どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の短編小説『幽霊船』

2023-02-16 00:16:00 | 短編小説
 ジョージのクルマは、幽霊船と呼ばれていた。  1960年代の大型キャデラックで、塗料の剥げかけたツートンカラーの車体がくたびれて見えたことが一因だった。  そのキャデラックは、毎週金曜日の夜に銀座七丁目の路地裏に現れた。  ほの暗いクラブの前にやっとたどり着いたというように停められ、なんとも厄介な印象を与えていた。  クラブの真向かいには花屋があり、若い店主は以前からそのクルマを気にかけ . . . 本文を読む
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