どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)08 『微量の恨み』

2009-09-27 05:06:32 | 短編小説
     (微量の恨み)       その夏椿は、急に葉を散らしはじめた。  大学構内の仕切られた一角にある、シンボル的な樹であった。  昭和二十年代に植えられ、今では樹高十数メートルに成長している。  手のかかる種類の樹木ではあるが、季節外れの落葉は思いもかけない出来事であった。  夏椿は、別名シャラノキ(娑羅樹)という。  お釈迦様となじみの深い娑羅双樹に名を借りているが、熱帯性のそれと . . . 本文を読む
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