どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

煙火茫々(3)

2008-09-14 00:49:01 | 短編小説
 午後七時からの綱火を前に、高岡地区の人びとはもとより、近隣の村人、遠来の者たちも含め人が集まっていた。くすんだ普段着姿の者が多かったが、数人が固まって灯火に照らされた境内を動き回っていた。  ほどなく<繰り込み>という清めの神事が執り行われる。  数十人の氏子が持つタテハナ(手筒花火)に火が点けられ、その筒先からシューシューと火の粉が噴き出す。  氏子たちが手筒を持って走り回り、清めの火花をあた . . . 本文を読む
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