どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(100)

2009-06-30 18:02:28 | エッセイ

     「山野の禅寺丸古木」を因数分解すると・・・・


 (山野の)、(禅寺)、(丸古木)ではなく、
 (山野の)、(禅寺丸)、(古木)が正解です。
 念のために読み方を記しますと、「サンヤ ノ ゼンジマル コボク」です。

 なんのことはない、オッチャンが<禅寺丸>という柿の種類を知らなかっただけで、常識に強い回答者は苦もなく正解したことと思います。

 まあ、これで終わっちゃお互い拍子抜けなので、少しばかり聞きかじりを書いてみます。
 
 <禅寺丸柿>は別名<王禅寺丸柿>ともいい、鎌倉時代から現川崎市の柿生あたりを中心に栽培されていたが、昭和40年ごろ<富有柿><次郎柿>といった優良品種が現れたことにより、商品価値が落ちて生産が激減してしまったようです。

 もともと王禅寺星宿山蓮華院の再建にあたり建築用材を探していたところ、住職・等海上人が山中に自生しているこの柿を見つけて美味なのにおどろき、村人に栽培を勧めたということです。

 当時、知られていた柿はすべて渋柿で、この禅寺丸柿が日本初の甘柿(不完全甘柿)ということで、以来長い間、神奈川・東京中心に栽培されてきたわけです。
 戦前まで柿生駅から専用の荷物車が出入りしていたとの話もあり、多摩地区の農家の貴重な現金収入になっていたそうです。

 実が小さい割りにタネが大きく、食用としては確かに現代向きではありませんよね。
 一方、禅寺丸柿と藁屋根はこのあたりの原風景ともいわれ、誰も採らなくなった柿に小鳥が群がる光景は、なんとも詩情あふれる眺めじゃありませんか。

 というわけで、きょうの画像は<禅寺丸の古木>。
 古くからの農家が大切に守っている柿の木です。
 調布市の天然記念物に指定されています。

 

 
 

 

 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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固い頭 (ガモジン)
2009-07-01 20:58:50
には、日本語をどこで切って読むのかが、固定概念として染みついていますから、読めないのでしょうね。
アガサクリスティーの「夫を殺す12の方法」の講演会ではないですけど、眼からウロコです。
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なるほど (窪庭忠男)
2009-07-02 00:04:44
(ガモジン)様、分解して理解する癖は、なかなか身につかなくて・・・。
「カーテン」以来ごぶさたのアガサクリスティー、ひさびさに読みたくなりました。
できれば、「アガサクリス紅茶」なんぞ飲みながら・・・。
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