どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

細身のジャック(9)

2010-09-25 12:59:07 | 連載小説
 晩秋の一日、夕子が日焼けした顔をほころばせて正夫のアパートを訪ねてきた。  正夫にとっては起きぬけの時刻で、夕子が手にするビニール袋の中身が気になった。 「うな丼よ」  正夫の視線のゆくえに気づいて、ちょっと持ち上げる仕種をした。 「おお、ありがたい」  飢えた動物のように反応し、渡された袋の中を覗き見た。 「あれ、自分の分は?」 「わたしは、電車の中で食べちゃった・・・・」 . . . 本文を読む
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