経済なんでも研究会

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もう沢山! 選挙用バラマキ現金給付

2022-03-25 08:24:56 | 政治
◇ 自民・公明が1人5000円案を検討中 = 自民・公明両党が、またまた広範囲に現金給付する案を検討し始めた。物価高騰の影響を緩和することが目的で、最初は年金生活者に限って「1人5000円」を給付する案だった。ところが両党内から「対象者をもっと広げないと、不公平だ」という声が出て、対象を広げることになった。岸田首相も前向きだと伝えられる。

現金給付と言えば、政府が21年度中に実施した「国民1人当たり10万円」給付とか、「子ども1人当たり10万円」給付が思い出される。その総額は14兆5000億円にものぼった。結果は多くが貯蓄に回ったなどの指摘もあったが、その検証は全くなされていない。衆院選を前にしたバラマキだったという批判もあったはずだ。にもかかわらず、こんども参院選を前に実施が検討されている。

自民・公明両党の政策には、目前の問題だけを解消するための施策が多い。もちろん、それも重要だが、そうした‟対症療法”だけでは将来を見据えた進歩がない。たとえば今週は、地震の影響もあって関東や東北地域が電力不足の状況に見舞われた。これも将来を見据えたエネルギー対策を怠った結果だと言えるだろう。

目前の問題にも将来の課題にも、財政支出が出来るのならいい。しかし財源には限りがあるから、すべてにおカネは出せない。そこで選択が必要になるが、将来への支出は選挙の票になりにくい。そこで選挙が近づくと、目に見える現金給付に走りやすい。政治家個人が現金をバラ播けば、手が後ろに回る。だが政党が政策として支出すれば、合法ではあるのだが・・・。

        ≪24日の日経平均 = 上げ +70.23円≫

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

HOW TO がない 施政方針演説

2022-01-19 07:49:59 | 政治
◇ 方法論を見せない岸田流経済政策 = 岸田首相は17日、国会で初の施政方針演説を行なった。最初に取り上げたテーマは「新型コロナ対応」。時間をたっぷりとって、ここでは具体策についても説明した。たとえば「3回目ワクチン接種の前倒し」では、「追加確保した1800万人分のワクチンを活用し、高齢者の接種を6か月間隔で行う・・・」などと判りやすく述べている。

ところが次のテーマ「新しい資本主義」に入ると、具体策はほとんど消え去った。「市場に任せればいいという新自由主義的な考え方が生んだ様々な弊害」を是正するのが「新しい資本主義」だと解説。弊害の例として格差や貧困の拡大、中長期的な投資の不足などを列挙している。だが、その是正策については示していない。唯一、デジタル田園都市国家構想を挙げたが、どの地域で実施するのかさえ言及しなかった。

また経済安全保障の問題では「半導体関連の設備投資、AI、量子、バイオ・・・などの分野に対する研究開発投資を後押しする」と述べたが、具体策はなし。減税をするのか補助金を出すのか。財源のことも考えずに、甘い言葉だけを並べた感じは否めない。さらに賃上げや人への投資にも触れたが、これも方法論はお預け。賃上げした企業への法人減税は、なぜか姿を消してしまった。

「気候変動問題への対応」でも、調子は変わらない。「官民が炭素中立型の経済社会に向けた変革の全体像を共有」と述べたが、その全体像はまだ示せない。「その道筋をクリーン・エネルギー戦略として取りまとめる」と逃げてしまった。詳細な計画はともかくとして、おおよその要点だけでも明示できなければ、施政方針とは言えないのではないか。聞き上手の岸田さんは、意外に‟聞かせ下手”なのかもしれない。

       ≪18日の日経平均 = 下げ -76.27円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

公明党の重みを計った 給付金

2021-11-11 07:48:21 | 政治
◇ 公明党が所得制限で譲歩 = 1人10万円の給付金を巡る自民党と公明党の交渉が、ようやく決着した。公明党は「18歳以下の子どもに1人10万円の支給」を強く主張。自民党が難色を示して、両党の幹事長が連日のように会談。結局は公明党が譲歩する形となった。政府が19日にまとめる新経済対策に織り込み、総額2兆円あまりの財源も明記する。

争点となったのは、3つの問題。前回のように大半が貯蓄に回ることを防ぐため、現金でなく商品券にするかどうか。バラマキだという批判を避けるために、所得制限を導入するかどうか。貧困世帯への支給をどうするか。このうち支給方法については「年内に現金5万円、来春にクーポン5万円」で決着した。クーポンを準備するには時間がかかる。だから取りあえず、年内は現金で半額という理屈だ。

