経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

超金融緩和時代の 終わり? (下)

2017-07-06 08:30:23 | 金融
◇ 取り残される日本 = 世界経済史上でも類をみない超金融緩和時代。リーマン・ショック後の不況に対処するため、先進諸国が相次いで「ゼロ金利+量的緩和」政策に踏み切ったことから実現した。その効果もあって世界経済は回復に向かい、まずアメリカが15年末に金融政策のかじ取りを緩和から引き締めに切り替えた。今回はEUやイギリス、カナダが、それに続くという意志を表明したわけである。

日本も13年春になって「ゼロ金利+量的緩和」政策を導入した。しかし現在の景気・物価動向からみる限り、金融政策を引き締めに転換できる状況ではない。もしEUなどが近く緩和政策を終了すると、先進国のなかでは日本だけがカヤの外ということになる。その場合、円の為替レートは下落する可能性が大きい。だが一方では、日本経済の回復の遅れが歴然としてしまうことにもなるだろう。

波乱要因もないではない。アメリカはすでに4回の利上げを行い、FRBはさらに9月にも次の利上げを実施する方針を固めている。ところがアメリカの景気には、注意信号が灯り始めた。5月の雇用者増加数は予想の半分に縮小したし、個人消費の動向も懸念されるようになったからである。

アメリカが追加利上げを断念する一方で、ヨーロッパが引き締め局面に入る。その場合の日本に対する影響は、きわめて予測しにくい。またアメリカが5回目の利上げを実現すれば、ヨーロッパの政策転換は早まる可能性が高い。世界経済は、そのどちらの道を進むのか。それを示す標識が7日に発表されるアメリカの6月の雇用統計である。

      ≪5日の日経平均 = 上げ +49.28円≫

      ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


超金融緩和時代の 終わり? (上)

2017-07-05 07:27:10 | 金融
◇ 為替・株式・商品相場に衝撃波 = まるで申し合わせたかのようだった。各国の中央銀行総裁が先週、次々と「金融緩和政策の終了」について言及したのである。まずヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁、続いてカーニー英イングランド銀行総裁。さらにはカナダ中央銀行のポロズ総裁が、これに続く。一気に緩和政策の出口論に注目が集まり、世界の為替、株式、商品市場に大きな波紋を投げかけた。

緩和政策が終了すれば、金利は上がる。この思惑から、まず各国の通貨が買われた。日本円との交換レートでみると、ユーロは1年4か月ぶりの高値に。英ポンドは1か月半ぶり、カナダ・ドルは4か月ぶりの水準に上昇している。つれて円の対米ドル相場も下落した。これだけの為替変動は久しぶりのことである。

株式市場では、利益確定売りを誘発した。金利が上がれば、資金が債券市場に流れると考えられるからである。ただ中央銀行が緩和政策を終了できるのは、景気の順調な拡大が大前提になるはず。この点に注目した買い物も入ったから、先週の株価はそれほど大きく値下がりすることはなかった。

商品市況は、ことしに入って弱含みの傾向が続いている。OPEC(石油輸出国機構)による減産効果が出ずに、原油の国際価格が低迷。他の資源価格も中国の成長鈍化で、軒並み軟調に陥っている。そこへ金融緩和政策の縮小というニュースが伝わり、国際商品相場はさらに低落気味に。投機資金の引き揚げが心配されるうえに、在庫コスト高を警戒した売りが出始めたからだ。

                                (続きは明日)

      ≪4日の日経平均 = 下げ -23.45円≫

      ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


解散は近いのか? : 安倍首相の胸の内

2017-07-04 07:12:36 | 政局
◇ 小池都知事の動き方しだい = 東京都議選で、自民党が歴史的な惨敗を喫した。都民ファーストの会が6議席を55議席に増やしたのに対して、自民党は57議席を23議席に減らしてしまった。安倍首相は「政権のゆるみに厳しい批判が下った」と反省している。ただ3日の東京株式市場は冷静に受け止め、日経平均は小幅に上昇した。国政に対する影響が読めないからである。そして市場の関心は、国会の解散に移りつつあるようだ。

