経済なんでも研究会

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誰のための 金融緩和なのか? (上)

2022-04-20 07:30:32 | 日銀
◇ 円安でマイナス面が噴出 = 円相場の下落が止まらない。対ドル相場は今週128円台まで低落、02年5月以来20年ぶりの安値に落ち込んだ。この1か月で12円も下がっている。原因は日米の金利差が拡大したこと。アメリカが政策金利の引き上げに踏み切り、日本はゼロ金利政策を継続しているからだ。ウクライナ戦争の影響でエネルギー・資源・食料の国際価格が急騰。日本の輸入代金が増大してドルの需要が強まったことも、円安を助長している。

世界経済は、いちだんとインフレ色を濃くしている。このためイギリス・カナダ・オーストラリアをはじめ、ブラジル・タイ・マレーシアなどの新興国も続々と金利を引き上げた。この結果、これら多くの国の通貨に対しても、円相場は下落。BIS(国際決済銀行)の調査によると、日本円の実効為替レートは50年ぶりの低水準に下落している。これら諸国からの輸入価格も、それだけ上昇しているわけだ。

こうしたなかで日銀は、相変わらずゼロ金利政策に固執。最近は国債に対する指し値オペまで実施して、長期金利を0.25%以下に抑え込んでいる。黒田総裁が強調するように「円安は日本経済にとってプラス」だと、信じ込んでいるためのようだ。だが本当にプラスなのだろうか。たしかに国庫と輸出産業、それに借金をしている企業や個人にとってはプラスである。

このうち国庫は、金利が1%上がると利払いが3兆7000億円も増える。だから絶対的にゼロ金利の方がいい。しかし輸出産業のメリットは部品や原材料、燃料代の高騰で、プラスが大きく減殺されている。借金のある企業や個人も同様だ。つまり円安のプラス面は大きく縮小、逆に物価の高騰がすべての企業・個人に大きなマイナス効果をもたらし始めた。このため最近は、平均株価が円安でも上昇しなくなっている。

                          (続きは明日)

        ≪19日の日経平均 = 上げ +185.38円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 


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