貧困世帯への給付金は、自民党の選挙公約。これについては「住民税を免除されている世帯に10万円を支給する」ことで合意した。最も揉めたのは、所得制限の導入。自民党が年収960万円で線引きするよう提案した。この制限を設けると、給付金を受け取れる世帯数は1割ほど減少する。このため公明党内では反対論も強かったが、結局は呑むことになった。

仮に総選挙で自民党がもっと議席を減らしていたら、あっさり公明党の主張が通ったに違いない。ところが自民党だけで安定過半数に達したため、今回は自民党内でも強気の主張が多かった。公明党側も譲歩せざるをえなかったと言えるだろう。1人10万円の給付金問題は、図らずも公明党の重みを計る結果となってしまった。

        ≪10日の日経平均 = 下げ -178.68円≫

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

第2次岸田内閣への 注文

2021-11-02 08:11:30 | 政治
◇ バラマキは止めて‟選択と集中”を = 自民党は単独過半数を維持したが、選挙前よりは議席数を減らした。健闘した理由は、野党が無茶苦茶な選挙協力を結んだこと、それにコロナが急速に収まったことだろう。このコロナ鎮静は菅前政権の功績であって、岸田政権とは関係がない。一方、自民党が議席を減らした理由は、公約した経済政策の内容が不鮮明で、有権者が前向きな判断を下せなかったことにある。

岸田首相は経済問題に関して、3つのキャッチフレーズを連発した。「新しい資本主義」「分配も成長も」「令和所得倍増」である。だが、その内容は最後まではっきりしなかった。このうち「新しい資本主義」については、賃上げを実施した企業の法人税を軽減すると表明した。だが賃上げ分のどれだけを政府が負担するのか。その程度も方法論も全く説明していない。だから評価は不可能だ。

「分配も成長も」については、看護師・保育師・介護師の給料を上げると言っている。その方向は正しいが、これで分配→成長の好循環が始まることは全く考えられない。やはり初めに成長がなければ、分配は出来ない。この点は政府もはっきりと認識する必要があるだろう。そこで成長戦略とも言える「令和所得倍増」が、重要な施策となってくる。

ただ、その内容についての公約は「デジタル、AI、半導体、EV、ロボット、電磁波、量子、水素、アニメ、ゲーム・・・」の研究開発を促進するというもの。思いついた事項を羅列しただけである。これでは日本の将来像が全く浮かんでこない。岸田首相が属する宏池会を創設した所得倍増計画の元祖・池田元首相は、1960年代の日本経済の姿を具体的に描き出した。そして少なかったカネと資源を集中的に使っている。岸田首相も‟選択と集中”を実践しなければ、すぐに行き詰まるだろう。

        ≪1日の日経平均 = 上げ +754.39円≫

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

市場が「岸田新首相と距離を置く」理由 (下)

2021-10-13 08:01:38 | 政治
◇ 成長戦略の軸が見えない = 「新資本主義」「令和所得倍増」「分配なくして成長なし」--岸田首相の口からは、新しいキャッチフレーズが次々と飛び出す。だが、その中身がよく判らない。日本経済の成長率を高めるために、どんな政策を実施するのか。金融課税と違って、これは総選挙前でも言えるはず。しかし所信表明演説のなかでも「先端技術の研究開発に大胆な投資を行う」としか説明しなかった。だから市場は拍手できない。

小泉政権の郵政改革以来、大きな成長戦略は姿を消したとよく言われる。たしかに国鉄、電々、郵政の3公社が民営化され、改革の大きなターゲットはなくなった。しかし将来の日本に何が必要か、何をもって成長の軸を作るか。その目標を明確にすることが、現在の成長戦略に他ならない。その意味で、岸田首相はまだ確信がないようにも思われる。

アベノミックスは、日本経済を大不況から脱出させるために大きな効果を挙げた。しかし所期の目的を達成したあとも、超金融緩和政策だけに固執し、成長戦略を作成できなかった。アベノミックス派である岸田首相はそのことを反省し、日本経済の明るい将来ビジョンを描き出さなければならない。

そのためにはデジタル・ロボット・宇宙など、やりたいことは山ほどある。だが財政をはじめとする限られた資源を、どこに集中するか。たとえば太陽光発電と蓄電池だけは、なんとしても世界一の水準にまで引き上げる。こんな選択と集中を決定するのが、政治の役割だろう。たとえ総選挙で勝ったとしても、こうした成長戦略の具体的な計画が作成できなければ、岸田内閣の支持率はすぐに低下するだろう。
        ≪12日の日経平均 = 下げ -267.59円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫


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