国優先”首相が誕生へ = イタリアの総選挙で、極右政党のFDI(イタリアの同胞)が圧勝。保守系の2党と連立して、FDI党首のジョルジャ・メローニさんが初の女性首相に選出される見通しとなった。FDIはムッソリーニの流れをくむ超保守政党。EUに対しては懐疑的な姿勢で、移民の受け入れには反対、同性愛も認めない。ロシアに対する制裁やEUの財政・金融政策に関して、波乱要因となる可能性も心配されている。

メローニ女史は1977年、ローマ生まれ。学生時代から、極右の政治活動に没頭した。しかし選挙中は、そのイメージを薄めようと努力している。またイタリアでは親EU派のマッタレッラ大統領が閣僚任命の拒否権を持っているので、政権が極右一色になる可能性は小さい。しかしメローニ内閣が‟自国優先”を主張することは必至で、イタリアでは「女トランプが出現した」と囁かれている。

前回18年の選挙では4%の得票率だったFDIが、今回は26%の票を獲得した。メローニ女史は選挙中、小規模事業者への減税・最低賃金の引き上げ・保育所の無償化・子ども手当の増額などを公約。これが選挙民の心を捉えたと考えられる。しかし、その背景には8%を超える物価高と経済の現状に対する国民の不満の鬱積があった。

ヨーロッパでは11日のスウェーデン選挙で、極右の民主党が第2党に躍進した。また6月のフランス選挙では、ルペン党首の極右政党が第3党に進出。スペインでも極右政党が票を集めた。いずれも現政権に対する批判の裏返し。その最大の原因は、インフレによる生活苦だと分析されている。物価が上がれば現政権の支持率が下がり、ポピュリズムの極右政党が勝つ。世界的な政治の法則となりつつあるようだ。

        ≪28日の日経平均 = 下げ -397.89円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

野党が大敗した 理由3つ

2022-07-12 08:21:23 | 政治
◇ 自民党の弱点を攻められなかった = 参院選挙では、自民党が圧勝した。野党が大敗した理由としては候補者の一本化に失敗したことなど、いろいろ挙げられている。だが経済問題に関しても、3つの大きな敗因があったと思う。その1つは電力不足問題。結局は原発の再稼働に頼るしかないが、自民党は「出来るだけ活用する」と言うだけで逃げ回った。しかし野党の多くは原発反対だから、この自民党の弱点を攻められない。このため国民は最後まで電力不足にどう対処するのか、知ることが出来なかった。

2つ目は物価高の問題。なかでも日銀のゼロ金利政策で、円の対ドル相場が急落。これが物価高に拍車をかけている。日銀は「金利を上げたら景気が悪くなる」と主張し、自民党もこれに同調。しかし専門家の多くは「ゼロ金利政策の継続は、日本経済にとってはマイナス」と批判し始めた。これも自民党にとっては弱点になるところだったが、野党は勉強不足。ほとんど口を出せなかった。

物価高について、野党の多くが「消費税の引き下げ」を主張した。きわめて判りやすい内容だから、有権者に受けると考えたに違いない。ところが有権者の多くは、納得しなかった。自民党の「では福祉財源はどうするのか」という反論の方に、耳を傾けたのである。いま国民は、将来の生活に不安を持っている。そんなところへ、年金の将来を危うくするような政策には乗れない。有権者は野党の公約は安易すぎると判断したわけだ。

世論調査などによると、選挙戦を通じて国民は経済問題に高い関心を寄せていた。具体的に言えば、エネルギー・賃金・物価・老後の生活など。しかし与野党が論戦を極めたにもかかわらず、明らかになったことは全くなかったと言えるだろう。これは与党側が巧みに弱点を覆い隠したとも言えるが、野党側が問題を掘り起こせなかったとも言うことが出来る。野党の大敗は自明の理だった。

        ≪11日の日経平均 = 上げ +295.11円≫

        ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

日経新聞の世論調査が 教えること

2022-06-22 07:11:30 | 政治
◇ 国民の真意を率直に受け止めるべし = 日経新聞が実施した6月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は60%で前回5月調査より6ポイントも低下した。不支持率は32%に上昇している。また政党支持率でも、自民党は45%で前回より6ポイント低下した。ただ2位の日本維新の会に対する支持率は8%で、自民党の圧倒的な優位は変わっていない。

この調査では、2つの重大な問題点が明らかになった。その1つは物価上昇に対する厳しい反応。最近の物価上昇について「許容できない」と答えた人は64%にのぼり、「許容できる」の29%を大きく上回った。国民の関心はこの1か月でコロナから物価に移行しており、内閣や自民党の支持率を引き下げる要因になったと考えられる。

もう1つは、日銀の金融緩和政策に対する批判。現在の緩和政策を続けるべきかどうかの質問に「続けるべきではない」が46%に達し、「続けるべきだ」の36%を10ポイントも上回った。日銀の緩和政策で内外金利差が拡大、その結果は円安が進んで物価上昇を加速している。この事実を、多くの国民が理解し始めた証拠と言えるだろう。

政府の物価対策は、ガソリンに対する補助金の支出ぐらい。もっと根本的な対応策、たとえば原発や再生可能エネルギーについての具体的な姿勢が示されていない。また日銀の緩和政策で、得をしている人は誰なのか。たとえばスローペースで金利を1%程度に引き上げた場合、もっと多くの企業や個人の収入が増えるのではないのか。世論調査の結果は、こうした点を政府・与党に問いかけている。

        ≪21日の日経平均 = 上げ +475.09円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

またもやバラマキ 補正予算

2022-04-28 07:53:09 | 政治
◇ 「新しい資本主義」は選挙のあとに = 政府は26日、物価高騰に対処するための緊急経済対策を決めた。財政支出の総額は6兆2000億円。①原油高対策②エネルギーや食糧などの安定供給③中小企業対策④生活困窮者への支援--の4項目から成り立っている。一方、岸田首相が公約している「新しい資本主義」の実行計画は、6月までに策定する方針だ。

このうち原油高対策では、ガソリンに対する補助金を1リットル25円から35円に引き上げる。財政支出の総額は1兆5000億円。エネルギーなどの安定供給には5000億円、中小企業対策には1兆3000億円を支出する。また生活困窮者へ支援は低所得の子育て世帯を対象に、子ども1人あたり5万円を支給する方針。これらの財源は予備費の使い残しを充てるほか、新たに2兆7000億円の補正予算を編成する。

急激な物価高に苦しむ人たちに、救済の手を差し伸べることは重要だ。しかし今回の緊急対策は、すべて傷口に薬を付ける応急対策ばかり。物価高そのものを抑える方策や、物価高でも病気にならないような体質の強化策は全く見られない。たとえば岸田首相はエネルギー対策について「原発はできるだけ活用して行く」としか説明しなかった。

こうした根本的な経済対策について、岸田首相は「新しい資本主義の実行計画を、6月までに作成する」と述べている。つまり面倒な問題は、参院選後に先送り。選挙の前は、票に結び付きやすいバラマキだけという作戦だ。しかし、こんなノンビリした態度で大丈夫なのだろうか。エネルギー問題だけを考えても、夏の電力不足が心配されているというのに。

        ≪28日の日経平均 = 上げ +461.27円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】

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