アベノミクスのいわゆる「3本の矢」の1番目の金融政策について、それを支持し解説する多くのリフレ本が出版されているのは分かりますが、反アベノミクス本も同じコーナーでそれに負けない程に並んでいます。
僕は一昨年の夏に、長く続くデフレ経済に対してまともな金融政策をとろうとしない、日本銀行を批判するプロテスト・ソング『デフレンジャー BJ』を制作しています。
そういう僕でも専門家と目される経済評論家やエコノミストなどが、「日本国債が暴落する」とか「金融緩和をしてもマネーストックは拡大しない」、そして「株や土地など資産価値は上がっても実体経済に回らず、賃金や消費は上がらない上にハイパーインフレでスクリューフレイションが発生して、もっと格差が拡大し国民の生活が苦しくなる」などと脅されると、その想いも揺らいでくることになるかも知れません。ちなみにスクリューフレーションとはスクリューイング(貧困化)×インフレーションの造語です。
先日ご紹介した高橋洋一さんの最近出された新書を読めば、反アベノミクス本に挙げられている多くの主張の根拠が薄れていきますが、今回ご紹介するこの本も面白い趣向で、日本の財政破綻が反アベノミクス本の脅すようにもし起こったら、という仮定でシミュレーションし結局それはあり得ないという逆説を確認できます。著者は経済評論家勝間和代さんの経営パートナーまたブレーンとして知られ、最近は「TVタックル」などテレビへの露出も増えてきています。
※ 都議選の結果はアベノミクスへの支持が大きいことを示しました。もしも政権が変わることが起きても、日本銀行の新体制となった黒田・岩田のリフレ派コンビが、今後5年間の任期中に金融政策で程よい舵取りを続けてくれると想います。
「アベノミクス亡国論」のウソ 投資シミュレーションで読み解く「復活」の根拠 (知的発見! BOOKS 016) | |
上念 司 | |
イースト・プレス |