『春が団体でやってきた』
三月も残りわずかとなった27日、本格的な春の到来を思わせる陽気に誘われて、家の近くを散策してみた。
何度も何度も咲きかけては「待った」を掛けられていた花々が、もう我慢ならんといっせいに花弁をひらく。
いつもの年とちがって、われもわれもという感じで実ににぎやかな春となった。
とりあえず十日ほど前から先鞭をつけていた白梅に敬意を表して、最初の撮影ポイントとした。
あまり矯められていない伸びやかさが、花の白さに現れている。
つづいて、近所の蝋梅が渋い黄色を彩りに加えてくれる。
レンギョウの黄とはちがった奥ゆかしさが、武士の所作を連想させる。
袴に織り込んだ絹糸のような輝きを、春の陽光が引きたてているようだ。
遅れまじとばかりに、辛夷の花がつぼみをひらく。
ほころびかけた辛夷の白ほど、目に眩しいものはない。
好みによるだろうが、木蓮の大ぶりな花弁より個人的には好ましく思っている。
神代植物公園はまたの機会にして、布多天神社まで足を延ばす。
ここの境内には紅梅・白梅が植えられていて、しかも古木と若木のコントラストが心地よい。
ちょうどお昼頃だったから、子供連れのお母さん方が何組かベンチに腰掛けていたが、訪れる人はまだ少なく人を避けながらの撮影にならなくて幸運だった。
紅梅と白梅を配したつもりだったが、どうだろう?
紅梅はなかなか写りが悪くて、写メでは手に余る。
光が当たればいいのかもしれないが、なかなか思い通りにならない。
さまざまの構図で撮ったものを、何枚か並べてみる。
古木と朱塗の鳥居のバランスは悪くないと思うのだが・・・・。
これに梅花を組み合わせようとすると、ひと苦労だ。
さっきまで拝殿に向かってお祈りする男性がいたから、その人が立ち去るのを待ってシャッターを押した。
甲州街道を渡って天神通りに入る。
なじみの天神市場は、きょうも買い物客でひっきりなしだ。
なるべく客が切れたころを見計らって撮ったから、店頭のたたずまいが写せたのではないだろうか。
この通りは以前にも取り上げたが、ゲゲゲの鬼太郎キャラがあちこちで見られる場所だ。
本日の締めくくりに、<塗り壁>に登場してもらおう。
僕が若いころ、職場に目立たない先輩がいて、内心(壁のような人だ)と思っていたが、妖怪の塗り壁とは少し趣がちがうようだ。
水木しげる先生の影響か、市内の少し離れた場所にさまざまのキャラ人形を家の壁に貼りつけた人がいる。
おまけと言っちゃあ申し訳ないが、最後にその画像を載せさせていただく。
遅れに遅れた春が、それこそ団体でやってきたようなあわただしさ。
花も人も、なんとなく浮足立って見えるのは僕だけだろうか。
(おわり)
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そうして各種の梅の花々に出合う。
撮影者と筆者の心が躍っているようなブログでした。
そして、とりわけ画像のすべてが控え目ながら、静かに春を謳歌しているように感じます。
控え目というのは、梅の特性なんでしょうか。
だとしたら、いかにもニッポンの花ですね。
それにしても、春風に誘われるように窪庭さんがカメラを片手に、飄々と散歩をしている様子が目に浮かんできます。
壁一面のマンガキャラクター。
このお宅にはマンガ好きの小さい子が何人もいたりして。
その子を喜ばせてやろうと見つけてきたキャラクターを休みの日に脚立を立てて一生懸命貼り付ける父親の姿が目に浮かびます。
毅然とした美しさに、しばし足を止め眺め入りました。
もうすぐ桜に主役を譲るわけですが、束の間人々に人生を考えさせてくれました。
そう思うと、急に画像の意味がちがって見えてきます。(変わった人だ・・・・)としか思わなかったのに、楽しい気分になりました。