どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の連載小説『吉村くんの出来事』(9)

2024-01-04 02:22:00 | 連載小説
     滑落 七月の第二月曜日、早川が無断欠勤したというので、集配課はみな大慌てしていた。 班長は欠員となった配達区の穴埋めに、自ら郵便物の区分を始めていた。その間、課長は早川の自宅に電話を入れて状況把握に努めていた。 しばらく呼び出し音が続いた後、やっと電話口に出たのは早川の母親らしかった。それは課長席から聞こえてくる会話のやり取りから推察できた。「えっ、息子さん家に居ないんですか」 課長の不 . . . 本文を読む
コメント (7)