経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

イエレンFRB議長の 胸の内

2017-07-19 07:21:25 | アメリカ
◇ 資産の縮小に手を着けておきたい = アメリカの金融引き締めは、どんなテンポで進むのか。世界の市場が、この一点に注目し始めた。年内に5回目の利上げはあるのか。買い入れ資産の縮小は、いつから始めるのか。イエレンFRB議長は先週の議会証言で「引き締めは慎重に、ゆっくり行う」と述べたが、彼女の胸の内にはすでに出来上がった行程表があるように思われる。

FRBは一昨年12月に、ゼロ金利政策から離脱。その後もことし6月までに、政策金利を計4回引き上げてきた。市場ではごく最近まで「9月に5回目の利上げ、年末には資産の縮小を始める」という見方が一般的だった。ところが、ここへきてアメリカ経済の先行きに警戒感が強まっている。6月の消費者物価や小売り売上高が、予想を下回った。新車の販売も落ち込んだ。景気は来年初めから後退するという観測も出始めている。

イエレン議長の任期は来年2月まで。トランプ大統領は選挙戦中に「イエレン女史の再任はない」と言っている。そうしたなかで景気後退の見通しが強まれば、FRBが引き締め政策を継続することは難しくなる。だが任期中に、金融正常化の形だけは作っておきたい。たとえば「9月に資産の縮小を開始、可能なら12月に5回目の利上げ」という行程表。これなら実現性が高まる。

FRBが保有する国債や社債などの資産は、昨年末で4兆5000億ドルに達した。緩和政策を始める前に比べると3兆6000億ドルも増えている。イエレン議長は、この保有資産を月100億ドルのペースで減らして行く方針。この程度ならば、市場に大きなショックを与えることはないと考えるからだ。イエレン議長の胸の内を大胆に察すれば、こういうことになる。

      ≪18日の日経平均 = 下げ -118.95円≫

      ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫              

今週のポイント

2017-07-17 07:46:14 | 株価
◇ イエレン証言が相場を動かす = 日米の株価は先週、全く対照的な動きをみせた。ダウ平均は月-火曜日には動かず、水-金曜日に上昇。日経平均の動きは、その逆となった。節目は12日に行われたイエレンFRB議長の議会証言。ここで「金融引き締めは、ゆっくり進める」という発言があったため、ダウは上昇して新高値を更新した。この発言が円高を呼んだため、日経平均は上値が抑えられている。

ダウ平均は先週223ドルの値上がり。今週も史上最高値を更新する可能性はあるが、一方で市場は景気見通しにも神経を使い始めたようだ。というのも先週発表された6月の消費者物価と小売り売上高が、いずれも事前の予測を下回ったからである。新車の販売も落ち込んできており、個人消費の先行きには薄雲が広がってきた感じが強い。

日経平均は先週190円の値上がり。FRBの金融引き締めが「ゆっくり」となり、さらにアメリカの景気見通しに対する警戒感が強まれば、今週も円高基調は続くことになる。同時に東京市場では、欧米各国が引き締めに進むなかで取り残される形の日本を心配する空気も出始めた。政局に対する警戒感もあり、株価はどんどん上がるといった雰囲気にはない。

今週は19日に、6月の訪日外国人客数。20日に、6月の貿易統計と5月の全産業活動指数。アメリカでは18日に、7月のNAHB住宅市場指数。19日に、6月の住宅着工戸数。20日に、6月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が17日に、4-6月期のGDP速報と6月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。 

      ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫    


サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑮

2017-07-15 08:07:54 | 
◇ 一括受注能力と価格競争力がカギ = 世界では数多くの大型水プラント建設が計画され、入札も実施されている。経済産業省が調べた16年9月時点の状況によると、大型水プラントの建設案件は728件。運営に関する案件は463件にのぼった。このうち一貫サービスを要求している案件は、全体の63.6%に達している。したがって一括受注ができないと、入札に参加できないケースが多い。

アジア地域だけを取り出してみると、建設案件は250件。運営案件は224件だった。ところが、このうち一貫サービスを要求している案件は89.6%にのぼっている。これはアジア諸国の場合、大型水プラントの運営経験がほとんどないため、建設から完成後の運営までを一括して要求するケースがきわめて多いことを物語っている。

