古い家から出てきた老女が
向かいの家のブロック塀に向かって
いきなり落ち葉を撒き散らした
「だらしのないジジイだ」
塀越しに枝を伸べるハナミズキの葉が
道路に散らばるのを掃いているのだ
「一度だって掃いたことがないんだから」
老女はよほど腹に据えかねているらしい
しかも塀ぎわに捨てた落ち葉が風に舞い戻る
北からの風が老女の側に吹き寄せるのだ
自然の営みは人の思惑を斟酌しない
それがまた老女の神経を逆なでする
通りがかりに覗くと老女の家の横は竹の植え込み
昼なお暗い玄関には幸運が訪れる気配がない
まして北風の季節はすでにやって来ている
向かいの主人とどんな因縁があったのか
姿の見えない相手に老女の怒りはエンドレスだ
内戦の兵士も抗争のヤクザも恨みの色は赤黒い
落ち葉に混じって転がるハナミズキの実はどうだ
華やぐ思い出のように赤く艶々と輝いている
恨みを捨てて残りの日々を数えた方がいいのだが
(おばあちゃん、もういい加減にしたら?)
よく見ると竹林の中に風車のようなアメリカ朝顔
忍び込む北風を迎えてブンブン回る
なんだなんだこの光景は?
こんな古家に手品のタネが・・・・
この世はまんざら捨てたものではないようだ
(2016/10/17より再掲)
アメリカ朝顔
原因は 些細なことがおおいですね
アメリカアサガオ
初めて知りました。
本当に風車が回っている様です
可愛いおはなですね(*^_^*)
たまたま表題の家に咲いていた花です。
アメリカアサガオにもいろんな種類があるようですが、この花に限って風車のよう見えたものですから、こんな風に詠んでみました。