どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)115 『貝吹き旦次』

2015-12-23 23:57:58 | 短編小説
    現在の山形県新庄市あたり、昔は出羽国最上と呼ばれた地域の中心部に、貝吹きの旦次という男がいた。  旦次は一帯を治める沼田(新庄)城主戸沢侯に抱えられた技能者で、法螺貝を吹く力量は右に出るものがなかった。  法螺貝といえば修験道とは切っても切れない道具の一つで、信仰のため、あるいは連絡の手段として日本中の山伏がひとしく携えているものである。  とはいえ、旦次の場合 . . . 本文を読む
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