もう1つの落札要件は、コスト競争力。経産省は日本が落札に失敗した実例として、バングラデシュのチッタゴン市が公募した上水道整備事業を挙げている。総額122億円規模の事業だったが、取水施設の入札で日本企業は57億円を提示。これに対して中国は39億円で応札。日本側は敗退した。

このように世界の水ビジネスに参入するためには、建設から運営までの一貫サービスを受け入れられる体制と、価格競争力が不可欠な条件となる。ところが、その点で日本勢は大きく遅れてしまった。優秀な技術を持ちながら、なぜ遅れてしまったのか。その原因は、日本国内の水ビジネス構造にあった。

                                  (続きは来週サタデー)

      ≪14日の日経平均 = 上げ +19.05円≫

      【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】    


加計問題は 痴漢事件と同じだ

2017-07-14 08:09:04 | 政局
◇ 「記憶にない」は最悪の対応 = 電車のなかで、身に覚えがないのに「痴漢」と叫ばれたら、貴方はどうしますか。最善の対応は、誠心誠意「やっていない」と主張するしかありません。それでも女性の方が怖ろしさのあまり勘違いしていたら、どうでしょう。無実の証明というものは、きわめて困難なことです。

加計問題も、本質はきわめてよく似ています。首相や官邸の指示があったのか。それとも役所の“忖度”があったのか。政府や官邸は「そんなものはない」の一点張りですが、やはり無実の証明はなかなか難しい。誠心誠意「やっていない」と言うしかないのです。ところが政府の対応について、国民は「どうも誠意に欠ける」と感じているようです。

閉会中審査や予算委員会での集中審議は、なるべくやりたくない。参考人の招致にも反対する。これでは誠意がないとみられても、仕方がないでしょう。極めつけは、政府側の参考人です。10年も20年も前のことならいざ知らず、つい2年ほど前の会合や文書についても「記憶にありません」「覚えていません」と、シラを切る。

痴漢とされた人が、もし「記憶にありません」と答えたら、裁判では確実に負けるでしょう。加計問題も全く同じです。事実を明るみに出したうえで、国民の審判を仰ぐ。国民も無実の証明は難しいことを、よく承知しています。それなのに「記憶にありません」では、裁量のしようもありません。テレビや新聞に「記憶にありません」の報道が出るごとに、安倍内閣の支持率は下がって行くでしょう。

      ≪13日の日経平均 = 上げ +1.43円≫

      ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


税収の減少が 意味すること

2017-07-13 08:06:44 | 税金
◇ アベノミックスの落日 = 財務省の発表によると、16年度の税収は55兆5000億円で前年度を8000億円下回った。税収総額が前年度を下回るのは7年ぶり。政府が予算編成時に見込んだ税収額に比べると、2兆1000億円も足りなかった。このことはアベノミックスによる景気の浮揚効果が、完全に息切れした証拠だと言えるだろう。

税目別では、法人税の目減りが大きく、前年度比では1兆9000億円も減少した。さらに消費税と所得税も、それぞれ2000億円減少している。法人税の減少について、財務省は円高で企業の利益が縮小したこと。また海外子会社の配当金は現地で納入されることが多く、二重課税を避けるために国内では非課税になるためと説明している。

しかし円高による目減りはまだしも、二重課税を回避するための非課税は事前に承知していたはず。法人税収が減少した原因にはならない。それよりも最大の原因は、税収の基盤となる名目成長率が伸び悩んだことに求められる。16年度は予算編成時に名目成長率を3.1%と見込んでいたが、実際は1.1%の成長に終わった。

アベノミックスが本格的に稼働した13年度の名目成長率は1.8%。14年度は2.2%、15年度は3.2%と順調に成長率を拡大した。したがって税収も伸びたのである。それが16年度は1.1%へ、がくんと落ちた。だから税収も減った。この事態は、アベノミックスの景気浮揚効果がなくなってしまったことを意味する。安倍首相がかつて胸を張った「20年ごろGDP600兆円」は、どこかにすっ飛んでしまった。

      ≪12日の日経平均 = 下げ -97.10円≫

      ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


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