自民党は09年の東京都議選で大敗したあと、解散・総選挙に打って出て大失敗。政権を民主党に明け渡す結果を招いている。この経験から、解散はないという見方が強い。だが国政レベルでみると、民進党はじめ現在の野党には全く抵抗力がない。したがって、いま解散すれば議席を多少減らすことはあっても、過半数割れは絶対になさそうだ。安倍首相がそこに賭ける可能性も否定はできないだろう。

最も可能性が高いシナリオは、内閣改造で様子を探ることだろう。それで内閣に対する支持率が上がれば、その路線が定着する。しかし、その場合でも怖いのは小池新党が出現することに違いない。勝利宣言をした直後に、小池知事が都民ファーストの会代表を辞任した真意は何か。安倍首相は神経を尖らせているはずだ。

いまでも国会には、小池派の議員が数人はいる。これらの議員が集まって5人以上の会派を作れば、新しい政党が誕生する。その代表に小池知事が就任して、たとえば「日本ファーストの会」を立ち上げる。ぐずぐずしていると都議選と同様に、これが大きな勢力に成長しかねない。そんな動きが見えたら、直ちに解散・総選挙に踏み切る。これが安倍首相の胸の内だろう。

      ≪3日の日経平均 = 上げ +22.37円≫

      ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 


今週のポイント

2017-07-03 07:57:42 | 株価
◇ 警戒感と安心感のはざま = 株式市場の空気に、微妙な変化が生じている。各国の中央銀行総裁が申し合わせたように「金融緩和政策の出口論」に言及したためである。アメリカに次いで各国の金融政策が引き締めに転ずれば、株価には売り圧力が加わるかもしれない。その一方で緩和政策の終結は、景気の回復が順調なことを意味する。

ダウ平均は先週45ドルの値下がり。警戒感と安心感が交互したが、高値での利益確定売りがやや上回った。日経平均は99円の値下がり。一時は2万円を割り込む場面もあったが、終り値ではなんとか大台をキープした。こちらも市場の空気は揺れ動いたが、日銀の買い出動もあって大幅な下げは回避された。

東京都議会選挙の結果は、株価にどう影響するのだろう。都議会の議席よりも、市場は国政への影響を重視するのではないか。また今週はアメリカで6月の雇用統計が発表される。仮に予想を下回る結果が出ると、FRBの追加利上げは実行しにくくなる。ヨーロッパ諸国の緩和停止ムードと加えて、円相場はどう動くのか。予測はきわめて難しい。

今週は3日に、6月の日銀短観、消費者態度指数、新車販売台数。7日に、5月の景気動向指数。アメリカでは3日に、6月の新車販売台数とISM製造業景況指数。6日に、6月のISM非製造業景況指数。7日に、6月の雇用統計が発表される。

      ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ


サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑬

2017-07-01 07:30:58 | 
◇ 有望な地域はアジア・アフリカ = 水ビジネスの規模を地域別にみると、15年時点では第1位が東アジア・大洋州で27兆5000億円。次いでヨーロッパ・旧ソ連が22兆円。そのあと北アメリカ、中東・アフリカ、中南米・カリブ海、南アジアという順。南アジアのビジネス規模は1兆9000億円だった。

20年の推計でも、この順位に変わりはない。第1位の東アジア・大洋州は33兆4000億円に増大する。最下位の南アジアは3兆5000億円と試算されている。だが伸び率でみると、第1位がこの南アジアで84%の拡大。次いで中東・アフリカの45%増、ヨーロッパ・旧ソ連は12.7%の伸びにとどまる見込みだ。

経産省が、なぜこのような地域割りをしたのかは不明。おそらく国連あたりの原データがそうなっているのだろう。ここで仮に南アジアを東アジア・大洋州に含めれば、水ビジネスの規模はアジアが断トツになる。第2位のアフリカと合わせれば、この両地域で全世界の半分近くを占めることになる。

世界のどの地域でも、水ビジネスは拡大して行く。だが、そのなかでも最も有望なのはアジアとアフリカ。人口増加と生活水準の向上が見込まれる地域だ。逆に言うと、アジアとアフリカの水ビジネスを制した企業が勝ち組になるだろう。そこで日本企業はどうなのか。答えは「残念ながら」と言わざるをえない。

                                  (続きは来週サタデー)

      ≪30日の日経平均 = 下げ -186.87円≫

      【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】   


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