新型コロナの感染者が増え続け、東京都では7月27日時点で3000人を超えた。
この数字がどれほど脅威なのか、そしてこの先どこまで増え続けるのか皆目見当がつかない。
一方、オリンピックはスケジュール通りに競技が行われ、初日から金メダルを獲得するなど、テレビの前の視聴者は大喜びだったと思われる。
事前の予想通りの活躍で金メダルをつかんだ者、自己ベストを大幅に更新して勝者になった者など、勝ちのスタイルはさまざまである。
いずれにも言えることは、限界まで力を出し尽くして勝ち取った結果であり、画面から伝わってくる気迫は、われわれ一般人には到底真似のできないものであった。
柔道の渾身の戦い(永瀬貴規、新井千鶴ほか)、卓球の混合ダブルス(水谷・伊藤ペア)で見た紙一重の技量、ソフトボールの逆転優勝など、スポーツが放つ輝きは他のジャンルでは見られないものである。
新鮮さでは、競泳女子個人メドレーで2個の金メダルをつかんだ大橋悠依の活躍ではないだろうか。
平井伯昌コーチでさえ「ここまでとは・・・・」と驚いた急成長は、何によるものだろうか。
分析はいずれ出てくるだろうが、しろうと目にも感じ取れるのはメンタル面での安定感であった。
400mメドレーの時は「自分を信じて泳いだ」と答えていたが、200mメドレーの後では「追いつけるかどうか不安だった」と言いながら、200mには自信があった、と答えている。
事実、タッチの差でアメリカの2選手を抑えての優勝だから、いかに自分を冷静に捉えていたかうかがい知れる。
体操個人総合の逆転勝利(橋本大輝)など、次々と勝者が誕生し、人々に勇気を与えている。
他方、思いがけず敗退してしまったアスリートも数多くいた。
思いつくまま列挙すると、しょっぱなの内村航平選手をはじめ、大坂なおみ、桃田賢斗など、悪くてもメダルは確実と思っていた実力者ばかりである。(ただし、それぞれに負けの遠因があったことも事実である)
中でもショックだったのは、男子400m個人メドレーの瀬戸大也の予選落ちではないだろうか。
スキャンダルから這い上がることを願い、念願かなって復活しながらの惨敗であった。
ぼくが川柳で取り上げたのは、期待した故の無念さである。
予感した通り男子200mバタフライでも失速し、名誉挽回のチャンスも遠のいた。
最後の砦の200mメドレーは、かろうじて予選を通過したが、果たして本来の力を出せるか。
いま、彼の中で何が起こっているのか。
ネット上での非難や揶揄に、ムカつくと応じた意識レベルが気になっている。
行き過ぎは許されないが、「がっかり感」はしっかり受け止めて再出発の糧にしてほしい。
オリンピック開催中の感染拡大を、すべてオリンピックのせいにするのは的外れだろう。
確かに一部スポーツバーなどでの不法酒類販売を誘発し、それが感染拡大の原因になっている可能性はあるが、おおかたはテレビ観戦で楽しんでいるのだから、人流は人々の意識の問題に帰すべきであろう。
今後、夏休みの本格化や、お盆での帰省など行楽意欲が高まるばかり。
医療資源のひっ迫など心配は尽きないが、オリンピックのテレビ観戦を促しつつ、ワクチン接種速度の拡大を図り鎮静化を願うしかない。
最後に、東京オリンピックに情熱を持って参加し、選手村にほぼ缶詰め状態で練習もままならなかった外国選手たちをねぎらう気持ちを忘れてはならない。
日本人アスリートのメダルラッシュは嬉しいが、コロナ下の特殊事情もあって特に開催国有利に働いている感は否めない。
主催者などの対応は別に議論すればいいことで、純粋にスポーツに打ち込み、輝きを放ってくれたアスリートたちに、ひとしく敬意を表したい。
(おわり)
なぜ冷静な世論が醸成されなかったのかーその根源は「安全安心」と空理空論ばかりで、まともな具体的対策を示そうともせず逃げ一方の菅総理と政府関係者のやり方にあったのでしょう。
まったく情けない!
たしかに「安全安心」という、いかさま四文字熟語は最悪でしたね。
おっしゃる通り「空理空論」ばかりで、それが多くの人びとに見抜かれたということでしょう。
オリンピック開催への賛否論争は、閉幕した後もしばらく続くでしょうが、アスリートたちの真剣な取り組みと感謝の表明を見て、ぼくは開催してよかったなと思いました。