続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

つまり・・・M『二重の秘密』

2012-03-09 10:05:36 | 美術ノート
 つまり、こういうことである。
 切り抜かれた形(左)を仮にAとし、右側の切り抜かれた形をA’とすると、
 A≒A’であるが、A≠A’である。

二つの画像は、壁に貼られた『海の風景』の上に切り取られて貼ったのかもしれないし、『壁に貼られた海の風景』そのものの画像を、二つの画像の形に切り抜いたものだともいえる。

 どちらであってもマグリットの意図は判然としており、ただ、架空の有り方、イメージの裏切りがあるばかりである。

 存在者としての哲学の深層心理に深く母恋が影響していることも間違いがない。
(二枚重ねた秘密・・・マグリットは軽く冗談も言う)

M・『二重の秘密』

2012-03-09 06:47:34 | 美術ノート
 マグリットの鋭敏かつ精巧な企みには度肝を抜かされる。

『二重の秘密』
 いかにも切り取られたような顔の一部、併せれば一人の人間の顔に復元されると思いがちだけど、凝視すると、異なる顔であることが判明する。画面に向かって右は男であり、左は女である。
 左の顔には首の下辺りにわずかに垂れた髪が見えるし、左右の眼の位置にずれがあり、眉毛は微妙を呈しているけれど、線描は明らかに異なる人のものである。

 海を背景にした二つの顔が鑑賞者の眼差しを刺激する。しかし、それは「壁に貼られた海の風景」の写真から、下に張られた男女の顔を切り抜いたものである。(重ねた二枚の、逆もありうる)ゆえに男と見られる人の肩が女のような曲線に切り取られ、同一人物であるかのような錯覚を起させる要因になっている。右(男)の首の線がいかにも直線的なのもそのせいだと思う。

 策術、魔術、トリック・・・マグリットの静かな微笑が見えるようである。

 まったく近似形に切り取られたと見せた右(男)の内部に見える景色・・・これこそがマグリットの心情ではないか。
 心の奥底に秘めた思い・・・鈴のように真ん中が割れた球体は真ん中に線があることで本来であれば上下、つまり線はカーブを描いていくべきなのだけど、それがない。重力もなく、時間も空間も止まった異世界(精神界)=心象である。
 陰影はある、しかしそれ故にむしろ暗さが深く、描かれたものは硬質であり、無機的であり、ここには喜びや美を見出せない。
 鈴のような形をしたものは口を想起させる・・・噂、風評を暗示させるのではないかと思う。

 左は母、右は息子である自分。(若くして逝った母に成人した息子である自分が肩を寄せて並んでいる)二人を「壁に貼られた海(永遠、あるいは母なるもの)の風景」の写真から秘密めく切り取って浮かび上がらせたのである。(あるいは海の風景の絵が貼られた壁に二人の画像を切り取って貼り付けた)あくまでも海の風景が背景なのではない。海の風景(永遠)の底に潜むマグリットの想念の具象化なのである。

 深さゆえ、二重にも隠しているマグリットの沈黙の秘密である。

『風の又三郎』255。

2012-03-09 06:35:26 | 宮沢賢治
 一郎の兄さんが出て行きました。天井がガサガサガサガサ云ひました。おぢいさんが、笑ひながらそれを見上げました。

☆宇宙は経/常に変わらない。
 推/推し図る考えは展/くりひろげられる。
 精(霊)の運(めぐり合わせ)は、象(目に見える形)で現われては、消えていく。

『城』757。

2012-03-09 06:27:10 | カフカ覚書
おそらくそのことであなたがおっしゃりたいのは、わたしなんかの言いなりにはならないぞということなんでしょう。

 言いなりにならない/unabhangig・・・独立の、自由の。

☆そのことで証明したいのは、信ずべき独立(自由)ということでしょう。